今さら聞けない「ストロングロフトって何?」アイアンのロフトについて教えて
【アマチュアSさんの“今さら聞けない”】
一般的なアイアンのロフト角とは何度ぐらいですか? ここ数年よく耳にする「ストロングロフト」とは何のことですか? そのメリットやデメリットを教えてください。
もはや何が7番アイアンだか分からない時代に
【たけちゃん'sアンサー】
「ストロングロフト」とは俗にいう“飛び系アイアン”のようなロフトが立っているモデルのことです。近年においては、もはや一般的なロフトという概念はなくなってきていますが、数年前までは7番アイアンのロフト角はモデルによっても前後しますが約34度が基本でした。近年はそれよりも立っているロフト、いわゆるストロングロフトが主流となり7番アイアンで30度前後が普通になっていて、中には7番で25度というモデルも存在します。
ストロングロフトのメリットは?
ストロングロフトのメリットは何といっても飛距離が出ることでしょう。ロフトが立っているのだから当たり前といえば当たり前ですが、近年のストロングロフトアイアンはロフトが立っているのに、打ち出し角を確保できる設計になっています。以前の7番アイアンの球の高さをキープしながら、6番相当の飛距離が出せるといった具合です。
また心理的なメリットも大きいです。6番アイアンだとちょっと難しいと感じている人が、同じロフトなのに7番と表記されているだけで簡単に感じることがあるので、いかにもゴルフはメンタルスポーツですよね。
ストロングロフトのデメリットは?
一方、メリットばかりかというとそんなことはありません。数年前まではロングアイアンのロフトは3度ピッチ、ミドルアイアンとショートアイアンは4度ピッチで、一番短いPW(ピッチングウェッジ)で46度程度というのが一般的なアイアンセットでした。
しかし、ストロングロフトは全体的にロフトが立っているので、PWのロフトも立っている事が多いです。そうなるとその下の距離を打ち分けるために、ウェッジの本数を増やさないといけません。
また、ストロングロフトのアイアンモデルは、番手間のロフトピッチが開いているモデルも散見されます。番手間のロフトが過剰に開いていると、中途半端な距離“ビトウィーン”が打ちづらくなります。
ストロングロフトが上級者向きでない理由
プロや上級者がストロングロフトのアイアンを好まないのは、彼らはダウンブローで打ち込める技術があるからです。例えばロフト34度の7番アイアンを使っていても、インパクト時には27度程度のインパクトロフトで球をとらえていることが多いです。その場合、ストロングロフトのアイアンを使っていると、ロフトが立ち過ぎて球が上がらなかったり、想定していた距離よりも飛びすぎてしまったり、グリーンで止まらなかったりという弊害が生まれます。ロフトが立ったアイアンを使うと、かえって難しくなってしまうからですね。
自分がアイアンのロフトを立ててインパクトしているかどうか、つまりインパクトロフトを知る事と、「番手」ではなく「ロフト」に注目することが、アイアン選び、ひいてはクラブセッティングの重要なポイントとなるでしょう。
たけちゃんの1分動画解説
■ゴルフクラブABCとは
巷には様々なゴルフクラブがあふれ、自分にぴったりの一本を見つけるのは至難の業。そもそもクラブを選ぶにも難しい用語が多く、深く知ることを敬遠している人も多いのではないか。そこでクラブ選びに役立つ「基礎中の基礎=“ゴルフクラブのABC”」を、全国から“患者”が訪れるというすご腕クラブフィッターたけちゃんに分かりやすく教えてもらう。
■ たけちゃん プロフィール
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。37歳・独身。フィッター界の第一人者、浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる。出演する「ズバババGOLF」のYouTubeでは軽快なトークで人気を集める。