平田憲聖のクラブは僕らにも打てる? ミズノ「ST-X 230 ドライバー」
2020年から日本での展開が始まったミズノの世界戦略モデル「ST」シリーズ。その最新作「ST230」は、ウレタン樹脂の内部にステンレス製の“鉄芯”を埋め込むことで初速性能が向上したという。同社契約プロがこぞって手にする「ST-X 230 ドライバー」の性能を、ギア知識豊富なミタさんが分かりやすく解説。さらにベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)とゴルフテックでコーチを務めるヨシダくん(HS50m/s)が試打して性能を深堀りしていく。
クラブの特徴は?
【ミタさん】
前回のミズノ「ST-Z 230 ドライバー」に続いて、今回は兄弟モデル「ST-X 230 ドライバー」です。5月末に行われた「~全英への道~ミズノオープン」でツアー初勝利を挙げた平田憲聖が使っていました。
【ヨシダくん】
ミズノの試合でミズノ製品を使う契約プロが優勝するなんて、最高の孝行息子ですね。
【シオさん】
正直「Z」は私にとってかなりハードでしたが、「X」は大丈夫ですかね?
【ミタさん】
前回紹介したコアテックチャンバーによるボール初速の向上や、βチタンを採用した高反発フェースは共通のテクノロジーです。今作は「Z」に比べるとつかまりが良くなっていますし、弾道も高めになると思います。
【ヨシダくん】
それほど形状は変わらないように見えますが…。
【ミタさん】
ソールの裏側を見てください。「Z」はソールのほぼ全面がカーボン素材になっていますが、「X」はヒール側がチタン合金です。さらにウエイト位置が少しヒール側。その結果、重心がヒール側になってドローバイアス設計でつかまりやすいヘッドに仕上がっています。
【シオさん】
たしかに構えた感じも、なんとなくつかまる雰囲気がありますね。
【ミタさん】
それはライ角の違いです。「Z」は57.5度でしたが、「X」は59度で少しアップライトになっているのも特徴です。
【ヨシダくん】
それなら、シオさん向きかもしれないですね。
【ミタさん】
とりあえず打ってみましょうか!
試打した印象は?
【シオさん】
ライ角だけじゃなくて、ほんの少しフェースが閉じて見えますね。
【ミタさん】
フェースの見え方は個人差がありますが、「Z」が逃げ顔だったので「X」は閉じて見えるのかもしれません。形状としてはストレートに近いと思います。
【シオさん】
試打した感覚としてはドローバイアスと言っても決してスライサー向けではなく、ツアーモデルという感じです。
【ヨシダくん】
やはりバックスピンは少ないですね。でも打ち出しは「Z」の時よりも少し高めになりました。
【シオさん】
う~ん、やっぱり厳しいな。ヨシダくんはどうだった?
【ヨシダくん】
僕は「Z」がかなり良かったのですが、「X」も同じくらい良かったです。
【ミタさん】
どこが気に入っていますか?
【ヨシダくん】
シンプルに飛ぶし、この打感が好き!
【ミタさん】
「Z」と比較してどうでしたか?
【ヨシダくん】
シオさんも言っていましたけど、決してつかまりが良いというわけではないですね。2モデルで比較すると「X」がストレート系、「Z」がフェード系という印象です。
【ミタさん】
弾道を見ていると左につかまるというよりも、右に行かないという感じでしたね。
【ヨシダくん】
プロ受けは良さそうだなと思います。
まとめ
【ミタさん】
ドローバイアス設計とはいえ、男子のツアープロが使っている「ST-X 230」は本格派のアスリートモデル。ターゲットとしてはアベレージゴルファーでスライスに悩んでいる人ではなく、250yd以上飛ばすパワーヒッターで右プッシュのミスが出やすい人とマッチすると思います。ただしヘッドがハードな分、純正シャフトはしなりやすいモデルがそろっているので、上手くハマれば飛ばし屋じゃなくても使いこなせるでしょう。
【シオさん】
ことしの「ST」シリーズ、私には厳しかったな…。
■ 試打したクラブのスペック
ミズノST-X 230 ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:ツアーAD GM D ●硬さ:S
■ ミタさん プロフィール
1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。
■ ヨシダくん プロフィール
1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。
■ シオさん プロフィール
1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。