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コロナ禍でクラブの売り上げは? 新モデル発売延期の影響を調査

2020/03/22 17:57
気になるのは実際の店頭での影響 ※画像はゴルフガレージ松戸八柱店

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、ゴルフギア業界にも及んでいる。クラブの生産拠点である中国の工場稼働が1~2月に低下したことなどを受け、3月に発売予定として準備を進めていた新モデルを、やむなく発売延期するメーカーが相次いだ。

3月20日から全国の店頭に並んだ本間ゴルフ「ツアーワールド TR20」ドライバーは、当初、同13日に発売を予定していた新モデルだ。同シリーズのアイアンは、20日発売を4月3日に延期。ほかのメーカーも「新型コロナウイルス感染症の影響」によって、プーマジャパン社は、コブラ「キング スピードゾーン」シリーズの発売開始を14日から4月2日に。グローブライド社も、「オノフ赤」シリーズを7日から4月4日に延期している。

新モデルの発売延期を受け、気になるのは市場の反応だ。ゴルフ用品専門店、中古クラブ店、フィッティング店それぞれに、21日時点での顧客の動向を聞いてみた。

最も影響を受けそうなのがゴルフ用品専門店。関東圏に24店舗を構える大型量販店「有賀園ゴルフ」の時田直樹・TOKYO新橋店店長は、「新モデル発売が遅れたといっても、現状では2~3モデルですので、特に大きな被害は見られません」と市場の推移を冷静に分析している。心配された客足についても、「ダメージを受けているというより、むしろ自粛ムードの反動で、お客さんの動きが活発なように感じます」と意外な感触を得ているのがその理由のようだ。

「主力商品である『SIM』『マーベリック』の在庫が確保されていることが大きい」と時田店長

「新橋店のみでいえば、中国や韓国といったインバウンドのお客さんの減少で、3月上旬(第1~2週)はやや売り上げは落ち気味でした。ですが、3週目に入って(16日以降)からは、気温の上昇も手伝って一気に巻き返し、3連休直前の19日には平日にも関わらず、予想以上の売り上げを記録しました。全店舗でも2月の売り上げは昨対比125%(※既存店のみの数値。新店舗を含めると140%)、3月でもいまのところ例年並みか、それ以上の推移を記録しています」

中古クラブを主に取り扱う「ゴルフガレージ」松戸八柱店の小田切美仁店長は、「基本的に新モデルは少量しか扱っていませんので、特に発売延期の影響は受けておりません」。同店は郊外の大型店舗ということもあって、全国的なテレワーク推奨によって平日の人の動きが減少傾向にある都心店とは、客足の様相も異なるようだ。「グループ全体で見ても、商品の販売だけでなく、中古クラブの買取まで、店舗とインターネットの両方で行っているため、今回のような状況の影響が他店より出にくい可能性はあります」と話した。

フィッテイングオーダーをメインに手がける大蔵ゴルフスタジオの市川雄一郎さんは、「影響はありません。逆にいつもより時間ができたユーザーさんが、じっくりクラブを選びたいと来店してくれています」と、テレワーク普及に依る意外な影響に笑顔を見せる。「ただし、気がかりなのは、今後中国製のパーツが届かないことで、新調したクラブを届けるまでに遅れが生じてしまいかねないこと」とも。現時点では大きなダメージはないものの、今後の不安は少なからずあるようだ。

今回の取材で全員が口を揃えたのは、現状の長期化と景気減速への懸念。人の移動・接触を直接制限する感染拡大対策が世界的に広がっている。一昔前は「日経平均=クラブの売れ行き」という通説があった業界だけに、関係者はモノだけでなく、ヒト、そして市場の動向を慎重に見守っている。

ほとんどのショップが店頭に消毒液を設置して営業を続けている

撮影協力/ゴルフガレージ 松戸八柱店