クラブ試打 三者三様

テーラーメイド P7CB アイアンを宮下敏弥が試打「マッスルより最適スピン&高さ」

2024/10/05 20:00

軟鉄を5回鍛造した高密度アイアン テックNo.1の飛ばし屋コーチの評価は!?

テーラーメイドのツアーモデル「P」シリーズに、新たに追加された「P7CB アイアン」。同社が開発した加工技術「コンパクト グレイン フォージング」を採用し、軟鉄素材を通常の2倍以上の2000tプレス機で5回鍛造することで高密度の鉄を生み出した。そんな研ぎ澄まされた打感を生むアイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。国内ゴルフテックNo.1の飛ばし屋コーチ・宮下敏弥が試打評価を行った。

「見た目&形状はドンズバ! シャフト選びがポイント」

狙った通りに軽いドロー回転の強弾道が打てていた(7Iで平均186.3yd)

―率直な印象は?
「マッスルバックのアイアンとまではいかないですが、トップブレードが薄く、スイートスポットも上めに位置していそうなスッキリ形状で、とても操作性の良さがイメージできる顔立ちです。また、フェース面の仕上げの影響からか、フェースを閉じたり開いたりしても、スコアラインの見え方が変わらない。ワッグルしても見え方が変わらないので、集中力が落ちないメリットを感じます。実際に打つと、フェースの下側でヒットしたとしても意外と飛距離が落ちず、スピン量もちゃんと入ってくれます。見た目も性能も、どちらも高水準で両立したツアー系キャビティバックは今後、多くのゴルファーから支持を得そうな予感がします」

バックフェース中央に大きな質量を配置することで深い打感を実現

―マッスルバックのアイアンと比較すると?
「他モデルと比較する際、一番重視していることは“縦距離”のコントロール性です。ミスヒットしたときでも目標をオーバーしすぎず、ボールは手前にいてほしいもの。私はスピンが多く入るタイプなので、重心の高いマッスルバックだと入射角が鋭くなって、芯に当てたとしてもボールが吹け上がってしまう。7番で8000rpm台まで入ってしまうケースもあり、うまくコントロールできないと、風に飛ばされて大オーバーに…。その点、重心が若干低いキャビティバックのほうが安心して振り抜けます」

同社独自の精密マシンミルド製法で最適な弾道とスピンを生み出す

―マッスルバックと比べて打感は落ちない?
「全く悪い印象を落ちません。インパクトでフェース面にボールがしっかりくい付き、とても心地いい感触が残ります。単にボールが乗っているだけではなく、ちゃんと弾いてくれる感じもある。パチン! と強い感じは一切なく、ボールをググッと押し込めるフィーリングが得られます。アイアンらしいというか、何とも言えない芯を食ったときの乾いた打音も秀逸。強すぎない低すぎない、アスリートゴルファーが最も気持ちいいと思える絶妙な響き音が聞こえます」

軟鉄素材「S25C」を5回の鍛造で高密度に仕上げた

―マイクラブと比べると?
「私は現在ブリヂストン『ツアーB X-CB アイアン』を使用しているのですが、顔立ちやバックフェースの形状など、似ているところは多い気がしました。『X-CB』は、少しだけ『P7CB』よりボールを潰す感じが強く、弾道は低めに出て、そこからめくり上がる球筋。一方で、今作は若干イマドキと思える低スピン&強弾道で、上からグリーンを狙える要素が強い。以前、今作の前身となる『P7MC アイアン』を打った際にも同じイメージを持ったので、たぶん性能は大きく変わらないまま、正統進化を遂げているといえます」

重さ:115g、クラブ重量:434g、バランス:D2、長さ:37インチ、調子:中(※硬さS200/7Iの場合)

―純正シャフトの相性は?
「今回試打した『ダイナミックゴールド MID 115』は、私が使用している『ダイナミックゴールド S200』より少しだけダウンスイング時の粘り感が足りない気がしました。もちろん慣れの問題もありますが、低スピン性能の高いヘッドに合わせた『MID 115』の性格上、ちょっとだけインパクトでしなり戻るスピードが速いのかもしれません。私の場合、『―S200』か『―X100』といったHS(ドライバー平均:約51m/s)に合ったもので調整したいと思いました。今作の適度な重心設計をうまく活かすには、シャフトのクセを見抜く繊細さも重要になってくる気がします」

「好きです。見た目も性能も打音も」(宮下)

―どのような人向き?
「ツアープレーヤー使用クラブでもありますし、100、90切りを目指すアベレージゴルファーはやや厳しい印象を受けます。最低でもシングルハンデを目標に置いているゴルファー、しかもある程度HSがないと飛距離が出ないと思うので、パワーに自信のある方。スコア70台を出したことがある人で、HSはドライバーで40m/s台後半から。結構対象プレーヤーは限られてくる印象です」

打感・操作性・構えやすさで満点! 納得の高得点【総合評価4.6点】

【飛距離】4.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:33度(7I)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド MID 115(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 宮下敏弥(みやした・としや) プロフィール

1999年生まれ、神奈川県出身。小学校から高校までサッカーに打ち込み、ケガを理由で大学からゴルフに転向。わずか2年でベストスコア65をたたき出し、最終的にチームの主将を務めた。ゴルフ上達の最短ルートを心得ていると自負しているゴルフテック期待の若手コーチ。週2~3回のウエートトレーニングを欠かさず、筋力には自信あり。得意のドライバーショットは300ydを超える。

テーラーメイド
発売日:2024/09/06 参考価格: 148,500円