【ゴルフ場毒虫シリーズ】肌を噛み切って吸血する超小型羽虫ブヨ
夏のリゾートシーズン真っ盛り。自然に囲まれたゴルフ場でのラウンドは気分が高まるもの。しかし、気を付けないといけないのが、ゴルフ場に潜む毒虫だ。木陰に打ち込んでボールを探していたら、いつの間にか何かに刺され、かゆくて集中できなくなったなんてこともあるのでは? 兵法書の孫子には「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」としるされている。ゴルフ場によく出る虫について、あなたはどれだけご存知ですか?
羽音もさせずにいつの間にか近寄り…
直接の被害有無を問わず、ゴルフ場で「ブヨに刺された」という話を聞いたことがある人は多いはずだ。では、ブヨの実際の姿を見たことがありますか? 猛烈なかゆみや真っ赤に大きく腫れあがった患部で、蚊よりも大きな虫を想像してしまいがちだが、実体は蚊よりも小さな体長2~4mm程度の羽虫。
形状も、口が針状に細い蚊とはまったく異なり、羽根のつき方などもどちらかというと蝿に近い。よく目にするイエバエと比べると半分~4分の1程度のサイズで、蚊とも飛び方が異なるせいか、羽音が聞こえにくく、ゴルファーが気付きにくい厄介な毒虫だ。
近くにきれいな川が流れているところは注意
ブヨは日本全国に約60種類が生息していて、正式名は「ブユ」。本文中で使っている「ブヨ」は関東などでの一般的な呼び名で、ほかにも「ブト」と呼ぶ地域もある。代表的な種類はアシマダラブユやキアシオオブユ。
水があるところならどこでも発生する蚊とは違い、渓流のような流れのあるきれいな水辺で幼虫は成育する。都会型の生活環境にはあまり生息しないので、多くのゴルファーがその症状のひどさに動転してしまうわけだ。発生時期は3~10月で、積雪するような冬の時期以外は年中活動している。特にゴルフ場だと朝夕の涼しい時間帯に活動が盛んになるので、夏の早朝スループレーや薄暮プレーの際は気を付けた方が良いだろう。またジメジメ湿気が高かったり、曇りで気温があまり高くなかったりする日は日中でも活動するので、油断はしないほうが良い。
蚊と同様にメスが吸血する習性を持つ。ただ直接針を刺してくる蚊とは違い、ブヨは人の肌を小さく噛み切り、そこから出た血を吸う。噛まれた直後はそれほどかゆみや痛みを感じないが、徐々にアレルギー反応が起こり、噛まれたところは痛みを伴ったかゆみが増大する。ヒトが症状を自覚するまでに時差があり、しかも蚊とは異なって群れを作ることがあるため、いつの間にか何カ所も噛まれていたなんて話も聞く。体質によっては大きく赤く腫れ上がってしこりが残り、症状が1~2週間続き、皮膚科に行かないといけないなんてこともある。
対策はハンドソープも効果的!?
ブヨは特に露出されたスネなど下肢を狙ってくる。対策はなるべく肌を露出しない服を選ぶことだ。最近ではブヨに効果的な虫よけスプレーも売っているので、服の上から噴射しておくのも効果的だ。
山梨県にある西東京ゴルフ倶楽部に問い合わせたところ、コース近くを流れる川付近に生息していて、たびたび出没しているとのこと。特に夏の朝夕涼しい時間帯になると活動が活発になり、ゴルファーに対策を呼び掛けているそうだ。同クラブとしては川付近の草刈りをしたり、虫よけスプレーの提供、ハッカ油のスプレーを作ったりとしているが、最も効果が出ているのがハンドソープ。スタッフの小牧利弘さんに話を聞くと「(ハンドソープの)液を直接塗ると、肌に膜ができるためかブヨがよりつかず、効果的なようです」とのこと。ただ100%刺されないわけではないので、ゴルファー自身の事前対策も必要だろう。