今さら聞けない「“6S神話”は崩壊か」ドライバーシャフトの硬さについて教えて
【アマチュアSさんの“今さら聞けない”】
硬いシャフトと軟らかいシャフトはそれぞれ球筋にどういう影響を与えますか?自分に適正な硬さのシャフトの見つけ方も知りたいです。あと、最近よく「シャフトはカルカタ(軽硬)がいい」と耳にするのは、軽いのが流行っているということ?
人間はシャフトに合わせようとする
【たけちゃん'sアンサー】
アマチュア向けに市販されているシャフトのフレックス(硬さ)は、一番硬い「X」から、「S」、「SR」、「R」という順に軟らかくなっていきます。さらにレディスモデルを含めると「A」、「L」と続きます。
まったく同じスイングを再現できるロボットにクラブを振らせたとして、基本的には軟らかいシャフトだと右に高い球が出て、硬いシャフトだと左に低い球が出ます。
これは人間にも当てはまれば分かりやすいのですが、人間はシャフトが自分に合っていなくても真っすぐ飛ばそうと練習します。これが結果的に、スイングが崩れていく大きな要因となるのです。
裏をかえせば、プロのような美しいスイングをしたとしても、シャフトの硬さが合っていなければ真っすぐ飛ぶとは限りません。
自分にピッタリのシャフトをフィッティングせずに見つけるのは正直難しいです。良いスイングと良いショットが連動するシャフトを提案するのが、フィッターの仕事ですので、我々プロに委ねてもらえるとうれしいです。
とくに初心者の方が合っていないシャフトで真っすぐ打つ練習をしていると、変な癖がつきやすいので、ある程度、球が当たるようになってきたら、なるべく早くフィッティングを受けることをおススメします。
定期的にフィッティングを
シャフトが合っていれば、すぐに真っすぐ飛ぶかというとそういうわけでもなく、もちろんスイングが大切なのは言うまでもありません。ただひとつ言えるのは、シャフトが自分に合っていればスイングも直しやすいので、練習効率は非常に高くなります。
また私のフィッティングでは、スイングではなくインパクトデータに基づいて分析を行っていますが、経験上そのデータがすぐに大きく変化することはありません。自分に合うシャフトを見つけて、3年も同じクラブを振り続けていると、その間にスイングも成長してきます。その時またフィッティングを受けることで、さらにマッチするシャフトに出合える。そのサイクルを繰り返すことで、理想のスイングを育てながら、クラブの性能を自分のスイングに近づけていくのです。
軽いシャフトは流行り?
例外はありますが、同じフレックス表記でも基本的にシャフト重量が重くなると硬くなって、軽くなるほど軟らかくなってしなりやすくなります。
シャフトを軽くするとヘッドスピードが上がる可能性がありますし、軽くすることで長くすることもできますので、飛距離アップなどの恩恵を受けられる方は多いでしょう。
実際にシャフトを軽くして結果が出たという方も多く、軽いシャフトが流行りのような傾向はありますが、使っていたシャフトがそもそもオーバースペックだったというパターンが多いように感じています。これまで、アマチュアの男性が使うスペックといえば「6S」というイメージがありましたが、重量が増加傾向にあるヘッドに、軽めのシャフトを組み合わせることが多くなっています。昨今は「5S」がスタンダードになってきていると言えるでしょう。
たけちゃんの1分動画解説
■ゴルフクラブABCとは
巷には様々なゴルフクラブがあふれ、自分にぴったりの一本を見つけるのは至難の業。そもそもクラブを選ぶにも難しい用語が多く、深く知ることを敬遠している人も多いのではないか。そこでクラブ選びに役立つ「基礎中の基礎=“ゴルフクラブのABC”」を、全国から“患者”が訪れるというすご腕クラブフィッターたけちゃんに分かりやすく教えてもらう。
■ たけちゃん プロフィール
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者、浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる。出演する「ズバババGOLF」のYouTubeでは軽快なトークで人気を集める。