50秒から40秒 スロープレー対策はスイングに影響する?
10秒の短縮、本当のところはどうなの?
日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は、今季からスロープレー対策強化として各ストロークに許容される時間を50秒から40秒以内に短縮した(最初にストロークする選手のみ50秒以内)。この10秒の短縮はスイングにどれほど影響するものなのか?スイング学に詳しい小栁宏明コーチ(ゴルフテック)に話を聞いた。
“マイナス10秒”が与える影響は大きい
今季ここまでの7試合で警告1人※、実際ペナルティを科された選手はまだいないが、その影響は目に見えない形で存在していると小栁コーチは言う。「10秒というのは体感的にもかなり長いです。10秒縮まることで、注意しなければならないチェック項目が1個または2個抜けてしまうと言えます」
※開幕戦から「KKT杯バンテリンレディスオープン」まで
チェック項目の“抜け”がミスにつながる
「チェック項目とは、アドレスの向きや体の動かし方などの“スイングチェック”と、風やライ、コースの攻め方などの“状況判断”の2つに分かれます。スイングの項目では、プロもアマチュアもいくつも頭に詰め込むと混乱してしまうので、多くても2~3個の項目を頭に入れておくのがベスト。その中で“抜け”が発生してしまうと、数ミリ単位の体の動きの違いで勝敗が分かれるプロの世界では、ショットに大きな影響が出てしまうと予想できます」
アマチュアは状況判断の“抜け”に注意!
「一方のアマチュアが注意すべき点は“状況判断”の項目です。プロは風やライなどを見極める項目を多く持っていますが、経験値の少ないアマチュアはあまり多くは持っていません。そこから1~2個の“抜け”を生んでしまうと、スイング自体も安定していない分プロ以上に大きなミスにつながってしまうのです」
たった10秒、されど10秒――
ストロークにかける時間の縮小は、プロとアマで影響度に違いはあるとしても、どちらもスコアに少なからぬ影響がありそうだ。特にアマチュアは、無駄な一打を撲滅することが最善のファストプレーになる可能性もある。進行には十分配慮しながらも、やみくもに焦ったプレーで本末転倒にならないように心掛けたい。
【プレーのペース(規則6-7注2)】 ※一部抜粋
各ストロークに許容される時間は40秒以内とするが、最初にストロークする選手に対しては50秒以内とする。この時間を超えたときにバッドタイムとなる。初回の違反は警告、2回目は1罰打、3回目は2罰打、4回目で競技失格となる。
取材協力/アジア取手カントリー倶楽部
解説/小栁宏明(HIROAKI KOYANAGI)
ゴルフテック銀座認定コーチ。9歳からゴルフを始め、ツアープロを目指して高校ゴルフ部で猛練習。その後、東京ゴルフ専門学校でゴルフのいろはを学び、卒業と同時にゴルフテックに就職。