どこからでもグリーンを狙える5つのリカバリーテクニック by ジャスティン・ローズ
コース上では、グリーンへ向けて何も遮る物のないショットが常に打てるわけではない。それがゴルフの現実だ。僕もフェアウェイを外すし、ツアーの他の選手たちだってフェアウェイを外す。あなたやその友達もフェアウェイを外すことはあるだろう。我々ツアープロと週末ゴルファーの違いは、僕らはグリーン方向に何か障害物があったとしても、そうした全ての状況に対応できる戦術を持っているところにある。
障害物の大半は木々だけど、僕はこれまであらゆる種類の大きな障害物に出くわしてきた。一方、アマチュアはそうした困難な立場から脱出するのに、運頼みになる傾向がある。でも正直なところ、目をつぶって力一杯クラブを振って、幸運を期待するやり方は、たいてい上手くいかないのではないかな?
こういう状況では、打とうとするショットを理解していなければならないし、通常のスイングからの微調整こそが、打ちたいショットを形作ってくれるのだと信じる必要がある。それさえできれば、立ちはだかる障害物の上下左右を抜くことができるし、さらにグリーンに乗せることも可能になる。僕の教えるコツを実践すれば、自分に奇跡が起こるのを期待して待つ必要はなくなるはずだ。練習さえ積めば、こうしたリカバリーショットを打つのも当たり前のことになるよ。
聞き手:キーリー・レビンス
高弾道ショット…「両足のスタンス幅を広げる」
自分とグリーンの間に高い木があるとする。こうした場合、ボールにクリーンにコンタクトできるライであれば、例えば8番アイアンで9番アイアンの高さを出すみたいに、どのアイアンの番手でも、1番手高い球を打てる方法がある。
このショットができるかどうかは、セットアップにかかっている。スタンスは広く取り、ボールは前寄り(右打ちの場合は左足寄り)に置く(画像上・左)。後ろの肩(右打ちの場合は右肩)は前の肩よりも低くなるので、ドライバーのようなスタンスになる。これで自然とスイングが浅くなって、高い球が打てる。テークバックはワイドに上げ、両手ができるだけ体から離れるようにしよう。バックスイングのトップの位置に来た際の、僕の手の位置を参考にして欲しい(画像上・右)。高い位置にあるので、振れるエリアが大きくなるんだ。フォロースルーも同様に、ワイドな感覚を持つことが大切だね。
フェードをかけることでも、より高い球を打つことができる。このショットを打つには、インパクトでクラブフェースをオープンに保って、ロフトを大きくするんだ。通常のスイングでは、クラブヘッドが体の周りの低い位置を通るようにすると思うけれど、このショットではフォロースルーで少しだけ手首をめくり返すように意識してみてほしい。
低弾道ショット…「前足に重心を置き続ける」
木々の枝の下を通す場合、最初の枝をクリアするのが何と言っても重要になる。最初の枝に当ててしまうと、さらにグリーンから遠ざかってしまうかもしれないからね。ただ、ずっと先にある障害物であれば、当たったとしても前向きな結果となるチャンスはまだある。ほとんどの枝は先へ向かって細くなるから、それを考慮して狙いを定めるのが賢明だね。このショットではたった1センチの差が、全く違った意味合いを持つことになる。
低弾道ショットをするには、ロングアイアンを使い、スタンスを狭めてボールを後ろ足の方に置くんだ。体重の7割は前足に乗せておく必要がある。スイング中に体重移動はほとんどしない。一貫して体重が前足にかかる感覚を持とう。それと肩のターンも制限する。僕は、両肩がテークバックからダウンスイングにかけて、同じ位置に留まる感覚で打っている。こうすることでソリッドなショットが打てるようになるよ。
フックショット…「右肩を高くキープする」
次は自分の前に大きな木や岩があって、ボールを右から左へ曲げるのが、唯一の回避ルートである場合について説明しよう。このショットを打つには、スイングをより円形に近づける必要がある。肩のターンのさせ方を変えることが、このショットを打つ方法だね。正しい動きを理解するために、僕が実践しているドリルを参考にしてほしい。胸を横切るようにクラブをあて、シャフトが地面と平行を保つように素振りをする(画像上・左)。典型的なアイアンショットに比べて、肩の傾きが大幅に少なくなるんだよ。
重要なのは、“右肩を高くキープ”すること。このドリルでは、右手がクラブフェースの位置を反映していて(画像上・右)、ボールがフックするようにインパクトを通じて積極的に閉じるようにするんだ。僕のフィニッシュを見ても分かる通り、手の位置は顎より高くはならない。よりフラットで円形に近いスイングパスを描けば、カーブをかけてトラブルを回避することができるよ。
スライスショット…「後ろ足から叩く」
多くの人がすでにスライスを打てるとは思うけれど、自分の意志で自由自在に打てるようになれば、大きな助けとなるはずだ。もし木が正面にあって、左右のどちらでも抜ける状況であれば、フックショットよりもこちらの方が簡単なショットとなる。ただし僕が見る限り、アマチュアはこのショットを打つ際、目標とする位置を十分に考えずに、避けるべき障害物に当ててしまう傾向にあるね。だからこのショットを打つ場合は、十分に曲げる幅を取るようにしてほしい。
スライスを打つときは、スイングの間はずっと、体重は後ろ足にかけたままにする。右半身に体重をかけることで、まっすぐ、あるいは左に曲がるボールを打つ動きとなる手が、ターゲットライン上に下りてくるのを防ぐことができるんだ。体重が後ろ足に乗っている感覚のまま、クラブフェースが開いた状態で、手がインパクトゾーンの左側を抜け出るようにするといいね。
テークバックするスペースがない…「両手首に集中する」
ブッシュが真後ろにあり、バックスイングの幅が少ししかない、あるいは全くないなんてケースは、いつだって不運に思うよね。だけどすぐには諦めないでほしい。ぎこちないスイングをしなければならないとしても、たいていの場合、それなりの距離を稼ぐ方法はあるものなんだ。
肩をターンさせるスペースがない場合、全てのパワーは、手首を素早く曲げて伸ばす動作に集約される。これでも、驚くべきヘッドスピードを生むことができるんだ。この状況では、狭いスタンス幅が求められるようになると思うけど、むしろこれは利点だね。狭いスタンスであれば、このコンパクトなショットから最大限の結果を得る上で必要な、急角度の入射角を生み出すことができるからね。シャフトは通常よりも前傾するから、ロフト角が大きめのクラブを選択しよう。それと、クラブを後ろへ振り過ぎないように気をつけて欲しい。枝などのスイングの妨げとなる物に触れてしまうと、動揺してショットをしくじってしまうかもしれないからね。
やろうとしているショットの素振りを、何度かしてみるのは賢明だね。そうすることで、ボールを前進させる意識を刷り込むことができるし、うまく行けばグリーンにだって届くかもしれないよ。
(米国ゴルフダイジェスト誌 2017年10月号掲載)
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