クラブ試打 三者三様

ELYTE アイアンを小山内護が試打「意外にも『MAX FAST』推し」

2025/05/17 20:00

エリート領域に達したアイアン ジャンボ軍団の元祖300ydヒッター評価は!?

フェース上のコントロールポイントを前作比10倍増に押し上げた「Ai 10x FACE」搭載のキャロウェイ「ELYTE」シリーズ。飛びとスピン、打ち出し角の再現性を考慮しながら設計され、ターゲット層をより明確にして開発されたという。そんな“エリート領域”に達した同シリーズのコアモデル「ELYTE アイアン」を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。ジャンボ軍団の元祖300ydヒッター・小山内護が試打評価を行った。

「思っていたよりシャープな顔 自分のものにするには練習が必要」

理想的な高い弾道も見られたが 数球低めに出てしまう場面も

―率直な印象は?
「前回試打したピン『G440 アイアン』と同じようにグースが適度に入っていて、ボールを包み込むイメージが湧いて、安心感を抱けます。が、サイズはより小ぶりで、やや難しく見えてしまった点が気になりました。アベレージゴルファーの皆さんなら、ここまでシビアな性能を使わなくていい気がします。私らプロは問題なく扱えますが、比較的にボールは上がりづらく、もう少しストレスなく振って高弾道で飛んでいくほうがいいなと思ってしまいました」

新スピードフレームの貫通エリアを最適化し、トップブレードの厚さを最小限に

―他の兄弟モデルと比べると?
「今作コアと『ELYTE X アイアン』と『ELYTE MAX FAST アイアン』の3機種を難易度で比べると、中間は『―MAX FAST』。コアは鋭くシャープな顔立ちで、『―X』はボテッと安心感が湧く厚みのある形状。操作性と安心感のバランスが一番良かったのは『―MAX FAST』です。何も複雑なことを考えず、悩まず打てるのは『―MAX FAST』。その次が『―X』。コアモデルは、ある程度は使い続けてクセをつかむまで時間がかかる気がしました」

左からコア、―MAX FAST、―X (※全て7I / ロフトは29度、MAX FASTとXは28度)

―意外にも「―MAX FAST」推しですね?
「そうですね(笑)。『―MAX FAST』は意外とボテッとした印象がなく、扱いやすいのにドローやフェードの打ち分けも可能。もちろんコアのほうがコントロールしやすいですが、プレッシャーがかかってしまう懸念点があり、『―X』はやさしい見た目ですが、つかまり過ぎてしまうミスが起こる。『―MAX FAST』は、この2モデルのいいとこ取りしたモデルといった印象です。一番やさしくて程よく扱え、クセがなく自分のものにするまでに時間がかからない。明日からコースで使えと言われても十分対応でき、結果も期待できる気がします」

トウ側モデルネームがなければ コアと見分けるのが難しいほど類似

―軽量モデル「MAX FAST」なのに弱々しさはない?
「ないない! 全くない! 14本のクラブの中で最も軽いドライバーでは、軽量モデル=当たりが弱いというイメージはつきまといますが、総重量の重さがあるアイアンに関しては、そこまで球質の強さに差は生まれません。とにかく楽にボールが高く上がって、飛距離が出る性能が一番。ロフトを立てて低く飛ばすことは、プレーヤーの工夫でどうにでもなりますが、高く飛ばすにはクラブの力が必要。そういう意味で、『MAX FAST』のポテンシャルは高いと考えています」

高いボールスピードを生み出す17-4ステンレススチール採用

―アベレージゴルファーは難しいアイアンを選び過ぎですか?
「はい。見た目のシルエットを気にして、ドライバーよりも難しいモデルを選んでいる気がします。私のマイクラブである三浦技研のアイアンをアマチュアの方に貸して、打たせてあげる場合があるのですが、『(なんでプロなのに)こんなやさしいのを使っているの!?』と驚かれますから。私から言わせてもらえるなら、まさに『なんでわざわざ難しいアイアンを選ぶの!?』です。糸巻きボールを使用していた時代は、ボールの上から鋭くヘッドを入れ、打ち込む必要がありましたが、今はもう払い打つようにボールの仕様が変わっています。簡単にポーンッと払い打ってポーンッと上がるほうがベストだと考えています」

「軟鉄鍛造と比べて若干硬めな打音は気になるところ」(小山内)

―どのような人向き?
「コアはちょっと好みが分かれそう。クラブの特性をつかみながら、じっくり練習して自分のものにしていきたいゴルファー向き。熱心なアスリート志向の強い方で、腕前はまだそこそこといったレベルの方に向いているでしょう。ただ、同シリーズで悩んでいるなら、私は『―MAX FAST』がおすすめ! 初級者やアベレージゴルファーだけでなく、競技に出ている人まで幅広く扱えます。ロフト角さえ調整すればプロも使えてしまうほど。見栄を張らず、格好つけず、やさしいモデルを選びましょう

ちょっぴりシビアで思い通りの高さで攻められない→操作性3.5△【総合評価4.3点】

【飛距離】5.0
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】3.5
【構えやすさ】5.0

・ロフト角:29度(7I)
・使用シャフト:NSプロ 950GH neo(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

■ 小山内護(おさない・まもる) プロフィール

1970年6月19日生まれ、東京都出身。日体荏原高校時代にゴルフを始め、卒業と同時にジャンボ軍団入り。豪快なドライバーショットを武器に98年「サントリーオープン」、翌年「日本プロゴルフマッチプレー選手権」を含むツアー通算4勝を飾る。現在シニアツアーに参戦しながら、プライベートゴルフスタジオ「Favorite J-Golf」を運営。

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