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虎さんスイングはそもそも理にかなっているの?

2018/12/04 11:45

話題のチェ・ホソン 変則スイングを徹底解説

SNSで拡散され世界がざわついた虎さんスイング ※画像はセガサミーカップ2日目

「カシオワールドオープン」で日本ツアー通算2勝目を挙げ、これまで以上に注目を集めているチェ・ホソン崔虎星/韓国)。フィニッシュで飛び跳ねる変則スイングが理にかなっているかどうかを確かめるべく、ティ―チングプロ関浩太郎氏に話をうかがった。

「体」より「クラブ」の動きを見る

意外にもトップからフォロー(左から3枚目)までは正常スイング

―虎さんスイングは理にかなっている?
「理にかなっているかどうか? と聞かれれば、ボールを遠くへ飛ばすための理屈が通ったスイングだと思います。チェ・ホソン選手のスイングはどうしても体の動きばかりに注目されがちですが、クラブの動きだけを見ると、それほどほかの選手と違いはないからです」

―ほかのプロと同じ?
「はい。バックスイングやフォローは千差万別、ゴルファーそれぞれ色んな動きをします。ただ、第一線で活躍しているプロは、切り返しからインパクトまでのクラブの動きはほぼ一緒。(教科書どおりの)正しいスイングとなっています」

ヘッドスピードを上げる野球投法

「ボールを遠くに飛ばすには腰の回転が必須」と関氏

チェ・ホソン選手は例外では?
「いいえ。そもそもスイングに正解はありませんが、特に上記で説明したゾーン以外はどのような動きをしても自由と言えます。チェ・ホソン選手の動きで気になるのは、フォロー以降のひねる動きですが、これは野球の投球フォームに似ています。ヘッドをより速く走らせるために、腰を速く切るために編み出した独自の理論だと思われます」

体の動きに耐えきるためのクローズスタンス

画像左がアドレス。正面からは見えにくいが極端なクローズ

―ほかに気になる点は?
「彼のもうひとつの特徴が、アドレス時のクローズスタンス。インパクトで全身を使って腰を切っていく勢いに耐えるための“壁”の役目を担っていると言えます。通常スタンスの左足の位置では、体全身を使った動きに耐えきれません。あえて極端なクローズスタンスをとり、耐えきれる準備をしているのだと思われます」

耐えきれるとフォローでヘッドが走る

一瞬のフェース開閉で決まるフェード or ドロー

飛び跳ねた後の横倒れ込み ※画像はミズノオープン初日

―本人のスイング解説で「体の動きで弾道を打ち分けている」そうなのですが…
「弾道はインパクト直前のフェースの開閉で変わります。通常これを腕の動きで行うのですが、チェ・ホソン選手は体全身でヘッドを動かします。体を右に曲げると、フェースは閉じきらずに開いたまま当たり、スライス回転がかかる。逆に体を左に曲げると、フェースはしっかり閉じ、フック回転がかかるのだと思われます」

真似をするにはリスクはともなう…

フィニッシュがどんなに変則でも弾道に影響はしない

―ただ、飛び跳ねるのはNGでは?
「フィニッシュの形は、インパクトで行われた体全身の動きの反動で、そうなっているのだと思われます。チェ・ホソン選手は後半になるにつれ、飛び跳ねる度合いが大きくなります。前半はそれほど大きな動きをしていない点から、気持ちの盛り上がりに比例して動きが加わっているようにうかがえます」

―アマチュアは真似できる?
「んー、真似をするのは難しいかと思います。独学でスイングを構築するのは間違ったことではありませんが、練習量をプロ並みにとれないアマチュアにとって、最善策ではないのは確かです。ただ、テレビ中継でプロのスイングを見る際、切り返しからインパクトまでの“クラブの動き”だけに注目してみると非常に参考になりますよ」

撮影協力/ロイヤルスターゴルフクラブ

ピンまでも宙を舞うの図 ※画像はHEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 2日目

■ 関 浩太郎 プロフィール

高校卒業後に渡米し、カリフォルニアプロツアーを転戦。帰国後は有名クラブ職人に弟子入りし、クラフト技術を習得。現在は「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰。分かりやすく明確なティーチング&フィッティングで多くのアマチュアから支持を受ける。