クラブ試打 三者三様

ボーケイ SM9 ウェッジを筒康博が試打「打感のバラつきが減少」

2022/06/16 05:00

タイトリスト「ボーケイ SM9 ウェッジ」の評価は!?

国内外のツアーで使用率No.1を誇る「ボーケイ SM(スピンミルド)」シリーズ。今季にツアー投入された新作「ボーケイ SM9 ウェッジ」は、ジョーダン・スピースジャスティン・トーマスらが即座にスイッチしたことからも、性能の高さは折り紙付きだ。前作「SM8」と打ち比べつつ、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?

「微小ながら『SM8』とのふたつの違い」

※ロフト角52度にて約100yd目安に打った弾道のみの平均値を算出

―率直な印象は?
「『ボーケイ デザイン』シリーズは、前作『SM8』で性能面は完成された印象を受けていたのですが、今回打ち比べた結果、微小ながらふたつの差を感じることができました」

ツアープロの声を反映し 前作以上のパフォーマンスを追求

―ふたつの差…?
「はい。まずひとつは、『SM9』はロフト角や打点が変わっても、打感が全く変わらない点です。『SM8』は、ロフト角やソール形状が変わったり、打点がズレると、インパクトで手に伝わる振動が変わってしまう。その点、『SM9』はフェースのどこで打っても、どんな入射角でも、どんなスイング軌道でも、全てが同じフィーリングになる。結果的に、操作性が良くなるように感じられました」

ロフト角46~62度 バウンス角4~14度 グラインド6種類と充実のラインアップ

―もうひとつは?
「もうひとつの差は、スイング中にソールを実感しやすいかどうかです。『SM8』も高いレベルで抜けてはくれるのですが、『SM9』と比べると、バウンス角の大きさやソール形状の違いを、それほど感じることができませんでした。なぜかは分からないのですが、違いを感じられるとなると、やはり『SM9』のほうが欲しくなります」

重さ110g、トルク:1.8、バランス:D1・3、長さ:35~35.75インチ、中調子

―純正シャフトの違いでは?
「それは関係ないでしょう。もちろん、専用モデル『BV105』とのマッチングは良いとは思いますが、地面に当たったときのヘッドから伝わる感触なので、ヘッド単体のフィーリングの差だと思います。ですが、性能面の差はほとんどありません。どちらがスピンをかけやすい、距離感をつくりやすいといった、明確な差は感じませんでした」

西川に続き筒も同じくリーディングエッジの丸みに言及

―気になる点は?
「リーディングエッジ(フェース下部の刃)の丸みが、少し大きくなった点でしょうか。ストレート形状に比べ、フェースが開きやすくなる半面、プレーヤーの自己責任でフェース向きが決められてしまうところがあります。地面に置いただけでオートマチックに目標を向くモデルではなく、打ち出し方向のバラつきや、フェースの開き具合が、やや雑になる可能性が考えられます」

「SM9のほうが丸みを帯びている分 全体が小ぶりに見える」と筒

―どのような人向き?
「世界のツアーで一番評価を得ているシリーズなので、アマチュアといえども、一度は試してみる価値はあるといえます。買ったほうがいいとまでは言いませんが、試す前から評価してしまうのは、もったいない。なぜPGAツアーのプロがこんなにも使っているのだろう? と興味をもって試すべきですし、前作『SM8』も国内で一番売れていることを考慮しながら、実際に打って試すべきだと思います」

打感5点満点◎ それ以外は「SM8」と同じ【総合評価4.7点】

【スピン性能】4.5
【打 感】5.0
【抜け感】4.5
【バンカー対応力】4.5
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:52度(バウンス12度/Fグラインド)、58度(8度/M、10度/S、12度/D)
・使用シャフト:BV105(硬さS)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ

■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール

スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。

タイトリスト
発売日:2022/03/11 参考価格: 27,500円