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スイングアバターで今平周吾の「安定感」を解き明かす

2020/02/18 13:00
今平周吾のスイングを「アバター(3DCG)」化(撮影 2019年 長嶋茂雄招待セガサミーカップ)

2019年に2年連続で賞金王に輝いた今平周吾。同年は2勝を含む16回のトップ10入りと、出場試合の6割を超える驚異的な記録を残した。ゴルフは調子の波がつきものとされるなか、長期的に安定した成績を残せるスイングの秘密はどこにあるのか。今平のスイングを3DCG化した「スイングアバター」を使って、フィジカルトレーナー・菅原賢氏が体の動きを様々な角度から分析する。(以下、菅原氏の解説)

調子が悪くても曲がりにくいスイング

今平選手のスイングを見た第一印象は、「曲がりにくそう」です。“長いインパクトゾーン”を実現するための体の動きが見てとれます。だからこそ、調子の良くないときでもスコアを崩しにくいのでしょう。

やや狭いスタンスで構え、大きな体重移動を使わず、上体が狭い範囲で回転しています。左右へ大きく体重移動するスイングと比べて、再現性の高い動きです。

ひざの高さに線を引いてみると、両ひざの高さがアドレスからインパクトまでほとんど変わりません。

最近の流行は、ひざを伸ばしながら地面を蹴ることで体の回転を加速させるスイングですが、今平選手は左ひざの角度がキープされたままインパクトを迎えます。クラブヘッドが急激に返ることがないので、コントロールしやすいのでしょう。強靭な下半身の筋力によって、ひざの角度を変えずに踏ん張ることができるのだと分析できます。

インパクトで曲がった左ひじも曲がらない要素のひとつ

また、今平選手は意識して行っているわけではないと思いますが、左ひじを曲げた状態でインパクトしています。これによってもクラブのローテーションが抑えられ、インパクトゾーンが長くなっています。

ここまで今平選手のスイングの安定性について説明してきましたが、その上で飛距離が出る(2019年の平均飛距離 292.93yd)のは、切り返しで「ひざ→腰→胸」と、下から順に動かすことによって、捻転でタメたパワーを最大限に活かしているからといえます。これからも長期に渡ってツアーで活躍するのは間違いないでしょう。

■ 菅原 賢(すがわら・けん) プロフィール

1975年生、岩手県出身。パーソナルゴルフトレーナー。東京法科学院スポーツビジネス学科を卒業後、運動療法士などの資格を取得。国内男子ツアーの帯同トレーナーなどを経て、日本初となるゴルフ専門フィットネスクラブ「トータルゴルフフィットネス」を立ち上げた。現在も多くのプロゴルファーを指導している。