スパイダー GT パターを大本研太郎が試打「グリップが好感触」
テーラーメイド「スパイダー GT パター」の評価は！？
誕生から14年が経過し、世界中のツアーで定番パターとなっているテーラーメイド「スパイダー」シリーズ。寛容性を高めるため、更に慣性モーメントを向上させた最新作は「GT」＝Grand Tour(グランドツアー)と名付けられ、ミスヒットに強い安定性を実現したという。そんな“ブレないスパイダー”を、有識者3人が採点。多くのプロを指導するパッティングコーチ・大本研太郎の評価は！？
「固定ファン以外にも好まれる新たなスパイダー」
―率直な印象は？
「試打した4種類が、それぞれアライメントの見え方に特化していて、バリエーションが増えたという印象を強く受けます。“スパイダー型”と呼ばれる四角い形状だけではなく、いろいろな形状を増やし、ターゲット層を広げる狙いがうかがえます」
―ターゲット層の幅が広がった…？
「はい。四角い形状は、平らな地面ではアライメントを取りやすいメリットがある一方、丸みを帯びた形状は、傾斜地で合わせやすい利点があります。そういう点で、平地を重視するプレーヤーだけではなく、豊富なバリエーションで、実戦的なパターを探している人も合わせやすく、種類を増やした意図を感じます」
―打感の印象は？
「打感は、どのモデルもやわらかく感じられます。ツノ型の『スプリットバック』だけ、やや高い打音がして、少しだけ硬めには感じましたが、それも相対的な感想です。そもそも打感は、フェース面とボールの接地面積が少ないほどやわらかく感じるものですが、今作のインサートには太い幅の溝が入っている効果の影響で、打感が非常にやわらかく感じます」
―グリップの感想は？
「グリップがちょうど手に収まるサイズ感。しかも、後ろの縫い目にあたる部分がやや出っ張っており、そこが薬指や小指の腹にマッチする印象です。完全に丸型の口径だと、全面を腹で覆うように握ってしまいがちで、肩に力が入り、わきが開いてひじが前に出やすくなります。今作は薬指や小指がハマるので、フェースの開閉がしやすく、とてもヘッド操作がしやすいです」
―薬指や小指が決まるグリップの影響は大きい？
「グリップの力感で最も大きな役割を担う人差し指は、器用な筋肉で動ける分、そこに比重を置くと安定感を欠いてしまいます。人差し指よりも中・薬・小指の力感のほうが重要で、この3本のイメージが決まると、ストロークをスムーズに行いやすい。3本が収まる太さと握りやすさが、今作のピストルグリップには感じられました」
―どのような人向き？
「ヘッドをオートマチックに動かしつつ、グリップの影響で、若干自分でつかまり感を出したい人。グリップを握るとどうしても力が入り、ヘッドの重みを感じられなくなってしまうゴルファー向きです。4種類の個性がそれぞれバラバラのため、『スプリットバック』→『スタンダード』→『ノッチバック』→『ロールバック』の順に、オートマチック(クラブの動きを重視)→マニュアル(感覚で打ちたい)という把握の仕方で、好みの機種を選んでください」
特に穴なく全項目で4点台【総合評価4.2点】
【転がり】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0
・ブラック ／ロフト角：3度 ライ角：70度 長さ：34インチ
・スプリットバック ／ロフト角：3度 ライ角：70度 長さ：34インチ
・ロールバック ／ロフト角：3度 ライ角：70度 長さ：34インチ
・ノッチバック ／ロフト角：3度 ライ角：70度 長さ：34インチ
・使用ボール：ブリヂストン ツアーB X
取材協力／トラックマンジャパン株式会社
■ 大本研太郎（おおもと・けんたろう） プロフィール
1974年生まれ、PGAティーチングプロA級。株式会社スポーツラボ代表として、2012年パターレッスン専用スタジオ「パットラボ」、13年「GPC恵比寿」を開設。スコアメイクに重要なショートゲーム改善の研究を進め、特に重要性の高いパッティング指導に力を入れる。最近では東浩子、臼井麗香らのコーチも務める。