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世界一ゴルフが上手いサッカー選手を大解剖 ガレス・ベイルも掌屈をやっていたなんて…

2024/08/20 08:00
ゴルフ中のファッションセンスも抜群なベイル(Getty Images)

トッテナム(英国)、レアルマドリード(スペイン)など欧州トップクラブで活躍した、ウェールズ代表の元サッカー選手ガレス・ベイル。サッカー界のレジェンドはゴルフ界でもその名が知られつつある。ハンディキャップ0.3の腕前。ことし2月にPGAツアーの「AT&Tペブルビーチプロアマ」に出場し、家の庭にはコースを作ってしまった…。どっぷりハマっているゴルフへの愛着、スイングの探求心、ファンション論などを“ゴルファー”ガレス・ベイルにインタビュー。

家の庭に「ポステージスタンプ」!?世界有数パー3をコピー

オンラインでベイルにインタビューを敢行

そのゴルフ歴は長い。現在35歳のベイルがサッカーのスパイクを脱いだのは昨年だが、ゴルフシューズは現役時代の若い頃から履いていた。「最初に始めたのは20とか21歳ごろだったかな。トッテナム時代のチームメートがみんなやっていて、そこでハマったんだ」。イングランドを代表するサッカー選手のカイル・ウォーカー(マンチェスターシティ)や、ハリー・ケーン(バイエルンミュンヘン)がゴルフ仲間だという。

24歳でレアルマドリードに移籍してもゴルフを続けたが、チーム内に仲間はいなかった。「スペインではサッカー以外の友達と一緒にプレーしていたね。南スペインのアンダルシアの方に行って、バルデラマ(レアルクラブバルデラマ)などを回ったりね。スペインにはいっぱいいいコースがあったから楽しかったよ」。ゴルフのことを話すベイルの目はキラキラしている。

レアルマドリード時代は右サイドを縦横無尽に駆け回ってゴールを量産(Getty Images)

趣味が高じ、ついには家の庭にゴルフコースを作ってしまった。「世界の有名パー3ホールをコピーしたんだ」。オーガスタの12番、TPCソーグラスの浮島17番、ロイヤルトゥルーンのポステージスタンプ8番を模した夢の3ホール。「オーガスタ12番は家に近すぎてグリーン手前のウオーターハザードを作れなかったんだ。だから代わりに深い谷にしたよ」と笑った。

世界一の「レフティモンスター」もゴルフは右打ち

現役時代のベイルのプレーを観ていた方なら、彼が左利きというのはご存じだろう。しかし、ゴルフは右打ちを選んだ。「左利きの右打ち」はプロゴルファーにもいて、ジョーダン・スピースセルヒオ・ガルシアなどトップ選手に多いのは有名な話。その利点をトップアマであるベイルも感じている。

「両サイドをバランスよく生かせて、スイングがワンサイドにならないのがいい。(右打ちの場合)リードアームである左腕と下半身リードの支点である左脚が強いというのは絶対に自分を助けてくれているはず」とプロゴルファー顔負けの自己分析を展開した。

ゴルフは右打ちのベイル(Getty Images)

最近はスイングの再現性を高めるためにスイングコーチを付けた。「昔はダスティン・ジョンソンを意識して少し左手を掌屈(手首を手のひら側に折る形)させていたこともあった。でも、それだと飛ぶけど曲がり幅も大きかった。今は新しいコーチと話をして、左手をストレートかつトップでクラブをフラットに上げるようにしているんだ。そのほうが再現性が高く、よりストレートボールが打てるからね」。やはりアスリートは、スイングへの探求心も強い。

サッカーもゴルフも「シューズ」に求めるのはスピードとパワーの両立

そんなベイルがゴルフのスパイクに求めるものは、サッカーのスパイクと違うのだろうか。

サッカーのスパイクは軽量モデルがベースだったという。「自分がスプリンターなので、速さを出してくれる軽いシューズを好んで履いていたよ。それと同時に安定性も気にしていたかな。パワーを出すのはもちろんだけど、ターンのしやすさなども大事だったからね。アディダスだと『F50X』という軽量スパイクをちょっとチューニングしてもらったやつを履いていたんだ」

左足から放たれるシュートは無回転ボールが多かった(Getty Images)

ゴルフもサッカーと似た傾向のスパイクを選ぶことが多いという。「けっこう求めるものは似ているかな。パワーを受け止める安定感はほしいけど、同時に足を速く動かすスピード感はほしい。特に左足の外側にはその安定感があるといいよね。その点で新しいコードカオスはソール外側のグリップもしっかりしているし、シューズ自体の軽さもあるからうれしい。やっぱり軽い方が歩きやすいからね」

“ゴルファー・ベイル”の目指すところは?

巷では「ベイルはプロゴルファーを目指しているのではないか」といううわさも立っている。その話を向けると、質問にかぶせ気味で首を横に振った。

「そもそも今からプロゴルファーになれるなんて思っていないよ。時にプロゴルファーと一緒に回ることもあるけど、彼らのレベルの高さにはいつも脱帽するんだ。とても到達できるとは思えないし、多分みんなが思っているよりも、ものすごくはるか先にいるからね。自分がサッカーで子供のころからハードワークをしてきたように、プロゴルファーも同じように努力してきている。自分が一週間毎日練習するのを数年続けたとしても、なかなか追いつけないと思うよ」

ベイルの中で20代から続けてきた“ゴルフ観”に変化が出てきている。「昔はプレッシャーから解放されてリラックスするためにやっていたけど、今は子供たちと楽しくできるのがうれしい。ゴルフってほんと好きなところがいっぱいあってやめられないよね」。サッカー界の元スーパースターは、ゴルフを通して第二の人生をエンジョイしているようだ。(取材・構成/服部謙二郎)

新しい「コードカオス25」。ベイルもお気に入りの一足だ

ガレス・ベイル(Gareth Bale)
1989年7月、ウェールズ・カーディフ生まれ。プロサッカー選手時代はイングランド・トッテナムホットスパー、スペイン・レアルマドリードなどで活躍。ウェールズ代表でも主将を務め、111試合で40得点は同代表の歴代最多得点。テクニックとスピードがあり、右ウィングとしてピッチを縦横無尽に駆け回っていた。ゴルフのハンディキャップは0.3。利き足は左足だが、ゴルフは右打ち。