ミズノ JPX 925 FORGED アイアンを筒康博が試打「前作『923』よりバウンスの存在感UP」
ミズノ史上最高反発の鍛造アイアン ご意見番クラブフィッターの評価は!?
ミズノ「JPX 925」シリーズとして、「HOT METAL」と同時発売された「FORGED」シリーズ。「JPX 925 FORGED アイアン」は、同社独自の薄肉フェース設計「コンターエリプフェース」を採用し、同社鍛造アイアン史上最高反発を達成した。そんな飛びと鍛流線(金属組織の流れ)を途切れさせない独自の鍛造製法で生まれた打感を両立した自信作を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ご意見番クラブフィッター・筒康博が試打評価を行った。
「サイズの割に分厚さが気になる? 前作より寛容性アップ」
―率直な印象は?
「フェース長(トウからヒールまで)が比較的に短く、構えた際にトップラインが分厚く見えたので、小ぶりなサイズ感に反して厚みがやや大振りなところにちょっと驚いてしまいました…。寛容性が高いのか、操作性が高いのか、数球の試打では判断ができないというのが本音。大型モデルのように払い打つタイプにも見えるし、小型モデル同様にダウンブローで打ち込むタイプにも見える。私の単純な好みの問題ですが、良くも悪くもどっち付かずな印象で、少し打ちにくく感じてしまいました」
―前作「JPX 923 FORGED アイアン」と比べると?
「前作のほうがヘッドサイズに対してトップラインの幅が適度。バウンス角が大きく感じられる今作に比べて、ソールの接地面積も見た目通りに感じました。外観はスマート&中身はやさしいイマドキのアイアンに近しい雰囲気。今作よりシンプルな分、フィーリングを合わせやすく感じました。性能がどっちが上or下というよりは、使用するゴルファーの求めている要素と、見た目から来る印象が合うかどうかの問題。私には前作より今作のほうが厚みがある分、性格がボケて感じてしまっただけだと思います」
―前作のほうが性格はシンプル?
「そうですね。私の場合、ソール幅が広くてバウンス角の存在がある要素は求めていなかった。前作の完成度が高かった分、ここまで変更する必要はなかったように感じます。ただ逆に、前作では満足できなかった部分を今作が補っていて、やや上からヘッドを入れてもダフりにくい寛容性の高さは備わっています」
―同社アイアンの中での立ち位置は?
「最新モデルの傾向だと、打感の良し悪しや飛びの有無、弾道の違いに大きな差がなくなってきました。徐々にですが、『JPX』と『ミズノプロ』シリーズの境界が分からなくなりつつあります。同社専用のフィッターさんの前で試打を行い、弾道データを細かく取って、初めて自身の最適モデルにたどり着く感じ。多種類から選べる楽しみはメリットですが、1~2機種では決め切れない難しさはデメリットにつながる気もします」
―他社でいうと類似モデルは?
「他社の中からライバルを探そうとしても、なかなか見当たりません。というのも、ミズノアイアンの中でやさしいとされる『JPX』内で、今作のようなシャープで操作性の高いモデルが登場し、逆に難しいとされる『ミズノプロ』から寛容性の高いモデルが登場している現状です。良い意味でも悪い意味でも世界観が完結しているので、ライバルが同社の中にいる感じ。『JPX』の対抗馬が『ミズノプロ』の中にいて、『ミズノプロ』の対抗馬が『JPX』にいる。ここ2~3年のラインアップは、独自の世界観を構築している印象を強く感じます」
―どのような人向き?
「一番の対象ターゲットは、現在ミズノアイアンを使用しているゴルファー。同社モデルを5年以上使い続け、そろそろ買い替えを考えている人がメインになると思います。現在、同社以外のアイアンを使用している方が今作を手にするのは、ちょっと難しい。メーカーを横断する際の敷居は高くなっている気がします。それだけ他社を意識したモノ作りはしていないということ。そこが同社の強みなので、あえて他社モデルと比較するのは不要といえるのではないでしょうか」
操作性&構えやすさ3.5△ 前作よりややダウン…【総合評価3.9点】
【飛距離】4.0
【打 感】4.0
【寛容性】4.5
【操作性】3.5
【構えやすさ】3.5
・ロフト角:30度(7I)
・使用シャフト:NSプロ 950GH neo(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール
取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋
■ 筒 康博(つつ・やすひろ) プロフィール
スイングとギアの両面から計測&解析を生かし、プロアマ問わず8万人以上のゴルファーにアドバイス。「インドアゴルフレンジ Kz 亀戸店」のヘッドティーチャーを務める傍ら、様々なメディアにも出演中。大人のゴルフ選びフィッティングWEBマガジン「FITTING」編集長として自ら取材も行う。