ゴルフ日和

「日本オープン」開催を機にエリア活性化を目指す ~玄海GC

2024/01/31 13:00

現時点で最も先の「日本オープン」開催コースに決まっているのが、2029年開催の玄海ゴルフクラブだ。合わせて、2026年に「日本シニアオープン」が行われることも発表されている。2023年1月から8カ月間に渡って休業し、コースの改修、クラブハウスの改装、練習場の整備を行い、着々と準備を進めている。開場60周年を迎えた玄海GCは「日本オープン」の開催を機に新たな姿に生まれ変わろうとしている。

日本オープン開催の必要性について語る平光貴総支配人

玄海GCが「日本オープン」開催に向けて動き出したのは2020年のこと。親会社からトーナメントをやろうという声が上がると、平光貴(たいら こうき)総支配人は男子ツアーに狙いを絞った。「九州のゴルフ場として名前が挙がるのは古賀GC芥屋GC(いずれも福岡)、フェニックスCC(宮崎)と男子ツアーの開催実績があるコースばかり。四国のKochi黒潮CC、関東近郊の太平洋クラブ御殿場C、川奈ホテルGC(いずれも静岡)も同様です」。知名度を上げ、多くのゴルファーにプレーしてみたいと思われるには女子ツアーよりも、男子ツアーの方が効果的というのが平支配人の考えだった。その中でも「歴史があり、格が高いトーナメント」として「日本オープン」開催を目指すようになった。

かつては2グリーンだったコースを1グリーンへ改修。クロスバンカーの位置も後方へと変更

主催の日本ゴルフ協会(JGA)と話し合いを重ね、2029年の開催コースとして発表されたのは2023年6月のこと。このころは2グリーンから1グリーンに変更するなど、コース改修の真っ盛りだった。「みんな泥んこになりながらやっていましたね」。クローズだった8カ月間はキャディ、フロント、営業などの普段の持ち場に関係なく、ゴルフ場のスタッフがコース改修の作業に入った。主に行ったのは芝の張り替え。男子プロの飛距離に合わせて、位置を変更したクロスバンカー周辺、グリーン周りの芝などはスタッフが担当した。

ゴルフ場スタッフ総出でコース改修に携わったことで、さらなる愛着が生まれた

「専門の業者の方にご指導いただきながら、面積にすると約10万平方メートルを我々自身の手で張り替えました。スタッフ間でこれまで以上にコミュニケーションが図れましたし、コースにより愛着を持てるようになったと思います」。休業した8カ月は売り上げがなく、経営面で厳しい部分もあったはずだが、平支配人はプラス面を強調する。

受付をなくすなど、60年の歴史を持つゴルフ場では革新的な取り組み

今年だけで3度、コースを訪れているというJGAのアドバイスを受け、松林の下枝を伐採、ティイングエリアやグリーンといった観戦スポットの周辺に広いスペースを取るなど、トーナメント仕様への改造も進んでいる。まずは2026年の「日本シニアオープン」に向けて、万全の準備を行い、新たに課題が見つかれば、そこに対処していく方針だ。

「お客様とのコミュニケーションを大切に」とマスター室もなくなった

コースだけではなく、クラブハウスも大胆にリニューアルされた。画期的なのはフロントを排し、受付を含めて、自動精算機に一本化したことだろう。「メンバーの中には『無機質なのは嫌だ』という意見もありましたが、精算機の周辺にはスタッフが常にいるので、その心配はありませんと説明しました。カウンターの中にいるよりも、お客さんとコミュニケーションを取れるようにフロントをなくしたんです」。人員削減のための機械化ではないのがポイント。「部屋があると、どうしてもこもってしまう」とマスター室もなくし、テーブルだけのシンプルな形にした。60年の歴史を持つコースだが、現在の取り組みは革新的だ。

コース改修と共に練習場も開放感ある空間へと変わった

「日本オープン」開催により、全国的な知名度を上げることはもちろんだが、平支配人はさらにその先を見据えている。「福岡では芥屋GCを筆頭に博多から西のエリアのコースの人気が高く、東は古賀GCまで。玄海を含めて、さらに東にもゴルフ場がいくつもあります。トーナメント開催をきっかけに我々だけでなく、このエリア全体で盛り上がっていけたらと考えています」。スタッフが自らの手で改修に携わったコースで「日本オープン」が行われるのは5年後。日本のトップ選手たちが最高のプレーを披露することが、その先に繋がっていく。