クラブ試打 三者三様

ミズノ JPX 925 HOT METAL アイアンを西川みさとが試打「やさしさの中にも若干『ミズノプロ』色」

2024/10/22 20:00

ミズノ史上No.1の高初速+高弾道アイアン HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

『飛ぶJPX?』というキャッチコピーで、アイアンでも飛距離を重視するゴルファーへ向けて開発されたミズノ「JPX 925 HOT METAL」シリーズ。同社史上No.1の高初速と高弾道を生み、フェースのどこに当たっても飛ぶアイアンとして生まれ変わった。そんな意欲作のスタンダードモデル「JPX 925 HOT METAL アイアン」を、兄弟モデル「―HL」「―PRO」と比較しながら、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「飛距離と打感の両立◎ ボッテリ顔立ちは気にならない」

コントロール性の高さも感じつつ イメージ通りに飛ばせていた(7Iで平均145.7yd)

―率直な印象は?
「弾道の高さも適度ですし(打ち出し角:7Iで平均21.4度)、フェース面にボールが食いついてインパクト時にボールを押し出せている感じもあるので、とても打ちやすく感じられます。しかも、単に高さが出しやすいモデルではなく、ちゃんと思った距離を狙っていける性能なので非常に実戦向き。“飛び系”とほぼ同等レベルの飛び性能がありつつ、カチンといった硬めの打感ではなく、しっかりとやわらかく心地よさが残る打感。ちゃんとボールをコントロールできているフィーリングが得られるアイアンです」

フェースセンターを厚くしてそこから楕円状に薄肉化した設計

―見た目の評価は?
「すごくスタンダードで普遍性のある形状、大きすぎることも小さすぎることもありません。上から見た際のトップブレード(フェース上部の頭)はやや厚めで、ボッテリ重みのある印象から操作性が落ちると予想していたのですが、実際に振ってみると打ちやすさが勝って、全く気にならない。上部だけでなく後方(バックフェース)の厚みは、もはや気にもとめないほど。小ぶりなヘッドが好きな私でも納得の絶妙なサイズ感といえます」

ボールのつかまりの良さをイメージできる顔

―兄弟モデル「―HL」「―PRO」と比べると?
「『HL』は、使用した純正シャフトがカーボンということもあるのですが、全体的に軽い振り心地で、よりオートマチックにヘッドが動いてくれる印象です。見た目は少しグースが入っていて、フェース面も広く見える一般的にやさしい顔立ち。実際もミスヒットに強く、性能面も間違いなくやさしさが味わえます。一方の『PRO』は、“プロ”と付く割にそこまで難しすぎませんが、小ぶりでつかまりは抑えめ。ただ、トップブレードは意外と他の2機種と同じく厚めなので、その辺りは安心感が持てるかもしれません。打感は3機種とも似ていて、硬すぎずやわらかすぎない適度なフィーリングはシリーズで統一された特徴に仕上がっています」

7Iでロフト角28度の設定。HLは31度、PROは28度

―ロフト角通りの弾道は出ていた?
「スピン量も少ないわけではなく(7Iで平均4618rpm)、ボールのつかまりも良く、ロフトなりの弾道が出ていました。ボールは上がっているけれど、スピン過多で吹け上がっているわけではなく、ちょうどいい適量のスピン量です。HSの遅い私でも(1Wの平均35~36m/s)7番通りの高さが出ていました。私は元々スピン量が少なく、ボールが上がりきらないモデルが多いなか、弾道は高く上げやすく飛距離も出ます。もちろん『HL』ほどの分かりやすいやさしさではないものの、適度なやさしさが備わっていることを実感できました」

左からスタンダードモデル、「HL」「PRO」

―「ミズノプロ」との関係性は?
「若干、性能面が近づいている気がしました。以前、20年ほど前の同シリーズを実戦で使用していましたが、当時の『MP(ミズノプロ)』シリーズとは全く違う印象です。今でいう“飛び系”の感覚で打っていたことを記憶しています。打感も今より硬く感じられ、ぶっ飛び要素が強かったです。操作性が加味されているような、『ミズノプロ』の要素を少し取り入れているイメージ。素材は軟鉄鍛造とニッケル・クロモリ鋼と異なりますが、高弾道で飛ばす『―HL』でも打感が硬すぎず、程よいやさしさが感じられます。実は3機種とも大きな違いはなく、シリーズを通して以前からの変化を感じます」

「私はコンボせず全てスタンダードモデルでそろえたい」(西川)

―どのような人向き?
「まずスタンダードモデルは、男女問わず、シャフトをそれぞれ合わせれば、どんなタイプでも合ってくれそうなモデルです。ドライバーのHSは35~43m/sと幅広い層が対象。『―HL』は、一般的な男性というより、シニアや女性ゴルファー向けの雰囲気で、スタンダードモデルと比べると男性ゴルファーは物足りなく感じられます。対象はドライバーHSで30m/s以上。『PRO』も、そこまで難しいわけではなく40m/s以上。シリーズの中で一番プロモデルに近い立ち位置だと思いますが、それでもかなり初中級者向けといえそうです」

全て4以上の高バランス+ちょい飛び4.5【総合評価4.1点】

【飛距離】4.5
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:28度(7I)
・使用シャフト:NSプロ 950GH neo(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

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