P770 アイアンを西川みさとが試打「『P790』のサイズ感を希望」
やさしく進化した3代目 HS30m/s台の女子プロ評価は!?
テーラーメイドのアスリート向けアイアン「P」シリーズから、2023年モデルとして登場した3代目「P770 アイアン」。マッスルバック風のコンパクト形状に、飛距離、寛容性、打感、全てを向上させるための最新テクノロジーを搭載した中空構造は、前作よりさらにやさしく進化したという。そんな同社の自信作を、同時発売の限定モデル「P7MC アイアン」「P7MB アイアン」と比べながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。
「打感や球筋は理想的 ただ、やや小ぶり過ぎ…」
―率直な印象は?
「小ぶりなサイズ感で全体的にシャープな印象が強く、少しのミスヒットも許してくれなさそうで、ややシビアに感じました。私のHSではハードスペック過ぎる印象です。やわらかい打感も飛んでいく球筋も理想に近かったので、もうひと回りサイズが大きければ…といった感想を持ちました」
―兄弟モデル「P790 アイアン」はひと回り大きいですよね?
「そうですね。そういう意味では、『P790』が私の理想的なモデルなのかもしれません。実際に昨年試打した直後、購入しようか迷っていたほどでした。兄弟モデルということで、性能はほとんど違いはなく、見た目の形状がややスッキリ見えるかどうかの差。小ぶりなサイズのアイアンは嫌いではないのですが、『P790』が理想形なだけあり、サイズダウンな『P770』は、私の目にはややハードに映った模様です」
―打感は4.5点(5点満点中)と高得点ですが?
「やわらかいフィーリングで、カチーンと弾くような硬さは感じず、ボールの食いつきが手に残るところがとても好印象でした。やわらか過ぎることもなく、程よい手ごたえが心地よく感じられます。打感も弾道イメージも高評価で、あとは見た目から受けるプレッシャーさえなければといったところ。本当は5点満点をつけても良かったのですが、見た目の印象も少なからずフィーリングに影響するため、-0.5点とさせていただきました」
―「P7MC アイアン」と比べると?
「『P7MC』は、『P770』よりヒールからネックにかけての上下の厚み(高さ)があり、ヒール目の当たりにも強さを発揮する点で少しやさしさを感じます。サイズ感も『P770』より若干大きめで、緊張感を持たずにスッと自然に構えられました。スコアライン(フェース面に刻まれたライン)とトウ側のラインのないスペースの色味がはっきり分かれていて、境い目はなく見える『P770』より、フェース面の中心に集中できる気がします。好みの問題ではありますが、私は色味が分かれているほうが見慣れているため、ビジュアルでのメリットを多く感じました」
―「P7MB アイアン」と比べると?
「フェースがボールサイズほどしかなく、超小ぶりサイズで構えて上から見た際に不安を感じてしまうほど…(悲)。私が評価することが恐れ多く感じてしまうほど、対象ユーザーのレベルは段違いといった印象。ですが、マッスルバックの打感はやはり秀逸で、しっかりボールをとらえたときの感触は、3機種(『P770』『P7MC』『P7MB』)の中で評価は一番上。全機種ともやわらかい打感ではありますが、比較すると『P7MC』が一番硬かったような気がします」
―どのような人向き?
「ある程度、腕前が確かな上級者向けモデル。アイアンショットに自信がない人には、なかなか使いこなせないでしょう。また、デザインはシンプルで洗練されたものに仕上がっているので、アイアンに所有感を求めるこだわりを持った人がターゲットになる気がします。今回試打した純正シャフト『ディアマナ Thump 95』は、ラインアップの中では一番軽量ですが(5Iで約403g)、振り心地は重くて少し硬めに感じたので、やはり対象HSは私より速い方(ドライバーで40m/s以上)ではないでしょうか」
おととしのP790評(4.2点)より-0.1【総合評価4.1点】
【飛距離】4.0
【打 感】4.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0
・ロフト角:33度(7I)
・使用シャフト:ディアマナ Thump 95(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 西川みさと プロフィール
1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。専大時代の1998年に「日本女子学生選手権」で優勝。大山志保・古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場した。2002年のプロテスト合格後は、飛距離こそ出ないものの、ショートウッドを巧みに使う技巧派として、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで人気を集めた。