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ザンダー・シャウフェレが語る スイング改造セルフ解説「クラブの上げ方をガラッと変えた」(前編)

2024/12/23 15:00
デサントのイベントの合間に自身のスイング改造の秘密を語ってくれた

2024年シーズンに「全米プロ」「全英オープン」とメジャーで2勝を挙げ、世界ランキングも2位まで浮上したザンダー・シャウフェレ。前年シーズンからの大きな変更点といえば、クリス・コモを新たにコーチに迎え、スイング改造に取り組んだことだ。コモはタイガー・ウッズの元スイングコンサルタントでもあり、現在はキム・シウー(韓国)やジェイソン・デイ(オーストラリア)、カート・キタヤマら複数のPGAツアー選手のコーチを務めている。合理的で高効率、そして体に負担のかからないスイング作りには定評がある。

クリス・コモ氏から指導を受けるシャウフェレ(今年の全米プロ)

――そもそも、なぜコモにコーチを依頼することにしたのでしょうか。

いちばんの理由は、体に負担のかからないスイングにして、なるべく選手寿命を伸ばしたいと考えたからです。とくに腰ですね。クリスはタイガーのときも、体に痛みが出ないスイングを作っていますから。父とも以前から相談していて「ゆくゆくはそういう(体にやさしい)スイングにしなきゃいけない時がくるだろうから、そのときはクリスに頼んでみよう」って決めていたんですよ。

――具体的なスイングの変更点を教えてください。

ひと言でいうと、クラブの上げ方を変えました。昨シーズンまでのスイングだと、とくに強く振ろうとした時に曲がりが大きくなってしまうという問題があって、それはダウンスイングでクラブがうまくプレーンに乗らなかったからなんですが、そこをなるべく速やかにクリーンに乗せられるようにしようと。

フラットなトップ(左)からややクロス気味なトップへ(右)

――トップでクラブの収まる位置が変わったように見えますが。

昨シーズンまではクラブがレイドオフになっていましたが、今シーズンはターゲットと平行か逆に少しクロスになるように上げています。その位置に収めるには、もう始動から上げ方が全然違って。以前はフェースをクローズにしながらヘッドを真っすぐ引く感じだったのが、今はそれに比べたらかなりインサイドに引いています。それと、途中から左肩を下げるようにして肩を縦に回しながら、手も縦に上げるところも前とはかなり違います。以前は途中から肩の回転が今よりフラットになっていましたから。

――上げ方を変えるのは、かなり違和感があったのではないですか。

このスイングに取り組んでからもう1年以上になりますが、まだ少し気持ち悪い感覚はあります(笑)。元々レイドオフに上げているという意識はなくて、自分の中で自然な感覚でテークバックしたときに勝手にそうなっていただけなので、そこを変えるには、今まで無意識だったことを意識してやらなくちゃいけない。それはすごく難しかったです。

本人の中ではかなりインサイドに上げている意識だ(写真左)

――新しいスイングが感覚的に馴染むまでに、どのくらい時間がかかったのでしょうか。

今シーズンを振り返ってみると、たとえばペブルビーチ(2月のAT&Tペブルビーチプロアマ)では、まだかなりひどいプレー内容だったと思います。初日の18番(パー5)で「8」を打ったりもしましたし。はっきり覚えているのは、そのティイングエリアでも、新しいスイングをしようという意識があって、自分ではこれでいいはずだというスイングをしたのに、海に2発も打ち込んでしまったんですね(笑)。まあでも、それはスイング変更の過渡期としては「しょうがない」と思っています。その後、マスターズがあって、振っていて気持ち悪いのは相変わらずだったんですが、それでもいいショットが多く出るようになってはいました。

今年5月のウェルズファーゴ選手権でのスイング。トップの形に注目

いちばん最初に、スイングの感触として「いい(nice)」と思ったのはクエイルホロー(5月のウェルズファーゴ選手権)ですね。最終的にロリー(・マキロイ)に競り負けて2位で終わりましたが、その週はずっといいショットを打っている自覚がありました。(その翌週開催の)PGA(全米プロ)に向けてすごく自信になりましたね。(取材・構成/服部謙二郎)

後編「シャフトクロスは悪なのか」に続く