新製品レポート

なんなんだこの安心感 古き良き“和顔”は健在!「T//WORLD ツアーV/Vx/Px」アイアン3機種比較試打

2024/11/25 07:00
ブレないものづくりを続ける本間アイアンがリニューアル ※今回の試打に「Hx」モデルは外しております

11月29日に発売する本間ゴルフの新アイアン「T//WORLDシリーズ」(以下、TW)。女子ツアーではすでに使いはじめた選手がいるなど評価は高い。今回紹介するのは「ツアーV」「Vx」「Px」の3機種。その特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説し、飛距離性能、弾道、打感をアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打して分析した。

アイアンもやさしさが加わってリニューアル

刷新されたバックフェースデザイン。前作「TW757シリーズ」よりもシリーズ全体の統一感が増した

【ミタさん】
ことしのTWシリーズはドライバーも10Kになって話題ですが、アイアンの評価も高いです。シーズン中にもかかわらず、葭葉ルミが新「Vx」にスイッチしました。

【シオさん】
昔から「Vx」は女子プロに人気ですね。賞金女王になった頃のイ・ボミ(韓国)も使っていました。3機種の特徴として「Vx」「Px」「ツアーV」はどういう違いがあるんですか?

【ミタさん】
まず「ツアーV」は一枚モノの軟鉄鍛造。キャビティ構造ではありますが、キャビティ部分を浅くすることで、ボールの上がりやすさと、マッスルバックのような操作性を両立させたモデルになっています。「Vx」はやや深めのキャビティアイアン。4番から8番のトウ側に、7グラムのタングステンが入っており、ボールの上がりやすさに加え、直進性と安定性を持たせています。

左から「ツアーV」「Vx」「Px」(すべて7I)。コンボセットを想定して作られた統一感のある“顔”

【コウタロウ】
バックフェースだけを見ると「Px」も「Vx」にそっくりですけど…。

【ミタさん】
「Px」は全く異なる構造をしています。フェースがマレージングで、ボディが軟鉄鍛造という複合アイアン。5番から8番は、TWシリーズ初のL型カップフェースを採用したポケット型キャビティアイアンです。

【シオさん】
L型カップフェースにするメリットは?

【ミタさん】
反発性が高いので初速アップが見込めます。加えて、スイートエリアを広くすることができるので、芯を外したときの飛距離ロスが少なくなります。

左から「ツアーV」「Vx」「Px」。ソール幅は「ツアーV」がいちばん狭く抜けの良さを重視した形状

【コウタロウ】
本間のアイアンといえば、打感の良さも印象的です。

【ミタさん】
「Vx」や「ツアーV」は、前作よりも打点部分に厚みを持たせて、プロが求める“分厚い”打感に仕上がったそうです。

【シオさん】
それだけ構造が違う3モデルのアイアンは打ったときに、どのくらい感覚が違うのか楽しみです。

3モデルの性能差はあれど顔や打感は同系統

二人とも変わらないモノづくりに感銘を受けていた

【コウタロウ】
最初に「ツアーV」を打ちましたが、まず構えたときの「顔」がいい。ほんの少しグースっぽく見えるのが日本メーカーらしい「和顔」という感じがしました。打感もやっぱりイイですね。一枚モノの軟鉄鍛造らしい柔らかさがしっかり手に残ります。操作性も高く、マッスルバックほど打点のシビア感はないですね。扱いやすいですよ。

【シオさん】
私のヘッドスピードだとボールが上がりきれず、グリーンに止まらなそうです。ただ、形状は私の世代には懐かしいというか、古き良きアイアンの顔。私は大好きです。

【ミタさん】
本間ゴルフの酒田工場では、今でもアイアンの形状はハンダゴテやヤスリを使って試行錯誤しています。昔ながらのアイアン作りを継承しているので、懐かしく感じたのでしょう。

【コウタロウ】
あと、抜けが抜群に良かった

「ツアーV」試打データ。シオさんは落下角度が33.8度と少ない

【ミタさん】
実は「ツアーV」だけリーディングエッジをしっかり削った「Cソール形状」にしています。それが抜けの良さにつながったと思います。「Vx」はどうでしたか?

