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ゴルフ場の「目覚め方」 あまり知らない冬季クローズ中のお仕事

2020/03/15 16:00
冬季クローズ中の業務を聞いた ※提供:鳴沢ゴルフ倶楽部/2019年2月1日撮影

冬季クローズ中のゴルフ場が、ようやく通常営業をはじめる季節になってきた。期間中は雪が大敵であることは何となく想像できるけれど、その業務を詳しく知るゴルファーは少ない。除雪方法やスタッフの勤務形態など気になることが膨らんだので、近日オープン予定の鳴沢ゴルフ倶楽部(山梨県)に内情を聞いた。

クローズ&オープンの目安は? 積雪量で変わることも

標高1100mの高地に位置し、冬から春にかけては美しく雪化粧した富士山が望める同ゴルフ場。この冬は記録的な暖かさにより降雪量は少ないそうだが、今年で在籍8年目になる青山彪逸(あおやま・ひょういち)支配人によると「以前は必ずというほど積雪し、オープン間近まで積もっていることが多かったですね」という。

同ゴルフ場では基本的なクローズ期間を12月第3週から翌年3月第2週(約3カ月)に定めており、その年の降雪量により多少の前後調整を行う。18年は1週間ほど前倒して12月第2週からクローズ。この冬は平常通り19年の12月23日(月)にゴルフ場を閉めたが、オープン予定だった20年の3月14日(土)が降雪に見舞われたため、クローズは翌週はじめまで延長される見通しだ。

※以下、説明はすべて同支配人

メインは「除雪」よりも「融雪」

――除雪を行うタイミングは?

「クローズ期間に入ると、基本的に除雪作業は行いません。降雪量にもよりますが、2月までは積もりっぱなしにして、3月に入ってから作業を行う流れです。積雪量により、作業に入るタイミングをオープン日から逆算していく形になります」

――具体的な除雪方法は?

「コース内の8割から9割は、雪をとかす『融雪』で行います。当コースでは“融雪剤”を用いることが多く、散布車を使って雪面に均一に撒き進めていきます。これは時間の経過とともに黒く変色するもので、太陽光の吸収率を高めることで融雪を促します。人力や重機による『除雪』は除いた雪を別のところに寄せておく必要があり、大量に積まれた雪はとけにくく、長くコース内に残ってしまうため、なるべく融雪にしてプレーゾーンを広げる目的があります」

対して、管理道路やカート道路は小型の重機を入れながら、主に人力で除雪作業を行うとのこと。そのほか、日当たりが悪く雪が残りやすい場所や、勾配が急な斜面なども人力が中心。管理スタッフがスコップで雪をかき、小型トラックの荷台などに積みこむ作業となる。

降雪量が増えればコストも膨らむ…融雪剤は最大20トン!

鳴沢ゴルフ倶楽部に備蓄されている融雪剤 ※提供:鳴沢ゴルフ倶楽部

――降雪量によってコストは変わる?

「もちろん変わります。融雪剤は購入するものなので、降雪量が多い年には購入量が増えることになります。当コースが扱う融雪剤は1袋20キロのもので、18ホールあたり約200袋(4トン)を散布します。降雪が少なければ一度で済みますが、多い年には1000袋(20トン)に達することもあります。また、融雪・除雪ともに作業員が増える分だけ日当も発生するので、人的なコストも膨らみます。積雪が多い時には総動員で行い、急きょお願いするキャディさんを含めて1日50人くらいで一斉に作業を進めることになります」

なお、ホームセンターなどで手に入る市販用の融雪剤は塩化カルシウムを主成分にするものが多いが、ゴルフ場では芝生が“塩害”を起こす恐れがあるため、含まれているものは基本的に使用しない。同ゴルフ場が発注する融雪剤にも「ゴルフ場専用」と記され、芝の生育を促す養分などが含まれる。

クローズに関する豆知識

――ゴルフ場スタッフの過ごし方は?

「基本的には公休や有休消化にあててもらい、1月から2月にかけてはお休みしてもらうことが多いですね。現在34人いるキャディさんは季節雇用なので、クローズのタイミングで一時的に雇用を切り、3月に再雇用する形態を取っています。キャディさんの中には、他のオープン中のコースなどでアルバイトをされる方もいれば、家族旅行などでゆっくり過ごされる方もいるようです」

――クローズ期間中のクラブハウスは?

「当コースではクラブハウス内もクローズにしています。お風呂やキッチンなどの水回りなども、凍結してしまうのですべて水抜きをしている状態です。電話対応や、オープンに向けた作業を行う事務職員が中に入ることはありますが、基本的にはクローズ前に大掃除をして、その後はクローズ。オープン前に再び大掃除をして、お客様を迎え入れる形です」

――除雪や融雪直後の芝はどのような状態?

「地表面と地中は、日陰などで最深30センチほど凍っていることもあり、雪に埋もれていた芝は休眠状態にあります。オープンに向けては特別な作業を行うことはなく、気候待ち(自然の融解を待つ)となります。もちろん肥料等の散布は行いますが、これは通常作業の一環として行われるものになります」

最後に…今後も続く雪との戦いについて

以前は積雪が数メートルに達するときもありましたが、近年は暖冬の影響で降雪量が少なくなってはいます。とはいえ、今年もオープン予定日(3月14日)に雪予報が出ておりますし(結果的にクローズ)、キャンセルが増える可能性も高まります。雪が降ると、従業員のみなさんは朝5時くらいに出勤して電話対応に当たることになりますし、やはり降雪の動向には神経を使い続けることになりますね。