やさしさの進化が止まらない!HS40m/sでもイケるLS ピン「G440 LST」ドライバー試打
正式発表されて間もないが、すでに多くのゴルファーから注目されているピンの「G440」ドライバー。なかでもロースピンタイプの「G440 LST」は上級者やアスリートゴルファーからの期待が集まっている。2022年に発売された前作の「G430 LST」は、世界中のツアーで通算100勝以上という凄まじいツアー実績を残し話題となった。新型「LST」はどのように進化したのか。その特徴をギアの知識が豊富なミタさんが解説。飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。
LST史上最高の慣性モーメント。ヘッドサイズは440ccから450ccへ
【ミタさん】
今回紹介するのはピン好きアスリートゴルファー待望の「G440 LST」です。最初から「LST」しか選択肢に入っていない人も多いでしょう。
【コウタロウ】
私もその中の一人ですよ。「G430 LST」は長く使わせてもらいました。
【シオさん】
「G430 LST」は完成度が高くて名器と呼ばれていますが、さらに進化しているんですか?
【ミタさん】
もちろんです。ピンは「前作を超えなければ新製品を発売しない」という開発方針があるので、発売期間や発売時期も毎モデル違います。
【コウタロウ】
具体的にはどこが進化しましたか?
【ミタさん】
まずは慣性モーメントです。ピンのLST史上最高の慣性モーメントを実現して、ついに9000g・cm2を突破しました。
【コウタロウ】
私が使っていた「G430」も歴代最高の慣性モーメントでしたよね。
【ミタさん】
それをさらに更新しています。
【シオさん】
どうやって慣性モーメントを大きくしたのですか?
【ミタさん】
まず、体積を前作よりも10cc大きい450ccにして、「MAX」「SFT」同様にホーゼル部分、フェースを軽量化しています。加えて、前作「G430 LST」のクラウンはブリッジがあるカーボンフライ・ラップ・テクノロジーでしたが、「G440 LST」はブリッジ部を排除しています。それらで生まれた余剰重量を最適配置し、深・低重心化にすることで、前作を超える慣性モーメントを得ています。
【シオさん】
重心も低くなっているんですね?
【ミタさん】
もちろんです。「G440 LST」も他の「G440シリーズ」同様に重心を下げて、理想の飛び重心を実現したことが最大の進化です。
【シオさん】
今回は飛びそうですね。
【コウタロウ】
でも、ピンには飛距離というよりも、やさしさを求めている人も多いような…。
HS40m/s前後だと46インチシャフトが飛距離アップにつながる!
【コウタロウ】
ヘッド体積が10cc大きくなっても形状はいつもの「LST」。歴代の「LSTシリーズ」を使っていた人には全く違和感ないと思います。
【ミタさん】
実際に打ってみてどうでしたか?
【コウタロウ】
今まで通りの“曲がらないピン”で安心しました。ブレに強く、多少のミスヒットでも左右の曲がり幅を抑えてくれるから安心して振っていける。変わった点としては、スピン量がかなり抑えられていること。正直、初速性能の変化はあまり見られませんでしたが、間違いなく前作よりも高打ち出し、低スピンの弾道が打ちやすい。このスピン量にハマるゴルファーであれば、前作よりも飛ばせると思いますよ。
【ミタさん】
打球音も変わっている気がしましたがどうですか?
【コウタロウ】
とても静かになっていて心地よい打感です。「G430 LST」もかなり打感が改善されていましたが、その流れを継承していますね。
【ミタさん】
シオさんはどうでしたか?
【シオさん】
私のパワーだとつかまりにくさはあるけど、前作の「LST」よりも打球が上がってくれるので、ヘッドスピード40~42m/sのゴルファーでも十分に使えそう。他メーカーのLSタイプに比べると格段にやさしいです。
【ミタさん】
重心を低くしたことによって、ある程度の打ち出しが確保できます。ちなみにシオさんが打ったシャフト「ALTA J CB BLUE」は46インチで、前作よりも0.25インチ伸びています。
【シオさん】
アドレスしたときに長くは見えませんが、スイング中は長尺ドライバーのようなゆったり大きくしなる感覚はありますね。
【ミタさん】
シオさんはボールスピードが最大で59.5m/s出ていたので、長尺による飛距離アップの効果があったのだと思います。一方でコウタロウが打ったシャフト「PING TOUR 2.0 CHROME」の長さは変わっていないので、それほど飛距離への影響はありませんでした。
【ミタさん】
「G440シリーズ」になっても、ピンのドライバーは慣性モーメントが大きく、やさしいということに変わりはありません。「G440 LST」は、慣性モーメントが9000g・cm2を超えていながら、前作以上に高打ち出し、低スピンの弾道が打ちやすくなっていることが最大の特徴です。また、今回「ALTA J CB BLUE」のシャフトが長くなったことによる印象の変化もありそうです。46インチのシャフトがうまくハマれば、ボールスピードが出て飛距離が出ます。一方、カスタムシャフトを使うタイプのゴルファーは今まで通りの安定感のあるピンのドライバーに感じるでしょう。
【シオさん】
切り返しがゆっくりな人こそ「ALTA J CB BLUE」はタイミングがとりやすいと思います。
まとめ
■ 試打したクラブのスペック
●ロフト角:9度、10.5度 ●ピン ツアー 2.0 クロム 65(コウタロウ)、ALTA J CB ブルー(シオさん) ●硬さ:X(コウタロウ)、S(シオさん)
■ マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオフォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S
コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED 6 ●硬さ:X

ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。