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【CG動画でスイング解説】コーチから見た渋野日向子「ココがすごい!」

2019/09/12 14:58
渋野日向子のスイングを3DCG(スイングアバター)化

8月に「AIG全英女子オープン」を制し、42年ぶりとなる日本勢によるメジャー制覇を成し遂げた渋野日向子。以降も13位タイ(北海道meijiカップ)、3位タイ(NEC軽井沢72)、5位(ニトリレディス)と、途中、体調不良に見舞われつつも好調なゴルフを続けている。常に上位で戦える渋野の強さの秘密はそのスイングに隠されているのか。渋野を指導する青木翔コーチの話をもとに、スイングをCG化した「スイングアバター」映像を交えて見ていこう。(以下、青木コーチの解説)

D.ジョンソンに似ている理由

D.ジョンソン(Ross Kinnaird/Getty Images)と渋野のインパクトを見比べるとたしかに似ている

渋野のスイングは周囲からはダスティン・ジョンソンのスイングに似ているとよく言われ、本人も認めています。ジョンソン選手を参考にしてスイングを作ったわけではないのですが、渋野にもともとあった、トップで左手首が手のひら側に折れる動きを「悪い動きじゃない」と教えるためにジョンソン選手のスイング動画を見せたことがあります。その個性を活かしてスイング作りを続けた結果、いまのスイングが出来上がりました。

男子プロのようなインパクトゾーン

渋野のスイングの特徴をひとことで表すと、たしかに「男子プロっぽい」です。1Wをハンドファーストで打てる選手は女子ではほとんど見られません。トップで左手首が手のひら側に折れた状態をキープしたまま、後述する「深い捻転からの体の回転」でスイングしています。このように振ることで、インパクト前後でフェースがスクエアな状態が長くなり、ヘッドの動きもよりストレートに近くなります。安定して曲がりにくいスイングを実現していると言えるでしょう。

「深い捻転からの体の回転」をCGで解説

CGの「スイングアバター」で体の動きを見ていきます。まず、アドレスでは重心を下げて構えています。そしてバックスイングでは右足のライン(赤ライン)からはみ出さないところがポイントになります。始動時は少し右にスライドして体重を右足に乗せていきますが、以降は右に流れないのでパワーが逃げません。

頭上からみると、トップで腰(緑ライン)と肩(赤ライン)に大きな捻転差ができている

下半身が右に流れないことで、トップでは大きな捻転差ができ、パワーを蓄えられています。

頭上から見た場合のスイングアバター動画です。捻転してためたパワーを使い、体の回転で一気に振りきることで、フィニッシュでは体が回りきっているのが分かります。

続いて後方からに視点を動かしました。体を一気にターンさせるためには、前傾角度をキープすることも大切です。この角度から見ると、スイングを通して前傾をキープできているのが分かります。以前はインパクトで起きあがる動きがありましたが、頭の上に私の手を置き、繰り返しスイングさせる練習で修正しました。

渋野日向子のスイングをいろいろな角度から

スイングアバター化することで、どんな角度からでもスイングを見ることができるようになった。最後にさまざまな角度から渋野のスイングをご覧いただこう。

■ 青木翔 プロフィール

福岡県出身。大学卒業後はツアープロを目指すが、2011年よりゴルファーの指導を開始し、2012年にゴルフアカデミー「ASGA」を設立。現在は渋野日向子を始めとするツアープロやジュニアゴルファーの育成に力を注いでいる。2019年「AIG全英女子オープン」では渋野のキャディを務め、メジャー制覇へと導いた。