【コウタロウ】
「Vx」の打感や形状も「ツアーV」とほとんど変わりません。ただ、飛距離は3から5ヤードくらい飛んでいました。「Vx」も「ツアーV」同様に、イメージ通りの球が打ちやすいので、操作性もアスリートゴルファー好みだと思います。

【シオさん】
飛距離も伸びていましたし、打点ズレに強いことがよくわかります。下部に当たったときでも、ほとんど飛距離が落ちませんでした。

【ミタさん】
「Vx」は前作よりも低重心化したことで下部ヒットにも強くなっていますね。

「Vx」試打データ。両者とも「ツアーV」よりも初速値が高い

【コウタロウ】
最後の「Px」は想像していたよりも打感がマイルド。「Vx」より弾き感はあるけど、打ち比べてもほとんど打感の違いがありません。形状はひと回り大きくなっていて、顔の系統は同じ。本間らしい和顔です。

【ミタさん】
「Vx」と「Px」は7番アイアンのロフトがどちらも30度で、他の番手も同じロフト設定になっています。この2モデルもそうですが、「ツアーV」とのコンボセットも想定しているので、シリーズにおける打感や顔の流れを揃えることに注力したそうです。

【シオさん】
たしかにコンボセットにしても違和感はない。ただし、同じロフト30度でも「Px」の方が5ヤードくらいキャリーが伸びていました

【ミタさん】
上の番手だけ「Px」にすれば、距離差が出しやすくなりますし、安心感にもつながります。女子プロでも「Px」と「Vx」のコンボセットにしている選手がいるので、アマチュアにもオススメです。

「Px」試打データ。コウタロウは高くまっすぐなボールを連発していた

【ミタさん】
歴代のTWシリーズのアイアンに比べると、顔や打感は継承しながらも、全体的にやさしくなっています。「ツアーV」も決してアスリートゴルファー仕様の軟鉄鍛造アイアンではなくて、平均スコア80台の中級者であれば十分に使いこなせます。「Vx」はオーソドックスな鍛造キャビティアイアン。平均80~90台の幅広いゴルファー層をカバーしています。「Px」は初心者からアベレージゴルファー、シニアゴルファーまで使えるアイアン。3モデルとも顔や打感に統一感があるので、「Px」と「Vx」、「Vx」と「ツアーV」といったコンボセットも組みやすいと思います。

【コウタロウ】
こういう和顔のアイアンは少なくなってきましたけど、やっぱり日本人は好きな顔だと思います。

まとめ

顔や打感の評価は高くアスリートが好むモデルだろう
コウタロウは飛びすぎのため飛距離項目が減点らしい(笑)
今回の3モデル総じてやさしさの評価が高かった

■ 試打したクラブのスペック

HONMA TW ツアーV
●ロフト角(7I):32度 ●シャフト:N.S.プロモーダス115 ●硬さ:S

HONMA TW Vx
●ロフト角(7I):30度 ●シャフト:N.S.プロモーダス105 ●硬さ:S

HONMA TW Px
●ロフト角(7I):30度●シャフト:/N.S.プロ950GH neo ●硬さ:S

■ マイクラブ情報

コウタロウ:ピン ブループリント アイアン
●番手(ロフト角):7I(34度) ●シャフト:KBS Cテーパー 125 ●硬さ:S+

シオさん:タイトリスト T300 アイアン<2021年>
●番手(ロフト角):7I(29度) ●シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー 105 ●硬さ:S

■ ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

■ コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

■ シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

本間ゴルフ
キャビティ史上、最高にマッスル
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やさしくて飛ぶ、に見合わない打感。
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