巷ですごい!と噂の「PXGウェッジフィッティング」受けてきた その中身は?
PXGといえば、スイングスキルに合わせたきめ細かいクラブフィッティングが評判のメーカーだが、実はウェッジのフィッティングにも力を入れているのはご存じだろうか。新しく旗艦店「PXG AOYAMA」ができるということで、そのウェッジフィッティングの実力のほどを現地調査。アプローチに悩む編集Sに合うヘッドは果たして見つかるのか!?
タイプによって選べるグラインドは3種類
今回のフィッティングで試したヘッドは、同社新作の「SUGGAR DADDY III」。前作「SUGGAR DADDY II」よりも左右慣性モーメントが増え、スコアラインの間隔も狭くなってスピン性能と飛距離の安定性を向上させたモデルだ。ソール形状は3種類。従来の「BP」グラインド(以下BP)、「C」グラインド(以下C)に、新たに「S」グラインド(以下S)が加わった。「BP」は唯一のフルスコアラインフェースで、バウンスを積極的に使うゴルファー向き。「C」はフェースを開くなど様々な打ち方をするゴルファー向けな形状。「S」は最もスタンダード。様々なアタックアングルに対応できるソールだという。
早速フィッティングがスタート。まずは編集Sに対し、アプローチの悩みや普段の寄せるイメージなどのヒアリングが行われた。編集Sのアプローチの悩みはこうだ。
・ライによって打点ズレがあり、イメージより飛びすぎたり、飛ばなさすぎたりする
・ミスの傾向はダフリよりトップすることが多い
ひと通り話を聞いた後に実際に球を打ち始めた。まずはこの日持ってきたマイクラブのサンドウェッジ(以下SW)で30~60ydのアプローチ、さらにグリーン周りのチップショット(転がし)&ピッチショット(上げる)を打ち分ける。一通りデータを取り、クラブを「SUGGAR DADDY III」に持ち変えた。
自身のウェッジで打ったように、新しいウェッジでチップショットやピッチショットなどのデータを再び採取。PXGマスターフィッターの秋元悠也氏が、モニターに表示された実際のインパクトデータをもとに、ショットの傾向やクセを説明する。ソール違い各モデルの試打を終え、最終的に「S」グラインド(バウンス10度)をすすめられた。その決め手はどこにあったのか。
「ご自身のSWを打って分かるのは『バウンスをどのように使っているか』。Sさんの場合は、バウンスを積極的に使ってアプローチをするタイプでした。その場合、ローバウンス『C』だとフェース上目にヒットしてスピン量が減るケースがありました。3機種の中ではスタンダードソール『S』がいちばんスムーズなコンタクトができており、打ち出し角やスピン量、打点も安定していました。入射角がさらに鋭角だったり、ヘッドの入りが不安定なゴルファーは、バウンスが利く『BP』が最良になるケースもあります」(秋元氏)
編集Sのマイウェッジはローバウンス。秋元氏の説明を聞いて、ソールが合ってないことでミスが多発していたことに納得の表情だった。
グラインドの選定にはラウンド時のシチュエーションも加味するとのこと。例えば、普段よくラウンドするコースの地面が湿りやすかったり柔らかかったりする場合は「BP」か「S」、乾いていて硬い場合は「S」か「C」グラインドを合わせるそうだ。
その場でウエート交換できるのもPXGならでは
ヘッドが決まると、今度はシャフトを入れ替えてテストを行なう。ウエートを入れ替えてスイングバランスの調整も可能だ(購入後のウエート調整は対応不可)。
「SUGGAR DADDY III」のバックフェースには取り外し可能の専用ウエートがあり、0.5グラム単位で変更できる。アプローチ時の振り心地やパフォーマンスが変化するだけでなく、「クラブパスの変化もあります」(秋元氏)と言うから興味がわいてくる。
今回編集Sは、8グラム重いウエートを装着したウェッジでテスト。振り心地の変化までは感じなかったと言うが、データ上は普段よりインアウト軌道が強くなり打点はトウ側に集中する結果となった。「クラブパスが極端な人にはウエート交換がハマるケースもあります。全てのゴルファーが必ずしも同じ結果になるわけではないですが、振り心地を元に打点やアタックアングルから細かい調整を行っています」と秋元氏。「『感覚』の部分から起こるクラブ挙動の変化をモニターで可視化して、ゴルファーに最適なヘッドウエートを提案しています」と付け加えた。
ソール形状やバウンスの度合いだけでなく、ヘッドウエートまで調整できるのは非常に新鮮。最終的に交換する必要はなかったが、アプローチ時の最適なスイングバランスが分かっただけでも、編集Sには満足のいく結果となった。