ボーケイ SM9 ウェッジを筒康博が試打「打感のバラつきが減少」
タイトリスト「ボーケイ SM9 ウェッジ」の評価は!?
国内外のツアーで使用率No.1を誇る「ボーケイ SM(スピンミルド)」シリーズ。今季にツアー投入された新作「ボーケイ SM9 ウェッジ」は、ジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマスらが即座にスイッチしたことからも、性能の高さは折り紙付きだ。前作「SM8」と打ち比べつつ、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「微小ながら『SM8』とのふたつの違い」
―率直な印象は?
「『ボーケイ デザイン』シリーズは、前作『SM8』で性能面は完成された印象を受けていたのですが、今回打ち比べた結果、微小ながらふたつの差を感じることができました」
―ふたつの差…?
「はい。まずひとつは、『SM9』はロフト角や打点が変わっても、打感が全く変わらない点です。『SM8』は、ロフト角やソール形状が変わったり、打点がズレると、インパクトで手に伝わる振動が変わってしまう。その点、『SM9』はフェースのどこで打っても、どんな入射角でも、どんなスイング軌道でも、全てが同じフィーリングになる。結果的に、操作性が良くなるように感じられました」
―もうひとつは?
「もうひとつの差は、スイング中にソールを実感しやすいかどうかです。『SM8』も高いレベルで抜けてはくれるのですが、『SM9』と比べると、バウンス角の大きさやソール形状の違いを、それほど感じることができませんでした。なぜかは分からないのですが、違いを感じられるとなると、やはり『SM9』のほうが欲しくなります」
―純正シャフトの違いでは?
「それは関係ないでしょう。もちろん、専用モデル『BV105』とのマッチングは良いとは思いますが、地面に当たったときのヘッドから伝わる感触なので、ヘッド単体のフィーリングの差だと思います。ですが、性能面の差はほとんどありません。どちらがスピンをかけやすい、距離感をつくりやすいといった、明確な差は感じませんでした」
―気になる点は?
「リーディングエッジ(フェース下部の刃)の丸みが、少し大きくなった点でしょうか。ストレート形状に比べ、フェースが開きやすくなる半面、プレーヤーの自己責任でフェース向きが決められてしまうところがあります。地面に置いただけでオートマチックに目標を向くモデルではなく、打ち出し方向のバラつきや、フェースの開き具合が、やや雑になる可能性が考えられます」
―どのような人向き?
「世界のツアーで一番評価を得ているシリーズなので、アマチュアといえども、一度は試してみる価値はあるといえます。買ったほうがいいとまでは言いませんが、試す前から評価してしまうのは、もったいない。なぜPGAツアーのプロがこんなにも使っているのだろう? と興味をもって試すべきですし、前作『SM8』も国内で一番売れていることを考慮しながら、実際に打って試すべきだと思います」
打感5点満点◎ それ以外は「SM8」と同じ【総合評価4.7点】
【スピン性能】4.5
【打 感】5.0
【抜け感】4.5
【バンカー対応力】4.5
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:52度(バウンス12度/Fグラインド)、58度(8度/M、10度/S、12度/D)
・使用シャフト:BV105(硬さS)
・使用ボール:川口グリーンゴルフ専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、川口グリーンゴルフ
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。インドアゴルフ「ゴルフレンジKz亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。