知られざる「バックティ使用の目安」 正解は?
細かいティの設定はゴルフ場によって異なるが、ティイングエリアには主にレギュラーティ(白ティ)とバックティ(青ティ)が存在する。上級者は距離が長いバックティを選ぶ傾向にあるようだが、さてレギュラーティを卒業するタイミングはいつが良いのか? このふとした疑問についてゴルフ場責任者、ティーチングプロ、トップアマ、それぞれに見解を聞いた。
■プレーファスト実践が最重要
鹿島の杜カントリー倶楽部副支配人の宇田清志さんは「バックティに関しては制限を設けておりません」と明言する。
「当コースでは、チャンピオンティ(黒ティ)に関して、プレーヤー4人のハンディキャップの平均がシングル(※)にならないと使用をお断りさせていただいております。ですが、バックティは特にルールはなく、申告も不要です。ただし、途中で進行が遅れ、前の組と差が開いてしまうようなら注意を促すケースがあります」
ゴルフ場の規定は“なし”としながらも、「個人的な意見を言わせていただくなら…」と、宇田さんは続ける。「目安はプレーヤーのレベルではなく、進行への意識だと考えます。ショット間のルーティンや回り方、グリーン周りでのクラブの置き方などプレーファストを心がけている人であれば、どのティを使用しても問題ないと思います」と、優先すべきはスムーズな進行であることを強調した。
※ハンディキャップ(HC):JGA、USGA、所属ゴルフ場認定ハンディでも可。「シングル」はHC9以下を指す
■平均スコア85以下? 飛距離が目安に!?
「ゴルフテック」コーチの菅田昌貴さんは「ゴルフには色々な楽しみ方があって良いと思いますが、大体の目安はベストスコア78以下、平均では85以下は守るべき境界線だと考えます」と、具体的な目安を示した。
「よく『バックティで回ったから80台をたたいてしまった』と、スコアを崩した原因を、距離のせいにする人を見かけますが、距離によるがまん比べは本来ゴルフが持つ楽しみ方とかけ離れているように感じます。海外では“5番アイアンの飛距離×36”で、自分にマッチしたコース総距離を判別する目安があります(170ydの場合:170×36=6120yd)。ゴルフはパーを獲っていくスポーツ。パーをどれだけ試行錯誤して獲るか。その目的から離れてしまう設定は、あまり推奨できるものではありません」
無理を強いられる設定ではなく、最適な距離でプレーすれば、スコアアップにもつながるというのが、ティーチングプロの見解のようだ。
■自分では決められない… 上級者の意見が目安
プロの大会にも出場するトップアマの中村正美さん(54)は「ローハンデ(HC0以下)レベルの人に認められた瞬間かなー」と、自身の体験に基づくタイミングを振り返った。
「自分がバックティを使うようになったのは、ローハンデの人に『そろそろバックティで良いのでは?』と言われた瞬間。当時はハンデ7、8くらいだったと記憶しています。それ以前から回れる自信はありましたが、個人では明確な判断ができず、レギュラーティでスコアを縮めることに専念していました。自分で目安を作るより他人に認められたときに実感し、卒業を決めるものかなと思っています」
トップアマの見解は、レギュラーティ卒業の目安は自分で決めるものではなく、他者に促されて初めて決めるというものだった。
見識が問われる「適切な判断」を
プレーファストの意識、厳守するべきスコアの目安、他者に認められること――レギュラーティ卒業のタイミングについて、それぞれ異なる回答がそろった。総評するならば、特に明確な目安というものはなく、プレーヤーの適切な判断と見識が問われるテーマだということだろう。