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笹生優花のアイアンは三浦技研 ミリ単位の調整で快挙をサポート

2021/06/08 11:45
三浦技研のアイアンを使用して快挙を遂げた笹生優花(San Francisco Chronicle/Hearst Newspapers via Getty Images)

海外女子メジャー「全米女子オープン」を制した笹生優花の快挙に、国産メーカーのアイアンも貢献していた。使用するのは、2020年5月に契約した三浦技研(兵庫県)の「TC-101」。今大会では5本(5~9番)を投入し、昨夏に国内ツアー初優勝を飾った「NEC軽井沢72」から握るモデルには、笹生の要望をもとにミリ単位の調整が施されていた。

同社担当者の寺村次郎氏によると、笹生が強くこだわったのは「左に行かないアイアン」であること。当初はマッスルバック形状のモデルに興味を示していたが、同社は今後ツアーを戦う上で、ミスヒットの強さも備えるモデルを提案。幾度のフィッティングを経て選ばれたのが、中・上級者に向けて同年1月に発売されたハーフキャビティ形状のTC-101だった。

つかまり具合を抑えるために、全番手のライ角をノーマルよりも2.5度フラットに調整。さらにフェースプログレッション(FP/シャフト軸からリーディングエッジまでの距離)を1~1.8mm大きくしてグースを抑えることで、強くたたいても左に行きにくい、笹生が理想とする球筋へと導くアイアンに仕上がった。

ライ角とFPを除いては市販モデルとほぼ変わらず、ロフト角やソール、重量などに調整は加えられていない。ただし、数値に表れないところに“匠の技”が注入されている。笹生から「安心感が欲しいロングアイアン(4番・5番)はヘッドを大きく見せてほしい」との要望を受け、同社創業者の三浦勝弘会長が自らヘッドの研磨を行い、視覚的に大きく見せる熟練の技術が施されたという。

また、ヘッドの仕上げは太陽光の反射を防ぐために「マットホワイトクロム仕上げ」を採用。シャフトは日本シャフトの「モーダス」プロトタイプ。グリップについては「必ず本人が巻くので、グリップがない状態のシャフトを送っています」と寺村氏は言う。そんなところにも、笹生のクラブに対する強いこだわりが伝わってくる。

高い操作性と寛容性を備える三浦技研「TC-101 アイアン」

創業から44年。他社ブランドのクラブを製造するOEM生産から着実に信頼を築き、94年に独自のヘッドパーツブランド「MG Original Heads」シリーズを発表。そして今回、最高峰の舞台から「MIURA」の名前が海外主要メディアを通じて世界に発信された。「感慨深いものがありますね。我々としては、松山英樹選手のマスターズ優勝に匹敵する快挙だと思っています」と寺村氏。18年から海外展開を本格化させている同社にとって、強い追い風になることは間違いないだろう。