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今回のテーマは復讐心を超えた情熱…プロゴルファーになった負傷兵

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復讐心を超えた情熱…プロゴルファーになった負傷兵

2017/08/02

2009年9月下旬の焼けつくような暑い日、アフガニスタン南西部の埃っぽい村で、武装勢力と連合軍が激しい戦闘を繰り広げた。

要塞化した泥壁の小屋にこもったタリバンの戦闘員は、アメリカ海兵隊員にドラグノフ狙撃銃の照準を定めた。精密な狙撃銃は、つい今しがたも小型バイクに乗る補給隊員の指揮官を攻撃したばかりだ。狙撃兵は、大柄な男の中指ほどの大きさの弾丸を銃に装填した。彼は引き金を引いた。発射された弾丸は、アーロン・シルトン軍曹へ向け、揺れ動く煙った空気を切り裂いた。

ドラグノフ狙撃銃から発射された弾丸は、エリートプレーヤーによるドライバーショットの約10倍の速度に匹敵する、秒速822m(時速2959km)で移動する。当然のことながら、シルトンはゴルフに置き換えて考えはしなかった。まだその当時は。彼はマサチューセッツ州ウェストフォードにあるグレイゴースト高校で、サッカー、ホッケー、そしてラクロスの選手として活躍した。彼は時折、友人とキンボールファーム練習レンジでゴルフボールを打つことはあったものの、ゴルフとの関係はその程度のものだった。

弾丸は標的であるシルトンの頭部に命中し、彼は刺だらけの木に激しく倒れ込んだ。仲間たちは彼を助け出そうと、その左腕を目一杯引っ張ったのだが、引く力がいささか強過ぎた。彼の容態は悪化したのである。シルトンは脳の左側に重度の脳卒中を患い、右半身が麻痺していることが、運び込まれたカンダハルの病院で診断された。

手術は何度も行われた。彼の顔にはチタン製のワイヤーとプレートが埋め込まれたほか、左肩の治療だけで5度の手術を要した。彼は話すこともできず、体の動きはひどく限定された。姉のレイチェルによると、アーロンの心的外傷後ストレス障害(PTSD)は「中程度では済まなかった」のだ。彼は人ごみを嫌った。レストランでは彼を、壁を背にして座らせなければならなかった。彼は、褐色のアフガニスタンの砂に血を流す悪夢を見た。「僕は単なる怒った人間だった」と語るシルトン。「そして、ひどい障害を抱えていた。自分でシャツのボタンをかけることもできなかった。他のみんなが当たり前だと思っていることができなかったんだ…」。

2010年の後半、サンディエゴへ移り住み、「負傷兵プロジェクト」から贈られたゴルフクラブのセットのおかげもあり、イライラしていた男は、最もイライラが募るゲームを再開した。彼は朝7時から正午にかけてセラピーを受けると、それを報告するためにペンドルトン基地内のゴルフコースのマリーンメモリアルへと出向いた。彼は屋外にいるのが好きだったので、それが彼の好んだ唯一のことだった。

「僕は『みんなおかしいんじゃないか?こんなゲームは最低だ。なんでこれをやりたがる人間がいるんだ?』と思ったよ。ボールを打ち上げることができなかったし、8番アイアンで100ydを打つこともできなかった。僕はとにかく下手くそだった」

しかしゴルフはスコアをつけるものであり、これまで数々の任務を達成してきたシルトンは「少しでも上達しよう!」と決心した。135をたたいた彼は、次は120、さらに次は100とスコアを縮めた。

彼はクラブも新調した。それも今度はカスタムフィッティングした。スコアは縮まり続けた。「なるほど、このスポーツには何かあるぞ、と思ったんだ。体の左側と右側がうまく連動するようになっていったしね」。

さらに良いことに、ゴルフは「アフガニスタンへ戻って、彼を狙撃したタリバンの戦闘員に復讐したい」という、かなうあてのないシルトンの執着心に取って代わった。アメリカ特殊作戦軍やイエローリボン財団の助けもあり、時間とともにシルトンは市民生活を取り戻していった。やがて彼は、ゴルフのプロになった。

彼は2014年にアメリカゴルフアカデミーを卒業する際、卒業式の講演者であり、練習レンジとゴルフスクールを併設する「カールスバッドゴルフセンター」の共同オーナーのスーザン・ロールに自己紹介をした。彼の話を聞いた彼女は目に涙を浮かべ、アシスタントプロとして彼を雇った。現在、彼はクラブの修理とフィッティングも行っているが、大抵はゴルフを教えていて、そのレッスンには8~10人のジュニア向けグループレッスンも含まれる。

「僕のゴールは、みんなが楽しんで、このゲームの面白さを認識しているかを確かめることなんだ」とシルトンは言う。「PGAのプロを育て上げよう
なんていう気は毛頭ないよ。スクールに来たがらない子どもや、怒ったりゴルフを嫌いだと思っている子どもには、こんな話をするんだ。『僕は昔、アフガニスタンにいたんだ。そこは気温が57度もある。そこで僕は顔を銃で撃たれて、生き残るために闘ったんだ。どうだい、考え直してみないか?』すると子どもたちに変化が生まれて、『そうだね、これはそこまで重大なことじゃないよね』と言うようになるんだよ」。

同施設でゴルフショップの責任者を務めるレス・デュアはこう言った。「私も退役したアメリカ海兵隊員で、彼のラフな風貌(スキンヘッド)やちょっとした発話障害に、少しばかり警戒心を持っていたんだ。たまに彼は子どもたちに怒鳴る、というか、少なくとも大きな声で話すんだ。でも、子どもたちは彼のことが大好きなのさ。親御さんたちも同じだね。親御さんたちはショップへ来て、私に対しアーロンへの感謝の言葉をかけてくれるんだ。ここでは12年働いているが、こんなことは初めての経験だったよ」。

文:カート・サンプソン
(米国ゴルフダイジェスト誌 2017年7月号掲載)

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