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真相究明!「マウスピースをつけると飛ぶ」は本当か?

2017/11/29 11:45

「これ使うと飛ぶ」 疑惑の効果に迫る!

村田修一選手などプロ野球選手が使用していることでも有名 (Photo by Koji Watanabe/Getty Images)

いまから5年前に尾崎直道が「規則14-3.人工の機器と異常な携帯品、携帯品の異常使用」で失格となった“マウスピース事件”。自らホールアウト後に「これ使うと飛ぶ」と申告したことで、競技委員の耳に届き違反と判断された一件だ。

その後ゴルフ専用マウスピースが発売されるなど注目は集まったが、競技としてはルール違反となるため、それ以降大きく取りあげられることはなかった。だが、気になるのは本当に飛距離につながるかどうか――自らもマウスピースを愛用しているという北真門コーチ(ゴルフテック)に実際に装着して検証してもらった。

数値は微妙な結果に…ほぼ変化なし!

「H/Sが上がったのに飛距離が落ちたのは、打ち出し角が低くなったためでしょう」(北)

マウスピースを装着していないとき(未使用時)としているとき(使用時)で交互に弾道データを計測。7球ずつ測定した数値の平均を算出してみると、ヘッドスピードは0.2m/s↑、飛距離は1.66yd↓と、変化とは言えないほどの微妙な結果となった…。

北コーチは「上記の数値からも分かる通り、飛距離につながるかどうかははっきりと言えませんね」と苦笑い。

「理由は、いまやゴルフのスイングに奥歯をグッと噛みしめて、力を踏ん張るような動きは必要なくなってきたからだと思われます。踏ん張るような力は最小限に抑え、体の回転で飛ばすスイングが主流となってきていますので」

力の均等化によるショットの“安定感”

では、マウスピースのメリットはなし?

「いえいえ、メリットはあると思います。それは左右のバランスの均等化です。マウスピースをつけることで、右奥歯だけ左奥歯だけで噛む力が集中するということがなく、歯全体に均一に同じ力をくわえることができるというメリットが考えられます」

“均一”でメリット…?

「人間の歯の力は、背骨や両肩への傾きに影響してくると考えられます。右ばかり左ばかりどちらかに噛む習性があると、どうしても体の傾きはどちらかに寄ってしまうもの。特に頚椎(けいつい)と呼ばれる首部分の骨の傾きは、一定のスイングができるかどうかに関わってきます。なるべく体の傾きが一定となるように、歯の力を分散してくれるマウスピースは一役買ってくれるのではないかと考えられますね」

計測で使用したMyマウスピース

マウスピースは飛距離アップというより、スイングのバランスを整えるアイテム。ショットの安定感を生むためのサポートグッズとして効果があることが分かった。

「ショットの安定感がない…」という人はぜひ一度使ってみてはいかがだろう。ただし、競技ではルール違反となるためご注意を。

北 真門

解説/北 真門(MASATO KITA)
ゴルフテック新宿認定コーチ。1985年に北海道学生選手権優勝。米国ミニツアーやカナダツアーにも参戦経験を持つ。2004年JGTOライセンスを取得。デビッドレッドベターゴルフアカデミーにて最新メソッドを学び、13年日本プロゴルフ協会のティーチングアワードにて奨励賞を受賞。