TRI-HOT 5K パターを大本研太郎が試打「オフセット強め」
オデッセイ「TRI-HOT 5K パター」の評価は!?
ブレード型ながら、5K(5000g・cm2)という大型マレット並みの高い慣性モーメントを誇るオデッセイ「TRI-HOT 5K パター」。ヘッド前方に全体の90%近い重量を配し、トウやヒール側でミスヒットした際にもブレない安定感をもたらすという。そんな新たな概念を構築するシリーズを有識者3人が採点。多くのプロを指導するパッティングコーチ・大本研太郎の評価は!?
「振りやすさを考慮した高慣性モーメント」
―率直な印象は?
「モデルによっては少し重いと感じるところはありましたが、全体を通して非常に振りやすく、扱いやすい印象です。このやわらかい打感が好きという人は、継続して使用すれば良い結果を出せると思います。これで慣性モーメント5000g・cm2とは、非常に驚きです」
―高慣性モーメントは実感できる?
「正直、そこまでは大きく感じられません。そもそも見た目がブレード型で、フェース面を開閉するイメージが湧く形状。今まで通りフェースをコントロールしたい人にも、真っすぐ引いて真っすぐ出したい人にも、どちらにも考慮して作られているように感じます」
―見た目の印象は?
「他モデルと比べ、オフセット(シャフト線上に対してフェース面が後方に位置する作り)が強めに感じるため、若干ボールを右に置きたくなる形状です。ネック形状からも、開閉を抑える力=高慣性モーメントを意図しているのではないでしょうか。2016年発売の『トウ・アップ』シリーズで提唱した考え方に近いテクノロジー(台に水平に置くとトウ側が上を向く構造)が、踏襲されている気がします」
―オフセットの強さとトウ・アップが関係している?
「慣性モーメントの低いブレード型は、基本的にヒールアップする構造ですが、『TRI-HOT 5K』は内蔵されたウエイトの効果にオフセットの強さをプラスして、限りなくトウが浮くように設計されていると感じます。パターは物理的にフェースを開閉して使用するものなので、開閉しても振りにくさを感じさせないギリギリのラインで、慣性モーメントを利用しているのではないでしょうか」
―オデッセイの他モデルと比較すると?
「同じホワイト・ホットインサートを使ったシリーズは、一貫してやわらかいフィーリングで打てるため、全て同じタッチで扱えると思います。『TRI-HOT 5K』は若干硬めに感じますが、それも本当にわずかな差。全て同じ良い打感を得られる点が、オデッセイの強みといえます」
―どのような人向き?
「重心が浅めの設計になっているので、アッパー軌道というよりは、ボールを真ん中からやや右寄りに置き、レベルかダウンブローで打っていきたい人向き。ヘッド前方の黒い部分が、フェース面を意識して集中できるため、ブレード型に慣れていない人でもアライメントが取りやすく扱いやすい。これからブレード型に挑戦したいゴルファーに、最適なパターといえるのではないでしょうか」
2-BALL ELEVENと同点【総合評価4.3点】
【転がり】4.5
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.0
・TWO /ロフト角:3度 ライ角:70度 長さ:34インチ
・TRIPLE WIDE /ロフト角:3度 ライ角:70度 長さ:34インチ
・使用ボール:ブリヂストン ツアーB X
取材協力/トラックマンジャパン株式会社
■ 大本研太郎(おおもと・けんたろう) プロフィール
1974年生まれ、PGAティーチングプロA級。株式会社スポーツラボ代表として、2012年パターレッスン専用スタジオ「パットラボ」、13年「GPC恵比寿」を開設。スコアメイクに重要なショートゲーム改善の研究を進め、特に重要性の高いパッティング指導に力を入れる。最近では東浩子、臼井麗香らのコーチも務める。