APEX Ai300 アイアンを筒康博が試打「固定観念をくつがえす新APEX」
ブランド誕生10周年のやさしいAiフォージド ご意見番クラブフィッターの評価は!?
初代モデルから10周年を迎え、新たにリニューアルした「APEX」シリーズ。「Aiスマートフェース」を搭載した同社独自のフォージドアイアンとして、すでにその飛距離性能と精悍な顔立ちに多くのゴルファーが熱い視線を送っている。そんな注目シリーズから、よりやさしさと安定感を得られる「APEX Ai300 アイアン」をヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。
「トップや薄い当たりもなんのその 外見を裏切る飛び系性能」
―率直な印象は?
「見た目はミッドサイズの飛び系そのもので、それほど大きい分類には入りませんが、外見の精悍さをしっかり裏切る飛び性能が備わっています。ユーティリティのような高打ち出し+高初速で、ウッド構造の要素を感じるほど。フェースが極薄だからか、『APEX Ai200 アイアン』同様に
トップしたり薄めで当たったミスヒットでも、全部ボールを浮かせてくれる。とても安心して振っていける飛び系アイアンに感じます」
―「Ai200」と比べると?
「『Ai200』以上にヘッドのブレを少なく感じます。打っている際はすごく中空の独特な感じはあるのですが、単なる中空ウレタンフォームで弾きが強いというだけでない。内部の低い位置に比重を感じながら左右の端に分かれて重量配置してあるため、ヘッドブレが抑えられるように感じます。入射角がいつも通りでなかったり、間違った角度で接地しても、ヘッドのブレが最小限で耐えてくれる。フェースの真ん中で縦に割って中の構造をじっくり拝見したいほど、不思議に感じます」
―限定モデル「APEX Ti FUSION アイアン」の評価は?
「黒色のヘッドは、実際のサイズ以上にコンパクトに見え、単純にシンプルで格好いいと思いました。見た目だけで十分魅力的なのですが、実際に打っていて面白いなぁと感心してしまうほど、こちらも不思議な性能に感じます。打感だけでは、チタンが内蔵しているようには感じないほど、フォージドアイアンの少しソリッドなモデルと同じフィーリング。中空ですが、すごく打感が食いつくやわらかさがあり、ユーティリティというよりは『Ai200』を素材と構造でものすごくやさしくしたようなモデルに感じました」
―「200」「300」と聞くとタイトリスト『T』シリーズを思い浮かべてしまうのですが?
「私も同じです。ネーミングが被っていると揶揄する人がいるかもしれませんが、私は逆に、この明確化した商品名はありがたいと感じました。どちらのシリーズも200、300と聞いて、数字が大きくなるほどヘッドが分厚く、寛容性が高くなることは打っていなくても把握できます。実際『Ai300』のほうが寛容性が高くてオートマチックな性能で、『Ai200』のほうがスッキリした見た目で操作性が高いと、それぞれが名称通り。国内販売向けの同社『X FORGED』シリーズともまた異なる性能で、確実に世界市場を見据えた差別化に好感が持てます」
―あえて気になる点は?
「あえて挙げるとすれば、これだけ寛容性が高くオートマチックなアイアンだと、新規の購入者にブレーキをかけてしまう危険性を同時に感じました。PGAツアー選手が使っているブランド、また海外市場向けと聞いて、勝手に上級者向けというイメージを抱いた人が、新しい購入者の邪魔をしてしまうのではないか…。それくらい見た目とやさしさのギャップを大きく感じたので、斬新さがメリットになる半面、デメリットになってしまう懸念点を感じました」
―どのような人向き?
「これからゴルフを始めようと思っている初心者ゴルファーから、スコア100切りを目指す人向け。中でも見た目も格好いいものを探している人は、『Ai300』はぴったりハマるモデルだと思います。これほど精悍なアイアンは上達してから、まだまだ購入するのは先…と思わず、腕前やブランドイメージにとらわれずに、どんどん試してほしいです」
飛距離5点満点! 「Ai200」と同じ総合点(4.4点)に【総合評価4.4点】
【飛距離】5.0
【打 感】4.0
【寛容性】4.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5
・ロフト角:29度
・使用シャフト:NSプロ 950GH neo(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。