topics

旗竿を挿したまま<新ルール>は有利か不利か? タッチの違いを検証

2019/02/12 11:45

いまだ白黒つけられない… 新ルール1番の関心事

昨年までは旗竿に当たると2罰打が科せられた

2019年から大幅に変更された新ルール。中でもゴルファーの関心が高いのが、旗竿を挿したままのプレーが可能になったこと。プレーのスピードアップを考慮して定められたルールだが、実際パッティングにどのような影響があるのか――ゴルフコンシェルジュとして知られる今野一哉プロに、その影響度を検証してもらった。

旗竿あり・なしで、どれくらいの強さまで入るか

グリーンの速さは10フィート、狙いやすい緩やかな上り傾斜で計測

旗竿は挿したままのほうが良いのか?抜いたほうが良いのか? どちらが有利かを検証するひとつの方法として、ボールが外れるまでの強さを比較した。

カップに向けて(30cm)打つ前に、後ろに下がって指定距離にボールが止まる強さを確認

実験方法は、今野プロに指定した強さのタッチで、それぞれカップまで30cmの距離をパッティングしてもらう。タッチは0.5m刻みで強めていき、旗竿がない時はカップ奥の淵に、旗竿がある時は竿の中心に当てて打ち、両方の許容範囲を調べてみた。

4.5mの差… 竿の真ん中は予想以上の許容度

数回打った結果、外れる頻度の多かった地点を計測

―4.5mもの差が生まれましたが?
「はい。旗竿を抜いた状態だと2.0mの強さでカップに弾かれたのに対し、旗竿を挿した状態では6.0mの強さで打ってもカップインしました。それだけ旗竿を挿したままのほうが、タッチに対して許容する幅が広がったということが分かります」(今野、以下同)

竿の端でも4.0m未満の強さなら入る

※上記はプラスチック製の竿の場合。鉄製の場合はもう少し弾きが強い

―旗竿に弾かれる不安は?
「物理的に言えば、よほどの強さでない限り弾かれることはないと言えます。竿の真ん中に当たれば6mの強さでも入りますし、端に当たっても4~5mなら入る確率があると推測できます(図では最小限の4.0mと表示)。それよりも『弾かれるのではないか?』と不安を抱いたままパッティングすることのほうが、ミスにつながりやすいと思われます」

曲がり幅を浅めに狙っていける

しびれる状況で強気に狙えるかがカギ

―旗竿を挿したままは有利?
「うーん、そうですね。ある程度強めのタッチでもOKという点と、竿に当てて良いという意識で臨める点では、曲がるラインの幅を浅めに狙うことが可能になりました。プレッシャーのかかるフック・スライスのラインで、大きなメリットになると言えそうです。その場合、パター形状は直線的に狙いやすい大型マレットのほうがマッチすると思われます」

ジャストタッチで狙いたい人には不利かも…

旗竿の利用を戦略として考えるプロも出現(Ross Kinnaird/Getty Images)

―不利な点は?
「プレーヤーによっては、曲がり幅を大きく見てジャストタッチで狙う人もいます。そういうイメージで慣れている人にとっては、旗竿を挿したままでのパットはタッチが強くなりやすく、イメージを出しにくいかもしれません

浅め or 深め、どちらも選べる点で有利!

「新ルールの影響はまだまだ不明な点が多い。これから研究が必要」と今野

―結論は?
「タッチの強さの許容範囲が広がったことで、ラインのとり方にも幅が広がったことは事実です。浅く強めに狙っても良し、ジャストタッチで狙っても良し。どちらか自分のイメージを出しやすい狙い方で選べる。そういった選択肢が増えたという点では、有利に働く人が増えたと言えると思います」

撮影協力/千葉セントラルゴルフクラブ

■ 今野一哉(こんの・かずや) プロフィール

1982年生まれ、千葉県出身。300ydを超えるビッグドライブと自在に球筋を打ち分ける技術を併せもつプロゴルファー。レッスンだけでなくギアやルールにも精通する“ゴルフコンシェルジュ”として多方面で活躍中。エイティーン代表。