マルマン シャトルを筒康博が試打「ワンレングスアイアンのウッド版」
FWを軸にした独創的設計 HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?
“フェアウェイウッド(以下FW)中心主義”という斬新な切り口で開発されたマジェスティゴルフ「マルマン シャトル」。旧社名「マルマン」(2018年10月変更)時代、FWに定評のあった「シャトル」の性能を継承し、新たに計7本(2W、3W、5W、7W、9W、11W、13W)のラインアップを並べた。そんな独創的なFWとドライバーを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「まるっと買い替えられる 勝手にハイドローなウッドシリーズ」
―率直な印象は?
「ドライバーとFWを分けてとらえる考え方が一般的だと思うのですが、この『マルマン シャトル』はそんな固定観念に縛られない、自由な発想のコンセプトで開発されたモデルです。今持っているセッティングの中で、得意クラブがあまりないゴルファーが、セットでまるっと買い替えられるシリーズだと思います」
―まるっと買い替えられる…?
「はい。11W、13Wという、あまり使ったことがない番手で見た目の違和感はあるのですが、実際に打ってみるとショートアイアンより楽にボールが上げられ、しかもシャフトのしなり量が大きいことで、HSも速くなりやすい。軽く振っても高さとキャリーが出るやさしい性能で、ダフる心配をしなくても気楽に打てる点は、コースで感じる大きなメリットだと思います。また、ドライバーも11、13Wをそのまま大きくしたような構造で、ほとんどミスが出ない。全番手で共通して曲がり幅が少ないことで、安心してセットで買い替えられると思います」
―曲がり幅を抑える要素は何?
「ウッド型構造の欠点は、やはり飛ぶけれど曲がり幅が大きいことだと思います。その点『マルマン シャトル』は、クラウン部のアライメント効果のおかげか、ターゲットに対して直線をイメージでき、ミスヒットしても自然にドロー回転がかかって、勝手に曲がり幅を抑えてくれる印象。とにかく高弾道で真っすぐ飛ばすことに特化したクラブです。ドライバーのシャフト長も短尺(44.5インチ)でミートしやすく、顔はややフックフェースに見受けられますが、つかまり具合も抑え気味。アベレージゴルファーでも、思うように結果が出ることで、楽しくラウンドできる頻度が増えるのではないでしょうか」
―他社でいうと類似モデルは?
「そうですねー…。このシリーズを他社の何かと比べることはナンセンスな気がします。強いて例を挙げるなら、以前ブライソン・デシャンボーも使っていたコブラのワンレングスアイアンを、ウッドで仕上げたといったところでしょうか。長さはそれぞれ違いますが、HSが比較的に遅い人でも、ミドルウッドの打ちやすさを体感できる。ドライバーから13Wまで、同じように寛容性の高さを味わうことができるという点では、ワンレングスと共通しているといえます」
―気になるデメリットは?
「ロフト角が寝ている番手になるほど、フックフェースの度合いが強く見える点でしょうか。ロフトが寝る分、リーディングエッジ(フェース下部の刃)が前に出るため、見慣れていない分だけ違和感を覚えます。ただ、理由は既存モデルに似た形状がないことだけで、良し悪しの問題ではありません。それより気になる点は、週に2、3回練習場に行ってレッスンを習い、真剣にスイングづくりに取り組んでいる人ほど、どこかで物足りなさを感じる時期が来ることかもしれません」
―どのような人向き?
「全番手でやさしい性能を味わえるので、メイン対象はシニア以上になるでしょう。機会があれば、80歳を超える私の父親にプレゼントしてみようかと思いました(笑)。ですが、単に高年齢だから適しているというモデルではなく、現在51歳の私でも好スコアで回ることができる性能に仕上がっています。冬場の寒い時期、練習がおろそかになってしまった時期のラウンドに、最適なモデルだと思います」
見た目の構えやすさ3.0△以外は好感触【総合評価4.1点】
【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】3.0
・ロフト角:1W(10.5度)、2W(13度)、3W(15度)、5W(18度)、7W(21度)、9W(25度)、11W(29度)、13W(33度)
・使用シャフト:IMPACT FIT m230(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。