クラブ試打 三者三様

ミズノ JPX 925 FORGED アイアンを西川みさとが試打「スピードとパワーが必要なJPX」

2024/10/29 20:00

ミズノ史上最高反発の鍛造アイアン HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

ミズノ「JPX 925」シリーズとして、「HOT METAL」と同時発売された「FORGED」シリーズ。「JPX 925 FORGED アイアン」は、同社独自の薄肉フェース設計「コンターエリプフェース」を採用し、同社鍛造アイアン史上最高反発を達成した。そんな飛びと鍛流線(金属組織の流れ)を途切れさせない独自の鍛造製法で生まれた打感を両立した自信作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「同シリーズなのに意外とシビア 小ぶりな顔がプレッシャーに…」

左右のズレはなかったものの 思うような飛距離は出ていなかった(7Iで平均137.6yd)

―率直な印象は?
「ツアー系フォージドアイアンということで、予想以上にシビアな性能だと思いました。同シリーズ『HOT METAL』と比べてもサイズは小ぶりで、アドレスして上から見ると、ボールが十分に上がらなそうなイメージが湧くほど精悍すぎるルックス。実際に打っても不安がそのまま力みにつながり、ミスにつながってしまいました…。形状は、オフセットが程よく入っていて、好みの顔立ちではあるのですが、正直もうひと回り大きさが欲しいところです」

それほどトップブレードは薄くないが小さくコンパクトな印象

―前作「JPX 923 FORGED アイアン」と比べてもシビア?
「そうですね。基本的には『925』も『923』も両方難しいのですが、前作『923』のほうがヘッドが少しだけ大きく見え、微小ながらミスヒットに強く見えます。打感も少しやわらかく感じ、相対的に少しやさしさを感じます。と言っても大きな差ではないので、前作のほうが若干ボールがつかまり、ハードで薄い当たりが出てしまった今作よりもほんの少しマイルドで扱いやすいといった印象です」

左が925、右が前作923。バックフェースの肉厚構造が変化

―同シリーズ「JPX」内の立ち位置は?
「『HOT METAL』の性能をベースに、小ぶりでストレートネックな『JPX 925 HOT METAL PRO アイアン』よりも、プロ&上級者向けの立ち位置だと思います。プロ向けなのにプロ仕様すぎない『PRO』に対し、今作は本当にプロ向けというか、少しのやさしさも許してくれない印象を受けます。とにかくドライバーのHS30m/s台の私には太刀打ちできないクラブです。コースで7番アイアンを打てと言われても(※実際にアイアンは7番から入れているので)余計な力が入ってしまい、ミスしてしまいそうでした…」

「グレインフロー フォージドHD」製法と使用素材「クロモリ」を示した刻印

―他社のフォージドアイアンと比べると?
「同社『ミズノプロ』やタイトリスト『T』シリーズといった、ツアー系の軟鉄鍛造と同じくらいのシビアさを感じました。グループ分けで言ったら一緒の感覚。ショートアイアンまでなら扱えるかもしれませんが、ミドルアイアン以上は確実にハードです…。シャフトを替え(試打クラブはNSプロ 950GH neo)、やや軽量にカスタムしても大きく変わるほどではなさそう。振り心地は多少異なりますが、他にもいっぱいやさしいモデルはあるので、あえて今作を調整して使用することはないかなと思います」

フェースのたわみを増幅させるミズノ独自のフェース肉厚設計

―現在ひとつの傾向として、やさしいプロモデルが求められている?
「うーん…、逆を言えば以前よりカチン!と硬い打感の典型的な飛び系アイアンを見かけなくなったことが要因かもしれません。現在は飛び性能もさることながら、打感もやわらかく良くなっているモデルが増え、どちらも両立したアイアンが主流となりつつあります。低スピン性能で飛ぶからといって、カチンカチンの打感ではやはりフィーリングが良いとは言いきれない。飛びも打感も改善されたほうがいいに決まっている。実際に、多くのゴルファーが飛びも打感も両立したモデルを選んでいますし、メーカー側もそちらにシフトしているのだと思います」

「もう少しやさしさが欲しいなら前作『JPX 923』か『JPX 925 PRO』を選ぶべき」(西川)

―どのような人向き?
「HSもパワーもないと、今作の性能を十分に引き出しきれないので、ドライバーのHS45m/s以上に限られるでしょうか。結構以前からの『JPX』のイメージからは、かけ離れた数字と思われそうですが、それより下であれば『―PRO』を選ぶほうが最適な気がします」

3.5△が4項目… 西川HSならHOT METALか―HL【総合評価3.6点】

【飛距離】3.5
【打 感】4.0
【寛容性】3.5
【操作性】3.5
【構えやすさ】3.5

・ロフト角:30度(7I)
・使用シャフト:NSプロ 950GH neo(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 西川みさと プロフィール

1977年7月10日生まれ、埼玉県出身。1998年「日本女子学生選手権」にて優勝し、大山志保古閑美保らとともにナショナルチームで海外大会に出場。2002年にプロテスト合格後は、美しいスイングを武器にレギュラーツアーで活躍。23年国内女子シニア「JLPGAレジェンズチャンピオンシップ」優勝。

ミズノ
ミズノ鍛造アイアン史上最高反発を達成
発売日:2024/09/13 参考価格: 151,800円