ゴルフ場ができるまで(2)
タイのバンコクで、新たなゴルフ場を造るプロジェクトが進行している。小規模な改修とは異なり、1年半をかけて大規模な工事を実施する。2019年9月のソフトオープンに向け、プロジェクトの責任者が舞台裏をリポートする。
コースに高低差を作る
1カ月をかけて更地にした旧コースは、バンコクにはありがちなフラットでシンプルなレイアウトだった。そこで新たなコースは他との違いを出すため、高低差のあるレイアウトを採用することとなった。
高低差を作るには大量の盛り土が必要になるわけだが、その購入費用はもちろん、土の運搬にも多くの時間が必要となる。そこで我々はまずコース全体を1.8mほど掘り下げ、掘った土を盛り土として利用する方法を取ることにした。
しかし土地的な理由から、単に掘って盛ればいいという話ではなかった。バンコクは川が多いデルタ地帯で、土壌が緩い。そのため、ただ土を盛っただけでは崩れやすく、地盤沈下してしまう可能性があるのだ。我々はこの問題を専門家に相談し、コースに高低差を作る基礎となる地盤強化の工事の実施が決定した。
多彩なレイアウトを可能にする基礎
掘り下げたコースの地面に、ドリルで一定の深さの穴を複数掘っていく。そこにコンクリートミルクを流し込み、固めてコンクリートパイルを作る。こうして地面にたくさんの杭を打つことで地盤を強化し、上にコースの土を盛ることで崩れやすい土壌の問題は解決できる。コース全体で必要となるコンクリートパイルの数は、約1万3千本だ。
ちなみにバンコクでは、単純に盛り土をした場合、その高さは1.8mまでが限界と言われている。しかし、こういった工事で地盤を強化することで、最大5mの高さを出すことが可能になる。工数はかかるが、バンコクでは珍しい、高低差や起伏のあるコースレイアウトを実現できるわけだ。
現在、まずは半分の9ホールの完成に向けてコースを造成中だが、10月まで続いた雨季が作業に与える影響は少なくなかった。大雨が降り続けば、数日間作業が止まってしまうからだ。3人の設計家チームが造成に携わっていたが、乾季の間はこのチームも増員し、一気に造成を進める予定だ。