新製品レポート

芯を外してもアレ!?“打感の平均点”が高いぞ フォーティーン新「TB-5フォージド」アイアン

2024/10/17 15:00
4年ぶりのリニューアルとなるフォーティーン「TB-5 FORGED」アイアン

2020年に発売された「TB-5フォージド」は、フォーティーンのアイアン史上歴史に残る大ヒットを記録。4年間、売れ続けるロングセラーになった。そして、今秋は4年振りに同シリーズがリニューアル。気になる打感、弾道、特徴をアスリートゴルファーのコウタロウ(ドライバーでHS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(同HS40m/s)がチェック。詳しい性能はギア知識が豊富なミタさんが解説する。

重心・サイズ・フェース厚はそのまま。ソール形状は「TB-7」に近い削り方

バックフェース部トウ・ヒール両サイドに溝を設け、余剰重量を獲得している

【ミタさん】
今回紹介するのは「TB-5フォージド」のリニューアルモデルです。

【シオさん】
前作の発売は2020年ですよね。

【ミタさん】
最近はほとんどのメーカーが2年に1度のペースでアイアンを新しくするので、4年間同じアイアンを発売し続けることが珍しい。超ロングセラーです。

「バックフェースは前作より洗練された感じですね」(シオさん)

【コウタロウ】
それだけ売れたアイアンを新しくするのは難しくないですか?

【ミタさん】
正直に言うと、大きな変更はしていません。重心もサイズ感もほとんど同じ。フェースの厚さも変わっていません。

【シオさん】
アイアンとしての見た目もほぼ変わっていませんね。

リーディングとトレーリングエッジ側が面取りされ、抜けの良さが加わった

【ミタさん】
前作は軟鉄鍛造の一枚モノのアイアンでありながら、シアターブレードという独特のバックフェース構造によって、やわらかい打感と最大限のやさしさ&上がりやすさを実現しました。その良さはしっかり継承するのがコンセプトだったと思います。

【コウタロウ】
変えたところは何ですか?

【ミタさん】
ソール形状は少し変わりました。前作の「TB-5 フォージド」はフラットなソールでしたが、新作はリーディングエッジとトレーリングエッジを落としているので、抜けの良さを出しています。ソールの面取りとしては「TB-7」に近いです。

【コウタロウ】
他には?

【ミタさん】
基本性能は“あえて”変えていませんから、あとは、バックフェースの仕上げが綺麗になったとか、シアターブレードにキズがつきにくくなったとかですかね。

【シオさん】
打ったら違いがわかるのかな? とりあえず試打してみましょう。

顔がシャープになっても「上がりやすさ&寛容性」は変わらず

トップブレードの厚みやネックの見え方をブラッシュアップ。ストレート感を意識できるセミグース形状

【シオさん】
あっ!構えたときの顔は違いますね。前作はグースが効いていましたが、新作はストレートネックに近くなりました。

【コウタロウ】
たしかに、少し小振りに見えますね。

【ミタさん】
サイズ感は全く同じなのですが、ラインの削り方でシャープに見せています。

【シオさん】
顔も「TB-7」の雰囲気に少し近くなった印象です。

【ミタさん】
打った印象はどうですか?

【シオさん】
打感はイイですね。前作ももちろん打感は良かったですが、抜け感が良くなった分、さらに心地よい感じがしました。

「1枚モノの軟鉄鍛造アイアンのなかでいちばんやさしい」(コウタロウ)

【コウタロウ】
この打感は軟鉄鍛造の一枚モノという感じ。さらに、芯に当たったときはマッスルバックのように気持ちいい打感だけど、芯を外したときでも嫌な手応えはない。

【シオさん】
たしかに。

【コウタロウ】
究極の打感を求めるなら軟鉄鍛造のマッスルバックかもしれないけど、打感の平均点が高いのが「TB-5フォージド」のような気がします。特にアマチュアには。

【ミタさん】
弾道とか飛距離はどうですか?

【コウタロウ】
それは前作とほとんど変わっていません。前作同様に打球は上がりやすいです。飛距離は、7番アイアンでロフト30度のモデルとしてはいたって普通ですが、むしろ変に飛びすぎたりしないところがとてもいい。

オリジナルスチール「FS-90i」(S/93g)は日本シャフトとの共同開発。手元から中間部までしなやかにしなり戻る

【シオさん】
軟鉄鍛造アイアンなのに打球が上がりやすいというのも、「TB-5 フォージド」が大ヒットした要因だと思います。私のヘッドスピードでも、高さが出しやすい。

【コウタロウ】
決して飛距離が出るアイアンではないけど、球筋と飛距離は安定していますね。

【シオさん】
一枚モノの軟鉄鍛造アイアンで、ここまでミスヒットに強いのは魅力的です。

【コウタロウ】
純正のスチールシャフトも手元側からゆっくりしなって、インパクトで合わせやすい。このシャフトも打球の上がりやすさにつながっていると思います。

【シオさん】
払い打ちでも、高さが出せるシャフトでした。

両者とも安定したキャリーが続いた

【ミタさん】
4年振りにリニューアルされた「TB-5 フォージド」ですが、デザインも形状も性能も前作から大幅には変更していません。前作同様に、一枚モノの軟鉄鍛造の打感でありながら、寛容性があって、打球が上がりやすいので幅広いゴルファーが使えるところが最大の魅力です。わずかな変更点としてはソールやリーディングエッジの形状にアスリートモデル「TB-7」の要素を少し足したところです。

【コウタロウ】
「TB-5」と「TB-7」を融合した「TB-6」みたいな印象でした。

まとめ

複合アイアンにはない打感と見た目に高評価

■ 試打したクラブのスペック

フォーティーン TB-5 FORGED('25)
●番手(7I):30度●シャフト:FS-90i●硬さ:S

■ マイクラブ情報

コウタロウ:ピン ブループリント アイアン
●番手(ロフト角):7I(34度) ●シャフト:KBS Cテーパー 125 ●硬さ:S+

シオさん:タイトリスト T300 アイアン<2021年>
●番手(ロフト角):7I(29度) ●シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー 105 ●硬さ:S

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。