クラブ試打 三者三様

タイトリスト T100 アイアンを西川みさとが試打「打感はT100 使うならT100S」

2021/10/12 05:00

タイトリスト 「T100 アイアン」の評価は!?

ジョーダン・スピースが早くからスイッチし、「このアイアン以外でプレーすることは考えられない」と語ったことで注目を集めるタイトリスト「T100 アイアン」。Tシリーズとしては2代目となるモデルで、発売直後から精密な飛距離が出せると評判が高い。そんな人気作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「見た目に反して打ちやすい」

弾道の高さも方向性もブレが少なくイメージ通りの球筋に

―率直な印象は?
「見た目のシビアさやプロモデルというブランドの印象に反して、実際は意外と打てるというのが率直な感想です。サイズ感やシャフトのスペックを抜きにして、非常に打ちやすい。このギャップに驚くゴルファーは多いと思います」

キャッチコピーは『ツアーNO.1が証明する、精密弾道がさらに進化』

―どのように打ちやすい?
「サイズは小ぶりですが、構えたときに上から見たフェース面の印象は決して狭くなく、逆にネックとフェースのつながりに懐(ふところ)が存在することで、広く見えます。飛距離の面ではアベレージ向けモデルよりも飛んではいないですが、同じくらいやさしくボールが上がります。出球の飛び方がいつも一緒で、イメージ通りに打てるので縦の距離がそろいやすい印象を受けました」

ツアープロの声が反映されたシャープなトップライン

―縦の距離がそろいやすい…?
「はい。多少ミスヒットしても、弾道の高さが変わりにくいです。元々、構造自体に球筋を美しく見せる工夫がされているため、潜っても吹いてもなく、ロフト角通りに飛んでくれます。その効果のおかげで、芯を外したときでも縦の距離が散らばりにくい。軌道がブレにくく安定感もあるので、左右に大きく曲がる心配もない。『T100S アイアン』も含め、見た目に反する寛容性の高さに驚かされました」

同社セレクトストア限定販売の「T100」と一般販売の「T100S」

―「T100S」との違いは?
「打感は微小ですが『T100』のほうがやわらかく、心地よいフィーリングで打てます。ただ、『T100S』のほうが同じ7番アイアンでもロフト角が2度立っている(T100=34度、T100S=32度)ので、当然前に飛ぶ感じがあり、実戦向きだと思います。夜の練習場では蛍光灯の光の加減で、フェース面が眩しく見えるかどうかの違いから、だいぶ異なる印象も感じられました」

一体設計のフェース構造で適正なバックスピンが得られる

―実戦向きな理由は飛距離の差?
「そうですね。非力なゴルファーが選ぶとすると、前に飛ぶ分『T100S』のほうがスコアはつくりやすいです。私のHS(平均35~36m/s)でもこの2モデルの違いを感じられたので、より振れるゴルファーなら、もっとその差を実感すると思います」

「T100は上に高く T100Sは前に強く飛ぶ感じ」と説明する西川

―どのような人向き?
「やさしいし、打ちやすいという驚きはあったものの、あくまでもサイズ感は小ぶりで、完全なアベレージ向けとは言いにくいです。アイアンの見た目にこだわるような上級者向き。そもそもアイアンが苦手で、ロフト角通りに当てることができないゴルファーには、やさしいとは言えないかもしれません。見た目が格好いいのに、意外と簡単に打てるという認識が的確です」

意外性は抜きに現実的な採点【総合評価3.8点】

【飛距離】3.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】3.5

・ロフト角:34度(7I)
・シャフト:NSプロ 105T(硬さS)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。

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