テーラーメイド P7CB アイアンを宮下敏弥が試打「マッスルより最適スピン&高さ」
軟鉄を5回鍛造した高密度アイアン テックNo.1の飛ばし屋コーチの評価は!?
テーラーメイドのツアーモデル「P」シリーズに、新たに追加された「P7CB アイアン」。同社が開発した加工技術「コンパクト グレイン フォージング」を採用し、軟鉄素材を通常の2倍以上の2000tプレス機で5回鍛造することで高密度の鉄を生み出した。そんな研ぎ澄まされた打感を生むアイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。国内ゴルフテックNo.1の飛ばし屋コーチ・宮下敏弥が試打評価を行った。
「見た目&形状はドンズバ! シャフト選びがポイント」
―率直な印象は?
「マッスルバックのアイアンとまではいかないですが、トップブレードが薄く、スイートスポットも上めに位置していそうなスッキリ形状で、とても操作性の良さがイメージできる顔立ちです。また、フェース面の仕上げの影響からか、フェースを閉じたり開いたりしても、スコアラインの見え方が変わらない。ワッグルしても見え方が変わらないので、集中力が落ちないメリットを感じます。実際に打つと、フェースの下側でヒットしたとしても意外と飛距離が落ちず、スピン量もちゃんと入ってくれます。見た目も性能も、どちらも高水準で両立したツアー系キャビティバックは今後、多くのゴルファーから支持を得そうな予感がします」
―マッスルバックのアイアンと比較すると?
「他モデルと比較する際、一番重視していることは“縦距離”のコントロール性です。ミスヒットしたときでも目標をオーバーしすぎず、ボールは手前にいてほしいもの。私はスピンが多く入るタイプなので、重心の高いマッスルバックだと入射角が鋭くなって、芯に当てたとしてもボールが吹け上がってしまう。7番で8000rpm台まで入ってしまうケースもあり、うまくコントロールできないと、風に飛ばされて大オーバーに…。その点、重心が若干低いキャビティバックのほうが安心して振り抜けます」
―マッスルバックと比べて打感は落ちない?
「全く悪い印象を落ちません。インパクトでフェース面にボールがしっかりくい付き、とても心地いい感触が残ります。単にボールが乗っているだけではなく、ちゃんと弾いてくれる感じもある。パチン! と強い感じは一切なく、ボールをググッと押し込めるフィーリングが得られます。アイアンらしいというか、何とも言えない芯を食ったときの乾いた打音も秀逸。強すぎない低すぎない、アスリートゴルファーが最も気持ちいいと思える絶妙な響き音が聞こえます」
―マイクラブと比べると?
「私は現在ブリヂストン『ツアーB X-CB アイアン』を使用しているのですが、顔立ちやバックフェースの形状など、似ているところは多い気がしました。『X-CB』は、少しだけ『P7CB』よりボールを潰す感じが強く、弾道は低めに出て、そこからめくり上がる球筋。一方で、今作は若干イマドキと思える低スピン&強弾道で、上からグリーンを狙える要素が強い。以前、今作の前身となる『P7MC アイアン』を打った際にも同じイメージを持ったので、たぶん性能は大きく変わらないまま、正統進化を遂げているといえます」
―純正シャフトの相性は?
「今回試打した『ダイナミックゴールド MID 115』は、私が使用している『ダイナミックゴールド S200』より少しだけダウンスイング時の粘り感が足りない気がしました。もちろん慣れの問題もありますが、低スピン性能の高いヘッドに合わせた『MID 115』の性格上、ちょっとだけインパクトでしなり戻るスピードが速いのかもしれません。私の場合、『―S200』か『―X100』といったHS(ドライバー平均:約51m/s)に合ったもので調整したいと思いました。今作の適度な重心設計をうまく活かすには、シャフトのクセを見抜く繊細さも重要になってくる気がします」
―どのような人向き?
「ツアープレーヤー使用クラブでもありますし、100、90切りを目指すアベレージゴルファーはやや厳しい印象を受けます。最低でもシングルハンデを目標に置いているゴルファー、しかもある程度HSがないと飛距離が出ないと思うので、パワーに自信のある方。スコア70台を出したことがある人で、HSはドライバーで40m/s台後半から。結構対象プレーヤーは限られてくる印象です」
打感・操作性・構えやすさで満点! 納得の高得点【総合評価4.6点】
【飛距離】4.0
【打 感】5.0
【寛容性】4.0
【操作性】5.0
【構えやすさ】5.0
・ロフト角:33度(7I)
・使用シャフト:ダイナミックゴールド MID 115(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 宮下敏弥(みやした・としや) プロフィール
1999年生まれ、神奈川県出身。小学校から高校までサッカーに打ち込み、ケガを理由で大学からゴルフに転向。わずか2年でベストスコア65をたたき出し、最終的にチームの主将を務めた。ゴルフ上達の最短ルートを心得ていると自負しているゴルフテック期待の若手コーチ。週2~3回のウエートトレーニングを欠かさず、筋力には自信あり。得意のドライバーショットは300ydを超える。