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男子プロの飛距離と「身長」「体重」「年齢」の相関を調査

2019/10/08 17:30

国内男子ツアーの「ドライビングディスタンス」上位は…?

前週の国内男子「トップ杯東海クラシック」で、第3ラウンド終了後にドライビングコンテストが初開催され、パワーヒッターの競演が注目を集めた。多くのアマチュアゴルファーにとって1ydでも遠くへは永遠のテーマであり、憧れでもある。男子プロのダイナミックな飛ばしの秘密を探るべく、ドライビングディスタンスの上位ランキングを精査してみたところ、「身長」「体重」「年齢」で意味のありそうなデータを発見した。

(※編注:データはすべて2019年10月7日午前11時現在)

日本ゴルフツアー機構(JGTO)公式ホームページで、2019年度のドライビングディスタンス部門のランキング上位10選手を、まず「身長」「体重」に注目して見てみた。身長180cm以上が6人、体重80kg以上が6人と“体格に恵まれた”(日本人の平均身長171.4cm、平均体重68.3kg=2016年厚生労働省調べ)選手が名を連ねていることが分かる。一方、トップ10選手の「年齢」は平均28.6歳で、若年化が進んできたとされるツアー現場の感覚からすると、意外にも“アラサー”な結果となった。

以前にGDOでは、女子プロの飛ばし屋に注目して、「身長」「体重」と飛距離の相関は見出しにくい という趣旨の記事を掲載したことがある。性別が異なれば、傾向も異なるということなのだろうか?

今回は少し踏み込んで、ドライビングディスタンスのランキング表を、1-30位の選手と31-60位の選手にグルーピングして、それぞれの平均データも比較してみた。すると、「身長」「体重」と「飛距離」の相関がより分かりやすくなった。

まず、「身長」は1-30位の平均が180.1㎝だったのに対し、31-60位の平均は174.7㎝で、約5㎝以上の差があった。また、「体重」に関しても、1-30位の平均は80.5㎏だったが、31-60位は75.5㎏で5㎏もの違いがあると判明した。

180㎝以上または80㎏以上の選手の割合

身長180㎝以上、または体重80㎏以上のどちらかを満たす選手数を、それぞれのグループ内での割合にしてみると、体格と飛距離の相関はより明確に見える。つまり、身長が高く体重が重い選手が飛ばしに長けていると言えるだろう。

もちろん“たまたまそうなっている”可能性は否定できない。ただ、今シーズンの男子ツアーに関して、以前にGDOが女子プロの飛距離傾向を調査した時と同じ傾向ではないとはいえそうだ。

一方、アマチュアでもパワー差を認識しやすい「年齢」はどうだろうか。30位までの選手の平均年齢が30.8歳に対し、31位以下の選手30人は30.3歳…グルーピングした比較では、意味がありそうだと推測できるほどの大きな差はなかった

ちなみに、今シーズンの平均飛距離トップ60の中で最年長の選手は、2009年にメジャー大会「全米プロゴルフ選手権」の優勝経験を持つ47歳のY.E.ヤン(韓国)で、飛距離は291.98ydとランキング36位につけている。

「身長」「体重」「年齢」に負けず飛距離を伸ばす選手も

ドライビングディスタンスのランキング表をトップ100まで広げて眺めると、気になる選手も見つけられた。9月の国内男子「パナソニックオープン」で、今季3度目のトップ5フィニッシュを果たした藤田寛之。6月に50歳の誕生日を迎え、身長168cm、体重70kgと小柄でもあるが、四半世紀にわたって毎年ツアーに残してきた平均飛距離を折れ線グラフにすると、飛距離をかなり伸ばしてきたことが分かる。シードを守り続け、43歳となった2012年には年間4勝で賞金王を獲り、“中年の星”と話題になったトッププロであればこそ、言及しておきたいデータだろう。

記録が残っている1995年は255.84ydだった(当時26歳)が、50歳の今季はここまで278.50yd(ランキング87位)で、驚くことに、飛距離を若い時より22.66ydも伸ばしていたのだ。実は、藤田のように長くトッププロを続けるには、技術や精神面での円熟や体のケアが欠かせないだけでなく、日進月歩で進化を続ける最新ギアへの適応力がハードルとなる。契約先メーカーの最新ギアを使う責任を負い、手に馴染んだクラブを使い続けることが難しいケースが多いためだ。つまり、飛距離が伸びているということは、トレーニングによる単純なパワーアップだけでなく、最新のテクノロジーを上手に味方につけている証左とも言えるのだ。

プロほどは技術の円熟が望めず、現実的な体力向上も望みにくいアマチュアにとって、藤田の飛距離アップはそういう意味でも“中年の星”なのかもしれない。誰しも年齢を理由に飛距離をあきらめず、最新ギアによる道具の恩恵を生かそうとする道に、一筋の光を感じさせるデータといえそうだ。(編集本部・大久保彩)