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クラブ別の練習量に上達のヒント あなたの配分は?

2020/08/23 11:45
ドライバー・アイアンの配分は何%が正解?(kou/PIXTA)

SNSで「ショットの練習にかけた時間と情熱を100としたら」というテーマが話題となった。ドライバー〇%、アイアン〇%…といった具合に、クラブ別の練習量の配分を言い合うというもの。課題や考え方によって人それぞれとはいえ、そこに上達へのヒントが隠れているかも…。ということで、一般ゴルファーの典型的な例について、プロコーチに分析してもらった。

アマチュアゴルファーの典型的な配分例

ゴルフ歴2年目のNさんと10年目のUさんの練習量配分

平均スコア110台で、目下100切りが目標というNさん。「練習場ではアイアンが多く、次にドライバーといった具合です。バンカーやパターは、ラウンド以外あまり練習しません(笑)」と、ドライバーとアイアンで6割以上を占めていた。

ドライバー 30%
FW・UT 10%
アイアン 35%
アプローチ(PW・AW) 15%
バンカー(SW) 5%
パター 5%

平均スコア90台のUさんは、「練習場では7番アイアンの割合が圧倒的に多いです。前後でアプローチやドライバーを少々。自宅でたまにパターマットで練習もしています」と、アイアン中心の構成だった。

ドライバー 10%
FW・UT 10%
アイアン 40%
アプローチ(PW・AW) 10%
バンカー(SW) 5%
パター 25%

プロコーチが指摘する「アプローチ練習」の少なさ

上記の例を踏まえ、青木瀬令奈の指導をはじめ、ジュニア育成にも力を入れるプロコーチ大西翔太氏は「共通して言えるのは、アプローチの量が少ないことです」と指摘する。

「ゴルフを運動として捉えず、同じ動きを再現する型と捉えるべき」と大西コーチ

「NさんもUさんもアベレージゴルファーの代表例だと思います。その中で、アプローチ練習がNさんは15%、Uさんは10%と、とても少ない印象です。できるなら、全体の35%くらいはアプローチに時間を割くべきだと考えます」

アプローチ練習の重要性について、大西氏は次のように説明する。

「アプローチでの体の回転がすべてのショットにつながります。プロもアマチュアも、アプローチでの小さな回転運動がスイングの基礎になるからです。下腹部、特に丹田(たんでん)と呼ばれるおへその下部を使いながらスイングを行います。体全身でクラブを押していくような動きで、ボールを運ぶように打つ。“打つ”というより“運ぶ”イメージが重要です」。ショット技術はアプローチで磨くというのが、大西氏の理論の柱になっているようだ。

「ドライバー練習」の過多はスコアアップの弊害に

もうひとつの注目点として、大西氏は2人の大きな違いとなっているドライバーの割合について言及する。「平均スコア110台のNさんが30%、90台のUさんが15%。この差が100切りの境界線のように見受けられます」と語る。

アベレージゴルファーにおすすめの大西氏の理想値

「私の理想としては、ドライバーの比率は10%ぐらいが適当ではないかと考えます。ボールを遠くに打つと楽しいし、気持ちが良いのは事実です。本番では飛距離も重要なポイントですが、練習時にはあまり飛距離を重視することはおすすめできません。スコアを縮める実戦向けの練習と考えると、遠回りになってしまうからです。ドライバーの量を抑え、その分をアプローチの時間に回してほしいと思います」

ドライバー 10%
FW・UT 5%
アイアン 25%
アプローチ(PW・AW) 35%
バンカー(SW) 5%
パター 20%

上のグラフは、大西氏がアベレージゴルファーにおすすめする理想値だ。大きな特徴は全体の60%をアプローチ(35%)とアイアン(25%)に割くというもので、短いクラブを中心にした練習を推奨する。スコアに伸び悩んでいるゴルファーは、上記の配分例を参考に練習メニューを組み立ててはどうだろうか。

■ 大西翔太(おおにし・しょうた) プロフィール

1992年生まれ、千葉県出身。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務め、初優勝を含む現在の活躍に大きく貢献。ジュニア育成にも力を入れる人気ティーチングプロとして、多くのメディアで活躍中。確立されたゴルフ理論と分かりやすい指導で、アマチュアからも多くの支持を得る。