新製品レポート

極上の打感…それはまるで軟鉄鍛造で球をつぶす感覚 ミズノ「ST-Z 230 ドライバー」

2023/05/29 07:00
極上の打感を生む秘密がこのフェースの裏側に…

【ミタさん】
今日試打してもらうのは、ミズノ「ST-Z 230 ドライバー」です。

【ヨシダくん】
ミズノはアイアンのイメージが強いですよね。ドライバーは正直どうなんですか?

【ミタさん】
日本では、「ミズノ=鍛造アイアン」との印象を持つ人は多いですが、海外ではドライバーに対する評価が高くなっています

【シオさん】
さすが日本を代表するスポーツメーカーですね。

【ヨシダくん】
海外メーカーのドライバーに飛距離で対抗できるということですか?

【ミタさん】
もちろんです。そのカギとなっているのが、ドライバーのフェース寄りに搭載されている“鉄芯”です

青い「コアテックチャンバー」の部分をよく見ると、鉄芯が透けて見える

【シオさん】
この青いところですか? どういう構造になっているんでしょう?

【ミタさん】
コアテックチャンバーと呼ばれる新技術です。少し複雑なので簡単に説明すると、外側の青い部分はTPUというウレタン系の素材で内側に鉄芯ステンレスを配置しています。

【ヨシダくん】
それが飛距離に影響するんですか?

【ミタさん】
ヨシダくんは今朝、電車で来ましたよね。電車が駅に止まる時にブレーキをかけると、進行方向と逆向きの力がかかります。でも、ヨシダくんには慣性の力が働いているので、進行方向に進もうとします。

【ヨシダくん】
だから、ときどきコケそうになるんですね。

【ミタさん】
そのメカニズムを活用したのが今回の新技術です。インパクトの瞬間、ボールがフェースに衝突してヘッド内部方向へ力が加わりますが、ソールに配置された鉄芯ステンレスがボールを目標方向に押し出す力を生むため、ボール初速アップが期待できます。

高い反発性能を誇る「フォージドβチタン」を採用したフェース

【シオさん】
なるほど、それは飛びそうですね。ちなみにフェース面に「β-TITANIUM」という文字が入っていますが、これは普通のチタンと何が違うんですか?

【ミタさん】
βチタン(フォージドβチタン合金)はミズノならではの素材です。他のメーカーでは6-4チタンを使うことが多いのですが、βチタンのほうがたわみやすく強度があり、フェース面の反発性能が高まります

【シオさん】
でもβチタンって昔よく聞きましたよね

【ミタさん】
さすがゴルフ歴30年は伊達じゃないですね。βチタンは高反発時代によく使われた最強の素材だったのですが、ミズノは現在のルールに適合するよう改良して、「ST」シリーズに採用しています。

【ヨシダくん】
話を聞けば聞くほど打ってみたくなってきました!

試打した印象は?

ロフト角は9.5度のみの展開だが、プラスマイナス2度の調整ができる

【シオさん】
ロフト角のラインアップは9.5度だけですか?

【ミタさん】
「ST-Z 230」は9.5度のみです。同シリーズの「ST-X 230」は10.5度のみ。ただし、両モデルともにプラスとマイナス各2度の調整が可能です

【シオさん】
ターゲットゴルファーを絞ったモデルのようですね。

【ミタさん】
打った印象はどうでしたか?

【シオさん】
残念ながら、私はターゲットではなさそうだなと思いました。いつもの感じで打つと、全部ライナー系のボールが出てしまいました

【ヨシダくん】
シオさんは打ち出し角が10度未満でしたから、ちょっと厳しそうですね。

【シオさん】
ヘッドが低スピンモデルであることに加えて、私自身が低スピン系のスイングなので、バックスピンが1500回転でした

【ミタさん】
ドロップする感じでしたね。ヨシダくんはどうでしたか?

シオさんとヨシダくんの「ST-Z 230 ドライバー」(ロフト角9.5度)試打データ

【ヨシダくん】
僕はお世辞抜きで直進性がスゴイと思いました。本当にグーンって飛ぶ感じ!

【ミタさん】
データを見てもボールスピードが72m/s、キャリーで299yd飛んでいましたね

【ヨシダくん】
鉄芯の影響なのかどうかはわかりませんが、インパクトでボールをグーンと押せる感覚はありましたね。

【ミタさん】
打感はどうでした?

【ヨシダくん】
ウォーミングアップで軽く打っているときは少し硬く感じたのですが、しっかり振ってみるとフェースに食いつく感じがしました。アスリートゴルファーが好きそうな打感ですし、海外で評価が高い理由もわかります

【ミタさん】
気に入った様子ですね。

【ヨシダくん】
個人的には、“名器”ってこういうモデルなのかなって思ったほど、いいドライバーです。

まとめ

ヘッドスピード45m/s以上の上級者が飛距離を出せるモデル。打感の良さも魅力だ

【ミタさん】
「ST-Z 230」は他メーカーのツアーモデルと比較してもハードなモデルです。ただしヘッドスピード45m/s以上のアスリートゴルファーにとっては飛距離が出て、打感も良く、スピン量も適正なので、すごく相性が良いでしょう。それこそ、マッスルバックや小ぶりなハーフキャビティの「ミズノプロ」アイアンを使っているような人にハマると思います。ライ角もフラットなので、構えやすく、つかまりすぎないところも上級者好みです。

【ヨシダくん】
芯で打ったときにボールを押す感覚は、鍛造アイアンでボールをつぶす感覚に近かったです!

■ 試打したクラブのスペック

ミズノ ST-Z 230 ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:ツアーAD GM D ●硬さ:S

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ ヨシダくん プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

ミズノ
“鉄芯の飛び” 高初速×低スピン×直進性のZ 「ST-Z 230 ドライバー」
発売日:2023/03/10 参考価格: 92,400円