クラブ試打 三者三様

ヘプラー パターを筒康博が試打「『シグマ2』と対極のモデル」

2020/08/13 05:00

ピン「ヘプラー パター」の評価は!?

ヘッドデザインのコントラストやブラッククロームシャフトを採用することで、構えやすさを追求したピン「ヘプラー」シリーズ。視覚的な要素にこだわったブレードタイプから、複合素材を採用して高慣性モーメトを実現した大型タイプまで揃っている。そんなピン自信作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。変幻自在に球を操るクラブフィッター・筒康博は、どのような評価をくだすのか!?

「どこに当たっているか、ちゃんと伝わる」

※スキッド:打ち出し直後の横滑り状態の距離

―率直な印象は?
「はっきりした硬さというか、弾き感のあるモデルといった印象です。手に伝わる感触以上に、耳に残る打球音が印象的。しっかりとした打音により、フェースのどこに当たっているか、どのくらいの強さで当てられているか、ちゃんと伝わるモデルだと感じました」

高比重のステンレススチールを採用

―打感が硬い?
「単に硬いという表現ではなく、当たった瞬間の音と感触で、距離感を作っていけるという評価が適切だと言えます。インパクトのフィーリングが、すごく高まる感覚。あまりフォローをとらないヒットタイプのユーザーには、とても扱いやすいと思いました。当然インパクト直後にフェースをコントロールしていくのですが、その対応力も高かったです」

並行モデルとして対比されることが多い両者

―「シグマ2」シリーズと比べてどう?
まったく真逆の印象です。『シグマ2』は、フォローを通常より大きく取りたくなるモデル。『ヘプラー』のように、フォローを短く低く出すというより、長くきっちり出すほうが、距離を合わせやすいと言えます。同じ形状のラインアップも多く(『シグマ2』は12種類、『ヘプラー』は10種類)、同メーカーの中で選択肢の幅が広がったという部分が、とても好印象に映ります」

ブラックとゴールドの2色の配置が絶妙

―構えやすさも良い?
「はい、自然体で力まずに構えやすいです。理由は、意外とこのブラックとゴールドの配色の効果が大きいように感じられます。ヘッドを見るだけでは、色のコントラストは強く感じられるのですが、上から構えてみると、不思議とそれほど気にならない。存在感がないわけではなく、グリーン上に馴染んでくれる点が魅力です」

独特のデザインに目が行きがちな「フェッチ」だが…

―お気に入りモデルは?
「10種類の形状の中で、どんなユーザーにもマッチしそうなモデルは『フェッチ』なのではないかと思いました。高慣性モーメントの重量感を持ちつつ、決して大きく見えるわけでないので、操作しようと思えば操作できる。ミスへの寛容性も大きく、多くの人が手放せなくなるモデルと言えそうです。中央の丸い穴は、単なるデザインではなく、周辺に重量を配するために巧妙に考えられた形状ということを認識させられました」

「フェッチ」のオートマチック感&操作性に太鼓判を押す筒

―どのような人向き?
「ブレードからマレットに移行する際、マレットのオートマチックな性能が、少し自分の中で操作しきれないのでは?と危惧している人に、ぜひ『フェッチ』を試してみてもらいたいです。また、逆にマレットからブレードに移行する際は、『アンサー2』がおすすめ。安定感も寛容性もあり、ブレードの形をしたセミマレットといった印象。実はこの2本、形は全く違いますが意外と性能が似ているので、一度打ち比べてみてほしいと思います」

転がり満点を含む高得点【総合評価4.3点】

【転がり】5.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.5
【構えやすさ】3.5

・フェッチ /ロフト角:3度 ライ角:70度 シャフト:34インチ
・アンサー2 /ロフト角:3度 ライ角:70度 シャフト:34インチ
・使用ボール:タイトリスト プロV1

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、石岡ゴルフ倶楽部

■ 筒 康博 プロフィール

プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。