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パターコーチが選ぶ パッティング向上アイテム3選/'26 PGA SHOWで見つけた“なんじゃこりゃ”その5

2026/01/26 17:12
PGAショーの気になったブースを案内してくれた

ゴルフ業界で最大規模のPGAショーに出展している企業の数は、優に1000を超えると言われる。イベント会場内を見て回るのは一日では時間が足りないほどだ。その中で日本の読者の方に紹介すべき“良いもの”を見つけるのは、なかなか一筋縄ではいかない。そこで今回は、PGAショーに毎年来ているという日本を代表するパターコーチの橋本真和氏に協力を仰ぎ、パッティング関連ギアのブースをキュレーションしてもらった。現場でのいきなりのお願いという無茶振りにも、しっかり応えてくれた橋本コーチ。では早速、同コーチのお眼鏡にかなった厳選3ブースを紹介したい。

橋本コーチ的Best1「傾斜が分かるマーカー」

ボールの線とマーカーを揃えるとこんなイメージ

「ここです、ここ」。そう言って、橋本コーチが案内してくれたのは、PGAショーの中でも細かなアイテムを取り扱うブースが集まっているエリア。PGAショーにはタイトリストやキャロウェイといった大企業から、練習器具を扱う小さな企業まで、実にさまざまなメーカーが出展している。よく、こんな路地裏みたいな場所で見つけたなと感心していると、その「Slope Vision(スロープビジョン)」という会社が作った斜度を読み取る専用物差しが、まさに優れものだった。

「これは、プラムボブ(パターを吊るして傾斜を読む技術)と組み合わせて、グリーンの傾斜を正確に把握するための物差しです」と、橋本コーチが説明を始めた。理屈はこうだ。グリーン上を想像してもらいたい。物差しには「0%、1%、2%…」といった傾斜の目盛りがあり、目盛りに沿ってシャーピーなどでパターヘッドに線を引く。続けてグリーン上にマークをし、その位置がスタンスの中央に来るようにアドレス。そしてヘッドを持ち上げて手でつまみ、プラムボブの要領でヘッドを吊るす。すると傾斜なりにヘッドが傾くので、マークした位置からどれぐらい目盛りがズレるかを読み取る。ヘッドに引いたのが1%の目盛りに合えば、その場所の傾斜は1%ということになる。理屈は意外とシンプルだ。

「足裏の感覚でグリーンをうまく読めない人には、めちゃくちゃ良いと思います。ヘッドに線を書くだけで、あとは物理ですからね」と橋本コーチは利点を語る。さらに同社は斜度ごとにラインが描かれたマーカー(4%まで)を用意していた。先ほどの物差しと併用するのがベストで、斜度を調べた後、ボールの線とマーカーの斜度のラインを一直線に合わせるわけだ。例えば斜度2%のフックラインであれば、マーカーの2%ラインに合わせる。これで斜度に応じて狙いを正確に定められるわけだ。ルールもクリアしているというから、確かにこれはアイデア賞もの。橋本コーチは自身が開発したかのように自慢げに説明していた。

橋本コーチ的Best2「傾斜測定トレーニング」

右に1%傾いているとの表示

続いて案内してくれたのは、同じエリアにある、これまた渋い(失礼!)アイテム。「ちょっと乗ってみてください」と言われて目の前にあったのは「Slope Reading Trainer」という、中央にボタンが付いた体重計のような台。傾斜を測るトレーニング機器のようだ。

ボタンを押すとカウントダウンが始まる。その間に台の上に乗る。カウントダウンが終わると、今の自分のニュートラルな体の傾きが表示されるという仕組みだ。筆者が乗ってみると右に0.6%傾いていた。意外と傾いているものだ。

「ここからトレーニングです。目をつむってください」と言うや、橋本コーチは中央のボタンを押した。足の傾斜が微妙に動いた(気がした)。「さあ、今どっちにどのぐらい傾いていますか?傾斜は変わっています」。左に2%くらい傾いているように思えたのでそう答えると、正解は左に3%だった。1%の差が出たわけだ。

「エイムポイントを使っている選手は多く、自分のパーセンテージ(%)を知ることは重要です。本来は朝のスタート前に、その日の自分の状態が何%傾いているかのキャリブレーション(較正)を行う必要がありますが、それをやる選手は意外と少ない。日々、自分の体の傾きをトレーニングするのは、グリーンを読む上で大事なんです」と橋本コーチ。「足のむくみとかでも1%ぐらいは変わってしまいます。エイムポイントで指1本分ぐらいズレるので、そうなるとまったく違うリーディングになってしまいますよね」

なるほど、説得力がある。気になるお値段は約120万円。選手であれば、それを高いと取るか、安いと取るか。「プロはトレーニングで乗ってほしいですね。体のゆがみがある、あるいは足の長さが異なる選手などは、日々感じる傾斜が変わりやすいので、自分の癖を知るのに良い機器です」

橋本コーチ的Best3「飲み物が入るパター」

仲良さげに商品を持ってパチリ

そして最後に「コレ、コレですよ!」とやたら勧めてきたのは、グリップが筒状になった中尺くらいのパター。見たことのないクラブだが、新種の高慣性モーメント系のパターとかなのか。「こればっかりは、内容を聞いてから(記事に)載せるかどうか判断してください」と橋本コーチ。なんだか急に自信なさげだが…。

「これ、グリップエンドが蓋になっていて、グリップの中にドリンクが入るんです。中のドリンクをいつでも飲めます」

え?それだけ?

「それ以上でもそれ以下でもないです」と言って、実際に蓋を外して飲むフリをし、その後ゲラゲラ笑ってブースのスタッフ(Shot Putt社)と陽気に肩を組んだ橋本コーチ。「水でもウォッカでもジンでもなんでも入るよ。バーディパットを入れた後、酒を飲めるから最高だろ」と、そのスタッフは両手を広げて肩をすくめた。

橋本コーチ、技術的な効果は?「正直、無いですかね(笑)。あ、でも、全体が重いからストロークにいいですよ。でも、中の水を飲むとバランスが変わってしまうので注意して下さい」と最後にパッティングコーチらしい一言で締めた橋本コーチ。お後がよろしいようで。(フロリダ州オーランド/服部謙二郎)