新製品レポート

実はポケキャビ…ミズノがまた凄いアイアン作ってきた「JPX 925 FORGED」

2024/08/21 17:00
9月13日(金)発売の「JPX 925 FORGED」アイアン

「JPX925シリーズ」は、ニッケルクロムモリブデン鋼精密鋳造の「HOT METALシリーズ」(3機種)と鍛造タイプの「JPX925 FORGED」がラインアップ。今回紹介するのは後者のフォージドモデル。歴代「JPX FORGED」は女子ツアーでも人気が高いアスリートライクなアイアン。今作はどのような進化を遂げたのか。その打感、弾道、特徴をアスリートゴルファーのコウタロウ(ドライバーでHS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(同HS40m/s)がチェック。詳しい性能はギア知識が豊富なミタさんが解説する。

前作はミズノ史上最高の反発性能だったが…新構造でさらに更新!

歴代の「JPX FORGED」の流れをしっかり汲んだシェイプ

【ミタさん】
「JPXフォージド」の新作「JPX925 FORGED」です。

【シオさん】
シンプルでカッコイイデザインですね。いかにもミズノらしい。

【コウタロウ】
形状としてはハーフキャビティのカテゴリーですか?

【ミタさん】
そう見えますが、実はフルポケットキャビティです。(※5Iから7Iまで)

リーディングエッジとトレーリングエッジが面取りされ、ダウンブローに入れた際に抜けが良い

【シオさん】
これがポケキャビ!?

【ミタさん】
今作から構造を一新しています。高強度クロムモリブデン鋼素材のフェースに、ステンレススチールのボディを組み合わせていて、バックフェースの構造としてポケットキャビティになっています。だからミスヒットにも強い。

【コウタロウ】
内部がスゴイことになっていたんですね。

ネックにはミズノ独自の鍛造製法で作られた証「グレインフローフォージド」の刻印

【シオさん】
前作「JPX923 FORGED」ではたしかミズノの鍛造アイアン史上最高の反発性能と謳っていましたが…。

【ミタさん】
しっかり更新しました。今作の「JPX925フォージド」が史上最高です。

【コウタロウ】
どうやって更新したんですか?

【ミタさん】
フェースの素材は前作と同じです。ただし、細部まで徹底的に薄さを追求したコンターエリプスフェース設計を採用したことで、フェースの最薄部分を拡大してたわみやすくなった。それが反発性能を上げることにつながっています。

軟鉄の打感にうるさいコウタロウは新アイアンにも興味シンシン

【コウタロウ】
そんな複雑な構造でも、グレインフローフォージド設計は継承できたんですか?

【ミタさん】
もちろんです。ミズノのフォージドと言えばフェースとネックを一体成型するグレインフローフォージド。その製法によって、素材の鍛流線が途切れず、ミズノだけの打感、打球音を生んでいます。

【コウタロウ】
たしかにミズノの打感は他の鍛造アイアンとは違う。

【シオさん】
まずは打感に注目して、新モデルも打ってみましょう。

「MP」とはまた違う打感の良さ。距離、スピン量、方向性のバランスが最高

「芯を多少外しても嫌な打感が残らないのはうれしい」(シオさん)

【ミタさん】
気になる打感はどうでしたか?

【コウタロウ】
打感、最高ですね。打ち始めるともう止まらなくなって、「もう1球」「あと1球だけ」とおかわりしちゃう。「MPシリーズ」と比べると「MP」の方が柔らかいですが、「JPX FORGED」は芯を感じて飛ばせる感覚。両方を打ち比べると好みは分かれると思います。

【シオさん】
私もこの打感好きです。アイアンでも飛ばしたいという人は「JPX FORGED」の打感を気に入ると思います。それと、芯を外したときも嫌なフィーリングがなかった。

軟鉄一枚ヘッドに比べると弾き感はあるがデータは満点(コウタロウ)

【ミタさん】
飛距離や弾道はどうでしたか?

【コウタロウ】
本音を言うと、バランスが良すぎて逆にコメントが難しいぐらい(笑)。フォージドアイアンながら飛距離も出ている一方で、スピン量も6000回転近く入っていた。タテ距離も安定していて操作性もある。何か一つズバ抜けた要素があるわけではなくて、全体の平均点がとても高い。

【シオさん】
たしかに。ちょうどいいアイアンって感じです。一つ付け加えると私ぐらいのヘッドスピードでも十分に使えます。芯に当てやすいし、下側で打ったときでも打球が上がりやすい。

【ミタさん】
フェースの下部ヒットに関しては、ヘッド内部に空洞を作ったことで球を上げやすくなっています。

【シオさん】
それはアベレージゴルファーにとってはありがたい設計ですね。

7I(30度)での平均データ。加えて落下角度は44.9度(シオさん)、51.5度(コウタロウ)という優秀な結果

【コウタロウ】
サイズ感もちょうどイイ。マッスルバックみたいに難しそうなサイズではなく、アベレージゴルファー向けのポケットキャビティみたいな顔でもない。本当に絶妙な形状。ネックからリーディングエッジのつながりがスッキリして見えるのもミズノの特徴だと思います。

【ミタさん】
鍛造アイアンとしては、かなりターゲット層が広いアイアンです。ヘッドスピード40m/s前後から45m/s以上のゴルファーでも使えますし、スコア的にも70台のシングルゴルファーから90台のセミアスリートまでOK。もちろん打感も申し分ないので、みんなから愛されるアイアンだと思います。

【コウタロウ】
ロフトも7番で30度。本当、どこをとってもちょうどイイ。

まとめ

「やさしさ」より「操作性」と「飛距離」を優先したモデルかも知れない

■ 試打したクラブのスペック

ミズノ JPX 925 FORGED
●番手(7I):30度●シャフト:N.S.プロ950GH neo●硬さ:S

■ マイクラブ情報

コウタロウ:ピン ブループリント アイアン
●番手(ロフト角):7I(34度) ●シャフト:KBS Cテーパー 125 ●硬さ:S+

シオさん:タイトリスト T300 アイアン<2021年>
●番手(ロフト角):7I(29度) ●シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー 105 ●硬さ:S

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。