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旗竿を挿したまま<新ルール>だと下りパットが入りやすい3つの理由

2019/02/19 11:45

なぜ、下りは恩恵を受けるのか?

新ルールでは球の一部がグリーン面より下であればカップイン

米ツアーでは新ルール施行から約1カ月半が過ぎ、旗竿(ピンフラッグ)を挿したパットの傾向がある程度見えてきた。そのなかでも気になるのが、上り・下りでの使い分けだ。上りの場合は旗竿を抜き、下りの場合は挿したままにする選手が目立つ。今回は下りの状況で前回同様の実験を行い、ゴルフコンシェルジュ・今野一哉プロに検証してもらった。

竿に当たれば10mの強さでも入る

カップへ(30cm)打つ前に、指定距離にボールを止める強さを確認

前回は緩やかな上り傾斜において、旗竿の有無でどれほどの強さのタッチまで入るかを検証したところ、旗竿なしでは2.0m、旗竿ありは6.5mの強さで外れることが判明。今回はかなり下りの傾斜に切られたカップで検証した結果、旗竿なしでは2.5mとほぼ変わらず。挿したままでは、なんと10.5mの強さでようやく外れるという結果となった。

旗竿に当たれば予想以上に弾かれない

<理由.1>タッチ自体が弱いから

前回より明らかに出球のスピードはゆっくりに…

―下りでは旗竿を挿しておくべき?
「そうですね。下りのほうが、旗竿の恩恵を受けるのは確かです。理由は3つ考えられます。1つ目は、単純に下りのほうがボールの転がるエネルギーが弱いからです。同じ距離でも下りはタッチが弱くなる分、旗竿に当たった時の衝撃も小さくなるため、入る強さの幅が広くなるのです」(今野、以下同)

<理由.2>旗竿がカップ奥の淵の役目になる

見えているカップ淵(グレー部分)の面積の違い

―2つ目は?
「2つ目の理由は、ボールがカップ奥の淵(土手)に当たる確率の違いです。下りでは、カップの奥側が手前より下っているため、奥の淵に当たる確率は低くなります。旗竿を挿したままのほうが、竿の分だけボールが当たる面積が増えてカップインの確率は少しだけ高いと言えます。一方、上りはカップの奥側が手前より上がっているため、旗竿がないほうがカップの幅を広く使えるので確率は高まるのです」

<理由.3>旗竿はボールを下に落とす効果がある

ボールを弾くというより勢いを殺してくれる感じ

―3つ目は?
「特に下りに限ったことではないのですが、旗竿は意外とボールを強く弾かず、下に落とすような力が働くという効果があることを実感しました。下りからカップを見たイメージでは、竿より手前側が狭く入りにくい印象を受けるのですが、実際には竿とカップ手前の淵の間に挟まったり、竿に当たって大オーバーする危険を防いだりと、多くのメリットが考えられます」

ウッズやデシャンボーらの主張は理にかなっていた

旗竿を挿したまま下りパットを打つB.デシャンボー(Kevin C. Cox/Getty Images)

―結論は?
タイガー・ウッズブライソン・デシャンボーらが下りでは優位性があるかもしれないと主張していた通り、今回の実験では下りパットではより恩恵を受けることが確認できました。前回と今回で上り・下りの検証をしましたが、ロング or ショート、スライス or フックといったように、まだまだ旗竿の有無で影響が出るケースは多いと思われます」

※状況に応じて旗竿を抜いたり挿したりする行為は、スロープレーにつながりやすいので注意が必要です。

撮影協力/千葉セントラルゴルフクラブ

■ 今野一哉(こんの・かずや) プロフィール

1982年生まれ、千葉県出身。300ydを超えるビッグドライブと自在に球筋を打ち分ける技術を併せもつプロゴルファー。レッスンだけでなくギアやルールにも精通する“ゴルフコンシェルジュ”として多方面で活躍中。エイティーン代表。