タイトリスト T100 アイアンを筒康博が試打「前作以上にSとの差を感じる」
タイトリスト 「T100 アイアン」の評価は!?
ジョーダン・スピースが早くからスイッチし、「このアイアン以外でプレーすることは考えられない」と語ったことで注目を集めるタイトリスト「T100 アイアン」。Tシリーズとしては2代目となるモデルで、発売直後から精密な飛距離が出せると評判が高い。そんな人気作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は?
「『T100』が落ちたのではなく『T100S』が相当いい」
―率直な印象は?
「前作『T100 アイアン(2019年)』をマイクラブとして使っている手前、いつものフィーリングで打てるということもあり、やはり総じて評価は高めです。ただ、あえて5点満点を付けず、全項目4.5点に抑えたのは、打ち比べた『T100S アイアン』の性能が高く、ロフト角2度以上の差を感じたからです」
―ロフト角2度以上の差…?
「はい。同じ7番でも『T100』は34度、『T100S』は32度の設定で、ロフト角が2度立っています。試打する前は、打ち出し角が下がって弾道が低くなる、飛距離が飛び過ぎる、ウェッジのロフト設定が難しくなるなど、ネガティブな印象をもっていましたが、実際はそのようなことを微塵(みじん)も感じさせないほど、弾道は『T100』と同じまま。ボール初速だけが上がり、結果的に曲がり幅は抑えられ、狙い通りにボールを運ぶことができました」
―前作の「T100」「T100S」はどうだった?
「前作は、ロフト角以外の差をあまり感じませんでした。それに比べて、今作の『T100』と『T100S』の差は大きい。『T100』が劣ったわけではなく、『T100S』の性能が相当上がっています。打感も打音も飛び姿も前作と全く違っていたので、とても衝撃的に感じました」
―「T100S」に買い替えたくなる?
「そうですねー(苦笑)。アイアンセットは長い期間で使い込みたいクラブですし、そのためにシャフトもじっくり合わせて選んだわけなので、正直すぐに買い替えたくないですが…。それを抜きにしても、『T100S』はすぐに実戦投入したくなるほど、前作からの進化を認めざるを得ないと言えます」
―「T100」は上級者or中級者向け?
「スピース選手が絶賛するほどなので、プロモデルのど真ん中に位置しているモデル。マッスルバックやハーフキャビティの鍛造=上級者向け、複合素材=中級者向けといった従来のカテゴリー分けは、もはや通用しないと言えそうです。特に今秋の最新モデル群は、カテゴリーを超えた使いやすさを持ち合わせたものが多く、“〇〇向け”といった分類を本気でやめないといけないと思わされました」
―では、具体的にはどのような人向き?
「全ゴルファー対象。腕前やレベルを気にせず、アイアン選びの基準となるクラブを打つべきという意味で、『T100』『T100S』はおすすめしたいシリーズです。これよりもやさしいor難しい、安心感があるorないといった判断をするために、基準となるモデル。特にここ1~2年でゴルフを始めた若い層のゴルファーに試してもらいたいアイアンです」
「T100S」との相対評価でオール4.5点【総合評価4.5点】
【飛距離】4.5
【打 感】4.5
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:34度(7I)
・シャフト:NSプロ 105T(硬さS)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
プロコーチ、クラフトマン、フィッターとしてプロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイスを経験。江東区・インドアゴルフKz亀戸内「ユニバーサルゴルフ スタジオ」トッププロファイラーを務める。