クラブ試打 三者三様

テーラーメイド P790 アイアンを西川みさとが試打「飛びすぎない“イマドキ中空”」

2023/11/21 20:00

番手ごとに内部構造が違う4代目 HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

精悍でスマートな見た目に、それとは裏腹な飛距離性能が魅力のテーラーメイド「P790 アイアン」。4代目の最新モデルは、番手ごとに異なる内部構造を採用し、重心設計を最適化することで、各番手で求める理想の弾道を生み出す設計となっている。そんな進化を続ける人気中空アイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「前作同様に打ちやすい バランスの取れた優秀さは継続」

ほぼストレートにまとまった弾道 ※画像は7Iでのショットのみ

―率直な印象は?
同シリーズは前作も高評価でしたが、今作もとても打ちやすく扱いやすいモデルに感じました。ヘッドサイズは大きすぎず小さすぎずスッキリしていて操作しやすく、実際に打ってみると見た目からは想像のつかない安定感があります。試打したクラブの中では一番長い6番アイアンでも難しく感じませんでした。最近のセッティングでは、ほとんど7番から(PWまで)採用しているため、久しぶりに6番を打ちましたが、予想以上にしっかりボールを上げることができました」

キャッチコピーは『内に宿る 真の美しさ』

―セッティングを考えるなら6番から?
「うーん…、6番か7番かは相当悩むと思います。やさしくなっているとはいえ、ボールが狙い通りに止まるかというと、私のHSでは理想の弾道と飛距離を生むのは少し難しいので、私は7番からになるでしょうか。特に、6番のフォルムがスッキリきれいに見えすぎて、打つ前からプレッシャーを感じてしまう。今はユーティリティでも、見た目から安心感を抱けるモデルが多く、それと比べると実戦では厳しいでしょうか」

ほぼストレートネックで目標に合わせやすい半面 、西川は「ややプレッシャーを感じる」と評した6I

―打感のフィーリングは?
「以前までの典型的な“飛び系”と聞くと、どうしても打感が硬くてカチーン! と弾く感触のものが多かったですが、『P790』のような複合素材の中空構造は、ボールがフェースにしっかりくっついてから飛び出るフィーリングがあります。スピンが効いて止まってくれるイメージが湧き、フィーリングでの手ごたえから狙った距離に止められる安心感が抱ける。これを新たな“飛び系”といって良いかは分かりませんが、弾道が高すぎず適度に飛び、地面に着いてからも転がりすぎない、距離がしっかり計算できるアイアンに仕上がっています」

内蔵された「スピードフォーム AIR充填剤」が軽量&ソフト化して打感の良さが向上

―番手ごとの違いは味わえた?
「正直、内部構造の違いまでは明確に感じませんでしたが、番手ごとに重心位置を最適化している構造と聞くと、ショット前から良いイメージが湧き、振りやすく感じられるから不思議です。メーカー側が長期間研究し尽くし、こだわり抜いた構造だからこそ、プレー中に安心してボールが打てる。今回は人工芝でしたが、天然芝で打てばまた違った感覚と印象を得られると思います」

7番より長い番手(3~7I)にのみ「貫通型スピードポケット」を搭載

―兄弟モデル「P770」と比べると?
「『P790』同様に『P770』も好きなモデルですが、気になるのは飛距離…。『P770』も美しいシルエットと所有感の湧くデザインで使いたい気持ちはあるのですが、どうしても自分の基準の飛距離まで届かない。私のHSでは最低限のお助け要素を借りないと、コースを回る上で厳しくなってしまうため、選ぶなら『P790』になると思います。ただ、『P770』ももちろんバランスが取れていて、総合評価は高いモデルです」

「他社の中空アイアンと比べても 性能レベルはかなり高い」と西川

―どのような人向き?
「美しくきれいな顔に、やさしい性能という面で、幅広い層にマッチするアイアンだと思います。ただ、若干スッキリ感を考えると、ちょっと小さすぎる顔が気になる人も多いかもしれません。ある程度はアイアンが得意で、距離を狙ってターゲットを攻めていける人向き。『P770』は、ドライバーでHS42m/s以上は確実に欲しいですが、ちょっとそれだと厳しい人は『P790』を選ぶべき。無理に難しいほうを選ばず、十分『P790』でも同じくらいスマートで格好いいモデルなので、選んで損はしないと思います

選んで損はしない! 前作に続き評価上々【総合評価4.2点】

※平均値は7Iでのショットのみ

【飛距離】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:PW(45度)、9I(40度)、8I(35度)、7I(30.5度)、6I(26.5度)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド EX Tour Issue(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

テーラーメイド
発売日:2023/09/08 参考価格: 159,500円