ウオッチ型GPSナビの現在地 2020徹底比較
「年末のマストバイ商品は?」 アンチ派が本音評価
2010年代の前半ごろから注目され始めたゴルフ用のスマートウオッチ型GPSナビ。いまでは機能が充実し、小型のGPS機をしのぐアイテムとなったが、まだまだ「流行についていけない」「プレー中はハメたくない」といったアンチユーザーの声も聞こえてくる。そこで、進化を続けるウオッチ型の現在地を紹介しつつ、最新モデル5機種を徹底比較した。
今回のテスターは、クラブはもちろん計測器にも詳しいギアマニアのイラストレーター・野村タケオ氏。「単純に残り距離を調べるだけなら、レーザー距離計のほうが正確だし便利」と言い放つアンチ派が、ウオッチ型GPSナビを実際に装着してラウンドし、性能・使いやすさ・デザイン・コスパの4項目を10点満点で評価。合計得点でランキング化した。
第5位:ショットナビ W1 Evolve(テクタクト)
・性能:6.5点
・使いやすさ:6.5点
・デザイン:8点
・コスパ:7.5点
・総合:28.5点
「画面上の数字は大きくて見やすいですし、コストパフォーマンスも悪くないのですが、着け心地と使いやすさが気になりました。着け心地は、ベルトが硬く、脱着がやや煩わしい印象。操作ボタンも硬めで押しにくい点も気になります。また、表示のコース図がリアルに描きすぎていて、もう少し簡素化したイラストのほうが、プレー中にパッと見て把握しやすい印象を受けました」
第4位:イーグルビジョン watch ACE(朝日ゴルフ)
・性能:8.5点
・使いやすさ:7点
・デザイン:8点
・コスパ:7点
・総合:30.5点
「残り距離だけでなく、あらゆるハザードまでの距離表示をしてくれる点は大満足。なかでも自動で全ショットの飛距離を表示してくれるのは、すごくありがたいです。アイアンの番手別距離が分かっていない人も多いと思うので、スコアアップにつながると思います。ただ、情報量が多すぎる。画面が文字や数字で覆い尽くされてしまうので少し見にくく、使い始めは混乱してしまうような気がします」
第3位:ボイスキャディ T6(ボイスキャディ)
・性能:8点
・使いやすさ:8点
・デザイン:8点
・コスパ:7.5点
・総合:31.5点
「操作は簡単ですし、レイアウト表示もシンプルで見やすいです。GPSがセットされるまでの起動時間も早い。また、タッチスクリーン操作でピン位置を調整できたり、バンカーまでの距離も分かるので、スマホ携帯に慣れている人なら、誰でも操作がしやすいと思います。どちらかと言えば、細かく正確な距離を知りたいという人より、アバウトな距離を把握したい人にオススメです」
第2位:グリーンオン ザ・ゴルフウォッチA1-II(MASA)
・性能:9.5点
・使いやすさ:8点
・デザイン:8点
・コスパ:8.5点
・総合:34点
「残り距離はもちろん、グリーンの傾斜もカラー別で見やすく、液晶サイズも大きめで、とても扱いやすいです。性能としては完璧! ホール内のハザードをシンプルなアイコンで示し、一つの画面上でオール表示してくれる点も便利。これなら慌ただしいティショットを打つ前でも、必ずホール全体をGPSで確認してからできるコースマネジメントを、ルーティンとして定着させられそうな気がします」
第1位:Approach S62(ガーミン)
・性能:9.5点
・使いやすさ:10点
・デザイン:9.5点
・コスパ:8点
・総合:37点
「初見でも操作可能な分かりやすさで、直感的に操作できる点は、アップル社の『i-Phone』に似ている印象を受けます。戦略が分かる表示も見やすく、アプローチで100ydを残すために、ドライバーは何yd、セカンドは何ydと、実戦的な目線での情報を示してくれる。価格はお高め(6万2000円+税)ですが、ICカード乗車券『Suica』などの電子マネー決済機能が付いていることを含め、購入する価値はあると思います」
操作が直感的か?全体像は戦略的か!?
「ウオッチ型GPSナビは、レーザー距離計と比べてモデルごとの性能がだいぶ異なり、評価は個人差で大きく分かれると思います。私の評価ポイントは、直感的に操作できるか。また戦略的に全体を見渡せられるかの2点。今回の上位機種は初めて使う人にもやさしく扱えると思います」
テスト前は完全なレーザー距離計派であった野村氏も、ウオッチ型GPSナビの便利さに、心変わりをしている様子だった。ウェアラブル端末自体、まだまだ進化の途中と言えそうだが、知りたい情報を手軽に確認できる機能性は、セルフプレーの心強い味方になってくれそう。食わず嫌いだった人も、今回の結果を参考に、購入を検討してはいかがだろうか。
前回「レーザー距離計2020徹底比較編」もチェックしよう。
取材協力:木更津ゴルフクラブ
■ 野村タケオ プロフィール
1966年生まれ、京都府出身。自称「ゴルフバカイラストレーター」として、新聞、雑誌をはじめ、さまざまなメディアに作品を提供。自らWebやブログ、Ustream中継(野村タケオのゴルフバカTV)などを通して情報を発信している。