ゼクシオ エックス アイアンを筒康博が試打「ポケキャビNo.1の作り込み」
高弾道&大きな飛びを生む3代目 ご意見番クラブフィッターの評価は!?
ダンロップ「ゼクシオ」シリーズの派生モデル「―エックス」のアイアンとして、3代目となる「ゼクシオ エックス アイアン」。薄肉鍛造フェースと大きなたわみを生む構造に、大型高比重タングステンニッケルウエートを配置することで、高弾道で大きな飛びを生む性能に仕上がったという。3代目にしてかなり完成度が上がったと評判のNEWアイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博の評価は!?
「決めつけはもったいない! 絶妙バランスの超優等生」
―率直な印象は?
「突出した長所があるわけではないのですが、全てが高性能な“超優等生アイアン”という印象を受けます。適度なサイズ感とV字型ソールの抜けの良さ、サテン加工のフェース面の見え方がスッキリとシャープに見える点も好印象。バックフェース部のポケットは、今作では少しだけ埋まっているのか、一般的なポケットキャビティモデルより打感がややソリッドに感じられました。軟鉄鍛造ではないですが、鉄が詰まっているような心地よいフィーリングで、打っていてとても気持ちよさを味わえます」
―見た目の感想は?
「少しだけフェース長(トウからヒールまで)が長い点と、ネック部分がそれほど高くないことで、構えたときにやさしく見えます。これ以上高いと全体のサイズ感と合わなくなってしまい、逆にこれ以上低いとヘッドが大きく見えすぎてしまう。その高さのバランスが絶妙で、すごく構えやすいです。前作<2021年発売モデル>と比べて仕上げの加工が違い、ミラーの度合いが若干強い前作は全体が膨張して見え、やや大きくボテッと見えてしまう。今作のほうが反射を抑えたサテン加工で、絶妙にシャープに見える工夫が施されている気がしました」
―性能面で優秀に感じる点は?
「ソール幅そのものは決して薄いわけではないですが、同社独自のV字型ソールを採用していて、実際に地面に接地している面積は半分くらいしかなく、インパクト前後での抜け感が良いです。ソールが邪魔に感じる要素が全くなく、『ゼクシオ』なのに同社ツアーモデル『スリクソン』シリーズを彷彿(ほうふつ)とさせる操作性も併せ持ったヘッド形状。一方で、ユーティリティ的なオートマチックな要素もある安心感。性能面ではポケットキャビティのカテゴリーの中でNo.1ではないかと思います」
―最近、中空モデルに押され気味なポケットキャビティですが?
「そうですね。ポケットキャビティは、初速や高さを出しやすいメリットがある半面、打感がちょっと硬くなったり、弾き感が強すぎてしまう構造ですが、今作はそんなデメリットは全く感じません。薄肉鍛造のフォージドフェースを使っているからかもしれませんが、程よいやわらかさを含んだ心地よいフィーリングが特徴。ポケットキャビティの初速感と弾き感を持っているのに、フィーリングは中空と同等、いやそれ以上にも感じる。すごくうまく作り込んである印象です」
―気になるデメリットは?
「単独のアイアンブランドとして成り立つほどの完成度を持っていながら、あくまでも同シリーズのウッドと一緒に売られているセットとしてのイメージが強いところでしょうか。ドライバーからフェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンまで、同シリーズで合わせる傾向の強いゴルファーでないと、なかなか手に取りにくいところは否めません。試打をして純粋に合っていれば、ドライバーが他社、または同社の『―13』を使っていても、アイアンだけ今作を選んでも良いわけです。ネーミングで性能を決めつけず、シンプルにこの優等生的性能を試して評価してほしいです」
―どのような人向き?
「やさしいアイアンという定義は人によって異なりますが、難しいことを考えずに、とにかく格好よくてスコアにつながるやさしいモデルを探している人向き。ゴルフを始めたばかりの人が人生最初に選ぶアイアンセットとして、もしくは色々使ってみた結果、難しいものばかりを選んでしまい反省した人がリスタートとして、ぜひ試してほしい。シュッとした見た目と寛容性を持つ性能というジャンルでは、比較するライバルモデルは多いですが、決してネーミングだけで対象に外さず、試してみてください」
全体のバランスが優秀 穴なしオール4.5【総合評価4.5点】
【飛距離】4.5
【打 感】4.5
【寛容性】4.5
【操作性】4.5
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:28.5度(7I)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド 95(硬さS200)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。