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「L字パターの歴史」ショートトリップ おススメ中古も合わせてCheck!

2023/10/13 20:00
石川遼が長年愛用していたL字パターは中古でいくら?

一般的には、大きいヘッドで高慣性モーメントのモデルのパターがやさしいとされているが、スイングタイプによってはヘッド形状の合う合わないが存在してくる。今回は難しいヘッド形状と言われているL字パターの性能や歴史についてまとめつつ、お買い得な“中古L字”を紹介したい。

L字パターの意外なメリット

L字パターは大きく分けて2種類のヘッドがある。1つはブレードタイプ、もう一つはマレットタイプだ。ブレードタイプはソール幅が狭く、難しそうな見た目をしているが、ソリッドな打感が魅力的。グリーンを少し外した場合でもウェッジ感覚で使うことができ、アプローチ感覚で距離感が作りやすいという理由で愛用するユーザーも多い。

L字のブレードタイプ(左)とマレットタイプ(右)。同じL字でも見た目は異なる

L字マレットはアライメントが取りやすく、ブレードタイプよりも慣性モーメントが大きいというメリットがある。L字マレットは、通常のマレット型やネオマレット型よりもサイズが小さく、ヘッドが動かしやすいとも言える。パターで悩んでいる人は一度L字パターを試してみると良いだろう。

ジャンボ尾崎が使用して「L字パターブーム」が起きた

有名な選手が L字パターを愛用していたことで、過去に何度か流行したことがある。代表的な事例は、尾崎将司が使用していたマグレガーの「トミー・アーマー IMG5」(1952年)。1935年に誕生した「トミー・アーマー アイアンマスター」というL字の名器を元に作られたモデルで、尾崎が活躍した1980年代には中古市場で1本約50万円という高値で取引されるほどのフィーバーぶりだった。その反響を受けて、これまで数多くの復刻版が発売されている。

懐かしのヘッド形状と現代の技術が融合して誕生した「ターニークラシック アイアンマスター IM-G5」

近年では、「ターニークラシック アイアンマスター IM-G5」(2015年)が登場。最新モデルでは、当時のヘッド形状を継承しつつ、ソールにウエートを装着することで高慣性モーメントを実現し、インサート部分に刻まれた波型のスコアラインがフェース上の滑りを抑制する。中古ショップでは、3万円前後から見つけることができる。

石川遼のL字マレット変遷

L字パターといえば、石川遼を思い浮かべる人も多いだろう。2007年のプロデビュー以来、L字マレットを使用して優勝を重ねてきた。史上最年少の賞金王に輝いた2009年に使用していたオデッセイの「ブラック・シリーズ ix #9」(2009年)は大ヒットを記録した。中古ショップでは1万円前後から見つかる。

その後、2013年から2014年にかけて使っていた「VERSA パター #9 BLACK」(2013年)は、黒と白のコントラストでターゲットに対してスクエアに構えることができるモデル。中古ショップでは1万円を切る価格で手に入るが、発売から10年が経過しており、状態の良いものを見つけるのは至難の業だ。

「VERSA パター #9 BLACK」(左)と「プロタイプ iX #9HT」(右)。「プロタイプ」はウエートが装着されていないプロトタイプを使用していた

2015年に実戦投入していた「ダマスカス・グランド #9」は、数量限定発売だったため中古市場にはほとんど出回らない。2016年から2021年まで主に使用していたのが「プロタイプ iX #9HT」(2012年)のプロトタイプ。少しトウが上がっているモデルで、中古ショップでは1万円台前半からが相場だ。

近々、L字マレットブームが到来するかも?!

久常は小学校の頃に使っていたパターがハマり、欧州ツアー「カズーオープンdeフランス」で初優勝

石川遼が2009年頃に使用していた「ブラック・シリーズ ix #9」で初優勝を飾ったのが、21歳の久常涼だ。小学生の頃に使っていたパターを家から引っ張り出してきて、昨年9月から使用している。10月の「バンテリン東海クラッシック」で5年ぶりの復活優勝を果たした木下裕太は、「ホワイト・ホット ブラック #9」(2023年)を大会直前に投入し、悩んでいたパッティングを克服した。このふたりの活躍で、L字マレットブームが再び訪れるかもしれない。(文・田島基晴)