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「5G」や「IoT」で“未来の”ゴルフはもっと楽しくなる? ゴルフソリューション展示会を視察

2020/12/02 12:00
5G×IoTゴルフソリューション

総合エンジニアリング&サービス会社のミライト(本社・東京都江東区/代表取締役社長・中山俊樹)が、「5G」(第5世代移動通信システム)を活用したゴルフサービスを提案する「5G×IoTゴルフソリューション展示会」を開催した。ゴルフコース内やクラブハウス内での展示に加えて、実際のラウンドを通じて「5G」を使った“未来の”「ゴルフソリューション」を垣間見ることができたので、印象に残ったものを紹介したい。

同社はゴルファーの体験価値向上とゴルフ場の効率運営という2つのコンセプトを提案。中山社長によると一つ目は、ゴルフ人口が減少傾向にある近年において「若いゴルファーに戻ってきてもらいたい」との思いで掲げる「エンターテインメント」だ。これは、主にプレーヤーに向けた提案となる。

この日はショットのデータが設置されたモニターに映し出された

まず感心したのは、すでに発売されているラプソード社の弾道測定器を使った「打球落下地点予測」だ。ショットの際に後方に設置したドップラーレーダーでボールを追尾し、iPhoneやiPadの高性能カメラでデータを解析。トーナメント中継でお馴染みの弾道軌道や、飛距離、ボール初速、ヘッドスピード、打ち出し角度、打ち出し方向などを瞬時に高い精度で測定してくれるもの。

録画した動画によるスイングチェックはもちろん、例えば霧や逆光によって肉眼でボールを追えないときや、ボールを大きく曲げたとしても、その行方をおおよそ把握できる。いまのところプレーしながら持ち運ぶには少しかさばる大きさだが、もっと気軽に使えるようなものになれば、“飛んで曲がる”タイプのアマチュアゴルファーにとっては、大きな恩恵となることだろう。

他パーティ映像配信サービスのコンセプトモデル

コンペでは、「他パーティ映像配信システム」がさらなる楽しみ方を提供する。昨今は、スコア管理アプリやカートナビに搭載された「リーダーボード機能」が普及し、複数組でのコンペにも一体感が生まれるようになった。同システムはその機能をさらに充実させ、各ホールのティイングエリアやグリーンに設置した4Kカメラで撮影された映像を「5G」で高速通信し、別の場所のモニターなどからライブで見ることが出来る。カートナビやスマートフォンでも見られるようになれば、気になる他パーティの様子をリアルタイムで確認できるので、ニアピン対決などを盛り上げるのに一役買いそうだ。

展望を語るミライトの中山俊樹社長

中山社長が口にしたもう一つのコンセプトが、ゴルフ場を対象にした「課題解決」だ。「ゴルフ場はたくさんの悩みを抱えている。我々もゴルフ場経営者の一人として課題解決に取り組んでいきたい」と述べ、ゴルフ場管理者向けのシステムも多く披露された。

「ドローンによるコース点検」は、4Kカメラを搭載したドローンがコース上空を巡回し、AI画像解析によって、リアルタイムでコース内の安全を点検する。将来的には過去の動画と比較することで、倒木やクラブの忘れ物などコース状況の不具合を検出し「5G」の高速通信によって即座にマスター室に知らせることも可能だ。

「IoTグリーン管理」は、地中に埋め込まれたIoTセンサーによって、グリーンの土壌状況(酸性度、含水率、土壌温度、電気伝導度、表面温度)をモニタリングする。グリーン横の4Kカメラでは害虫や芝生の枯れを監視。これらによって、熟練グリーンキーパーの経験や勘に頼っていた情報をデータ化し、専門知識がなくても精度の高い管理が可能になるという。

その他、コース管理スタッフの負荷を大幅に削減する「AI自動芝刈り機」や、ゴルフ場を3Dスキャナでデジタル化するシステム、トーナメントのTV中継で一役買いそうな、「5G」を使った8K映像の伝送システムなどが披露された。

今回展示されたシステムの多くがコンセプトモデルや実証実験中の段階であるが、中山社長は「総合的にはまだまだ時間はかかると思うが、部分的には実用化は手近なところにあると思っている」と言い、早期実現に向け意気込む。「それが結果的に我々の事業、社会インフラ作りにもつながっていくと思います」と将来を見据えた。

下に置かれているのが弾道測定器
エントランスにはAI温度検知器が
ゴルフコースをデジタル化する3Dスキャナ
スキルモニターによるスイング診断