プロギア 02 アイアンを筒康博が試打「DATAの再来! グローバル化した印象」
スタンダードになり得る2代目 HS40m/s台のクラブフィッター評価は!?
『PRGR IRONs』として2020年より展開している「プロギア アイアン」シリーズ。2代目となる23年モデルは、セミアスリート向け「01 アイアン」、飛び系セミアスリート「02 アイアン」、超深低重心の「05 アイアン」がモデルチェンジした。そんな新たなフラッグシップモデルを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が、シャープなデザインとやさしい飛び性能を両立した「02」の試打評価を行った。
「3機種の中ではダントツ『02』 打感はややソリッド」
―率直な印象は?
「全体のサイズ感、オフセットの具合、ネックの高さを含めたシルエットがとてもスッキリしていて、アドレスして上から見た感じが非常に好印象に映りました。性能はやさしく、見た目とのギャップがちょうどいい。ただ、打感はきわめてソリッドで若干硬いフィーリングが気になります。やわらかい打感を好むフォージドアイアン好きな人よりは、ややボール初速のスピードも、飛距離性能も妥協したくないゴルファー向きといった印象を受けました」
―打感がソリッド…?
「はい、打音の影響が大きいと思います。テーラーメイド『P770』、タイトリスト『T200』、『パラダイム アイアン』のような中身の詰まった構造の中音というよりは、若干スペースを感じる構造でフェースの強い弾きがダイレクトに耳に残る高音の感じ。外観は海外ブランドに近いイメージですが、中身は国産の“飛び系”の要素を少しだけ備えている感じがあります。シンプルなデザインなので、打つ前と打った後で少し印象は変わると思います」
―他の2機種と比べると?
「『01』と比べて、正直大きな違いを言い当てられないほど類似しています。バックフェースの微小なデザインの違いと、少しだけ『01』のほうが飛距離が抑えめな点以外は、ほぼ同じ。それだけ『02』がシンプルでアスリート向けといえます。『05』は、まさしく“飛び系”といった飛距離重視のポケットキャビティで飛びに特化していますが、『01』『02』に通じるスッキリさを持ち合わせています。ミズノ『JPX』のような、飛び系+フォージドが両立した感じ。3機種ぞれぞれ対象プレーヤーに適した魅力が詰まっていましたが、私はダントツに『02』が良かったです」
―「02」と「01」の差はほとんどない?
「鍛造というのは、基本的には鍛えれば鍛えるほど硬くなるってことだと思うんですけど、しっかり鍛造したキャビティアイアンをグローバル化したのが『02』で、よりシンプルにしたものが『01』かなと思います。表現が適切か分からないですが、なんだかダンロップの『スリクソン』のような、すごくPGAツアー選手が使用するグローバルモデルという印象を受けました。国産ながら、海外のプロが使用していても全然おかしくない気がします」
―グローバル化とはどういうこと?
「国産ブランドでありながら、海外メーカーと並ぶアイアンブランドのひとつが『スリクソン』だと思いますが、そこを目指して作られた雰囲気を感じます。90年代に発売されたプロギアの『DATA』アイアンシリーズは、日本ツアーを戦っていたブライアン・ワッツ選手が、海外メジャーで活躍して(98年『全英オープン』2位)、使用ギアも注目されましたが、そのとき以来の感覚を彷彿している印象。世界に向けたトップアスリートのためのアイアン再来という感じがします」
―どのような人向き?
「ハンディキャップ18以下の、競技志向の強いゴルファー向けだと思います。決して上級者限定という訳ではなく、ある程度のレベルを持ち合わせているほうが、このモデルの性能を感じ取ることができるという意味です。今まで軟鉄鍛造のハーフキャビティ、もしくはマッスルバックを使っていた人でないと、なかなか理解ができない魅力を持ったモデル。やさしさの中に操作性の高さが備わっていると言われても、そもそも操作する能力がないと味わえない魅力が詰まっている。そういう意味で、ターゲットはある程度絞られてくる気がします」
7Iで166.5ydの実力 飛距離&寛容性で4.5【総合評価4.3点】
【飛距離】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:30度(7I)
・使用シャフト:MCI FOR PRGR(硬さM-43/S)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。